【特集レポート】セカンダリーマーケットで狙えるIPO銘柄は?

6月の株式相場は、日経平均株価が月初に2万円を超えたものの、その後は2万円前後での揉みあいが続きました。一方で、マザーズ市場に目を向けると、個人投資家の注目を集めたビットコイン関連銘柄のリミックスポイント、新規リリースしたゲームのダウンロード数が好調なアカツキ、バイオ関連のアンジェスやジーエヌアイなど、時価総額が上位の銘柄も売買を伴って株価が上昇したことで、東証マザーズ指数は前月末比で7.0%の大幅上昇となりました。

この背景として、潤沢な個人投資家の投資余力が挙げられます。松井証券店内の信用評価損益率(買い方)は、2017年6月30日時点で-3.12%と、引き続き良好な状況が続いています。投資部門別売買動向(マザーズ)を見ても、個人投資家の資金がマザーズ市場に向かい、東証マザーズ指数を大きく押し上げていることがわかります(図表1、図表2)。

○図表1 東証マザーズ指数と信用評価損益率(買い方)

QUICK情報の「信用残」の表示方法

○図表2 投資部門別売買動向推移(個人・海外投資家・信託銀行)

QUICK情報の「信用残」の表示方法

さて、今回はマザーズ市場の一番の醍醐味と言ってもいいIPO銘柄についてご紹介します。IPOとは、Initial Public Offeringの略語で、日本語にすると「新規公開株」になります。IPO銘柄を買付けするためには、「上場前に購入申込を行い公開価格で買付ける」方法がありますが、人気が高いためなかなか抽選に当たりません。そのため、多くの場合、「上場後にセカンダリーマーケットで買付ける」必要があります。セカンダリーマーケットとは、「すでに発行されている株式などの有価証券を取引する市場」のことで、普段、個人投資家が株式を売買している市場を指します。

下の表は、昨年2016年1月~4月に東証マザーズ市場に新規上場した企業の初値騰落率ベスト5とワースト5です。それぞれ見比べると、初値が高騰した銘柄の株価は、足元では軒並み低迷していることがわかります。対称的に、初値があまり高騰しなかった銘柄の方がおおむね好調です。したがって、セカンダリーマーケットで利益を狙うのであれば、初値が高騰した銘柄よりも初値が奮わなかった銘柄にフォーカスした方が有効だと言えるかもしれません。初値が高騰した銘柄の多くは、テーマ性や話題で人気が過熱し、業績とはかけ離れた水準まで株価が上昇するものの、そのような株価は長続きせず、徐々に株式市場で冷静かつ客観的な評価が下されていく、ということなのでしょう。

○図表3 2016年1月~4月にマザーズへ新規上場した銘柄の初値騰落率ベスト5・ワースト5

銘柄
コード
市場 銘柄名 公募価格(円) 上場初値(円) 騰落率
(公募価格比)
現在値(円) 騰落率
(初値比)
3936 マザーズ グローバルウェイ 2,960 14,000 +373% 4,025 -71%
3930 マザーズ はてな 800 3,025 +278% 2,129 -30%
6192 マザーズ HyAS&Co. 950 2,750 +189% 716 -74%
3931 マザーズ バリューゴルフ 1,280 3,215 +151% 1,718 -47%
3935 マザーズ エディア 1,630 3,165 +94% 4,400 +39%
2424 マザーズ→
東証一部
ブラス 1,093 1,163 +6% 1,127 -3%
6190 マザーズ PXB 2,400 2,350 -2% 1,874 -20%
1436 マザーズ フィット 1,890 1,741 -8% 1,546 -11%
3932 マザーズ アカツキ 1,930 1,775 -8% 8,350 +370%
9466 マザーズ→
東証一部
アイドママーケティングコミュニケーション 720 615 -15% 713 +16%
  • 現在値は2017年7月6日時点。
  • 分割があった銘柄は分割調整後の株価で記載しています。
  • 上場後に鞍替えがあった銘柄は「市場」欄に矢印で鞍替え後の市場を記載しています。

では、今年2017年1月~6月に東証マザーズ市場に上場した企業の初値騰落率はどうだったのでしょうか?

初値が高騰した銘柄には、ビックデータやクラウド関連、情報セキュリティ、eコマースに係る物流関連、といった株式市場で注目されるキーワードに関連する銘柄が目立ちます。また、博多ラーメンの「一風堂」を運営する力の源ホールディングスや鶏料理居酒屋「てけてけ」を運営するユナイテッド&コレクティブのように、多くの個人投資家が知っている身近な企業が入っているのも特徴的です。言いかえれば、個人投資家の注目が集まり易いビジネスを展開している会社群、といえます。

これに対し、初値があまり奮わなかった銘柄には、マザーズ市場の中では比較的募集・売出価額の総額が大きく、需給的に緩いとされたビーグリーやうるる、上場時に注目されるテーマとして扱われていなかったバイオ関連のソレイジア・ファーマ、比較的競争が激しいアパレル関連のロコンドや太陽光関連のレノバなどが見受けられます。

○図表4 2017年1月~6月にマザーズへ新規上場した銘柄の初値騰落率

銘柄
コード
市場 銘柄名 公募価格(円) 上場初値(円) 騰落率
(公募価格比)
現在値(円) 騰落率
(初値比)
3561 マザーズ 力の源HD 600 3,655 +509% 1,985 -46%
3986 マザーズ ビーブレイクシステムズ 1,670 7,700 +361% 5,840 -24%
3984 マザーズ ユーザーローカル 2,940 12,500 +325% 8,480 -32%
3976 マザーズ シャノン 1,500 6,310 +321% 3,145 -50%
6545 マザーズ インターネットインフィニティー 1,320 5,040 +282% 9,110 +81%
9325 マザーズ ファイズ 1,250 4,010 +221% 6,750 +68%
3985 マザーズ テモナ 2,550 8,050 +216% 6,660 -17%
3565 マザーズ アセンテック 2,000 5,950 +198% 5,950 +0%
3557 マザーズ U&C 1,620 4,500 +178% 3,985 -11%
6548 マザーズ 旅工房 1,370 3,750 +174% 3,610 -4%
6552 マザーズ GameWith 1,920 4,490 +134% 4,205 -6%
6550 マザーズ Fringe81 2,600 6,060 +133% 5,820 -4%
3983 マザーズ オロ 2,070 4,750 +129% 3,110 -35%
3559 マザーズ ピーバン 1,650 3,530 +114% 2,217 -37%
6551 マザーズ ツナグ・ソリューションズ 2,130 4,515 +112% 5,350 +18%
3479 マザーズ TKP 6,060 10,560 +74% 14,580 +38%
6544 マザーズ JESHD 550 890 +62% 1,748 +96%
9519 マザーズ レノバ 750 1,125 +50% 1,201 +7%
3558 マザーズ ロコンド 1,850 2,625 +42% 1,946 -26%
4597 マザーズ ソレイジア・ファーマ 185 234 +26% 343 +47%
3979 マザーズ うるる 3,000 3,330 +11% 4,890 +47%
3981 マザーズ ビーグリー 1,880 1,881 +0% 2,071 +10%
  • 現在値は2017年7月6日時点。

これらの銘柄について、2017年7月6日時点で見ても、セカンダリーマーケットでは、初値があまり過熱しなかった銘柄の方が好調で、初値が過熱した銘柄の方はその後の値動きが奮わない傾向に変わりはありません。

本日7月12日に上場したソウルドアウト株式会社を始めとして、今後も3銘柄の上場が予定されています。多くのIPO銘柄は、上場当初は値動きも荒く、凄腕のデイトレーダーも多く参戦するため、闇雲にセカンダリーマーケットで高値を追いかけるのは、初心者の方にはリスクが高い可能性があります。ここで紹介した初値とその後の値動きに関する特性も参考にして、慎重に銘柄を選ばれてはいかがでしょうか。

松井証券シニアマーケットアナリスト 窪田朋一郎

2001年、松井証券に入社。マーケティング部を経て現職。
ネット証券草創期から株式を中心に相場をウォッチし続け、投資家動向にも詳しい。

リスクおよび手数料などについて

  • 本レポートは、当社が信頼できると判断した情報に基づき記載されていますが、その情報の正確性および完全性を保証するものではありません。
  • 本レポートは、お客様への情報提供を唯一の目的としたものであり、投資勧誘を目的として作成したものではありません。また、個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。
  • 投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようにお願いいたします。
  • 本レポートに掲載された情報の使用による結果について、当社が責任を負うものではありません。
  • 本レポートに掲載された意見や予測等は、レポート作成時点の判断であり、今後、予告なしに変更されることがあります。
  • 本レポートの一切の著作権は当社に帰属します。いかなる目的であれ、無断複製または配布等を行わないようにお願い いたします。