FXテクニカル分析のヘッドアンドショルダーとは?見つけ方や取引方法、ポイント

2024/2/29

FXトレードにおいて、取引対象である通貨の値動きが今後どのように展開していくかは重要なポイントです。そこでトレンドの継続や転換を予測する際に「チャートパターン」に注目してみましょう。特に、今回取り上げるヘッドアンドショルダーは、投資家の間にも広く浸透しているチャートパターンなので、知っておいて損はありません。

何を示す指標なのか、どのような場面で活用できるのか、本記事では、ヘッドアンドショルダーの仕組みや活用方法などを詳しく解説します。

ヘッドアンドショルダーの概要

トレンド転換の代表的なパターンであるヘッドアンドショルダーの形状やトレードに用いるメリットなど、基本的な知識を身につけましょう。

ヘッドアンドショルダーとは

市場ではトレンド相場(上昇トレンド・下降トレンド)とレンジ相場の2種類があり、これらの相場が時間の経過とともに入れ替わりながら動いています。「チャートパターン」とは、トレンド(特定の方向に価格が進むこと)が反転または継続する際に現れる特徴的なチャートの形状を指します。チャートパターンは多くのトレーダーによって意識されているため、覚えておけばトレンド転換のタイミングをつかむヒントにすることができます。また、トレンドが転換してからどのくらいまでレートが動くのかを予測するのにも役立てることもできます。

「ヘッドアンドショルダー」は有名なチャートパターンの一つで、3つの山と2つの谷で形成されているのが基本形です。真ん中の一番高い山が人間の頭、その高い山を両方から挟んだ格好の2つの山が人間の肩のように見えることから、このような名称がつきました。

ヘッドアンドショルダーのチャートパターンとは

ヘッドアンドショルダーには「天井を打つパターン(ヘッドアンドショルダーズトップ)」と「底を打つパターン(ヘッドアンドショルダーズボトム)」の2種類のチャートパターンがあります。つまり、天井を打って下落する可能性や底値を確認して上昇する可能性を示すチャートの形状であるといえるのです。

ヘッドアンドショルダーズトップは、2つの山(高値)に挟まれた真ん中の山が一番高くなるのが特徴で、釈迦の左右に菩薩が配置された釈迦三尊像に見立て「三尊天井」と呼ばれることもあります。こうした形がチャート上に現れた場合は、上昇トレンドから下降トレンドへの転換を疑ってポジションを調整することができます。

ヘッドアンドショルダーズボトムは、ヘッドアンドショルダーズトップと真逆の形になるのが特徴で、2つの谷(安値)に挟まれた真ん中の谷が一番低くなります。そのため「逆三尊」や「逆ヘッドアンドショルダー」と呼ばれるのが一般的です。下降トレンドの終わりに発生しやすいチャートパターンであり、上昇トレンドへの転換を予測するのに役立つので、買いポジションを持つ場合に心強い指標になりえます。

ヘッドアンドショルダーを見つける方法

ヘッドアンドショルダーを形成したかどうかは、ネックラインや山の高さに注目することがポイントです。

天井を打つパターン(ヘッドアンドショルダーズトップ)

ネックラインができているかどうか

ネックラインとはチャートのトレンド転換を示すラインのことです。ヘッド(頭)とショルダー(肩)に対して首(ネック)のように見えることから、このような名称で呼ばれています。

押し目(上昇相場の中で一時的に安値をつけたところ)となっている安値同士を結んだ線がネックラインです。ネックラインは「サポートライン」として意識されやすいため、価格がネックラインにタッチすると売買が活発になりやすく、ラインを下抜けする(ブレイクする)と一方向に価格が動いていく傾向があります。

山の高さが水平になっている

ネックラインは必ずしも綺麗に水平な線が引けるとは限りません。ヘッドアンドショルダーズトップは、1番目と3番目の山がほぼ同じ高さになるときに、株価が下落していればヘッドアンドショルダーズトップと判断します。

なお、3つの山の高さが同じである場合は「トリプルトップ」と呼ばれます。また、山が2つしか形成されず、2つの山の高さが水平になっている場合は「ダブルトップ」と呼ばれます。
これらのチャートパターンは、ヘッドアンドショルダーズトップと比べて、やや弱いトレンド転換のシグナルとされています。

ではなぜ、このようなパターンを形成するのでしょうか。価格が高騰すると、利益確定の動きや値下がりを見込んだ売りポジションも増加します。すると価格上昇は減速しますが、それを恰好の買い場ととらえての新規参入や追加投資などの動きが起こることがあります。それによってさらに価格高騰が起こりますが、多くの投資家がそれ以上の高値で買うことをやめ、利益確定や売りポジションも増加するため、やがては下落します。下落したところを買う動きが再度出現しますが、売り優先となってそれまでの上昇トレンドが終り、次は下落トレンドに向かうことになります。ネックラインを下に抜けるかどうかがトレンドの転換の見極めポイントとなります。

底を打つパターン(ヘッドアンドショルダーズボトム)

ネックラインをひけるかどうか

ヘッドアンドショルダーズボトムにおいては、押し目となっている高値同士を結んだ線をネックラインとするのが一般的です。ネックラインは「レジスタンスライン」として多くのトレーダーに意識されており、ラインを上抜けすると上昇トレンドに転換する傾向があります。

ただし、ヘッドアンドショルダーズトップと同様に、ネックラインは必ずしも綺麗に水平な線が引けるとは限らないため、注意しましょう。

谷が同じ深さになっている

ヘッドアンドショルダーズボトムでは、1番目と3番目の谷がほぼ同じ深さになる傾向があります。チャート上でこれら2つの谷が水平になったあとに株価が上昇していればヘッドアンドショルダーズボトムと判断できるでしょう。

なお、3つの谷の深さが同じであった場合は「トリプルボトム」と呼ばれます。また、谷が2つしか造られず、2つの谷が同じ深さなっている場合は「ダブルボトム」と呼ばれることが一般的です。
これらのチャートパターンは、ヘッドアンドショルダーズボトムと比べて、やや弱いトレンド転換のシグナルとされています。

ヘッドアンドショルダーを使った取引方法

ヘッドアンドショルダーは、エントリーポイントや損切りのタイミングを判断するのに役立ちます。

ネックラインを下にブレイクしたとき

ヘッドアンドショルダーズトップが完成すると、下降トレンドに転じる傾向があります。そのため、ネックラインを下方向にブレイクしたタイミングで売り注文を出せば、下降トレンドに乗ることができ、利益を狙える可能性があります。反対にヘッドアンドショルダーズボトムは、上昇トレンドへの転換を示唆するチャートパターンであるため、ネックラインを上方向にブレイクしたタイミングで買い注文を出せば、利益を狙いやすくなるでしょう。

ネックラインをブレイクしたあとは、一番高い山(一番低い谷)からネックラインまでの値幅と同じ分だけ、ネックラインから価格が下降(上昇)する傾向があるため、その地点を利益確定のポイントとして意識をしておくと良いでしょう。

損切りのタイミングを考える

損切りとは、損失が出るのを承知の上で決済することです。FXは、勝ち負けを繰り返しながら利益を積み重ねていく取引が一般的であるため、トータルでの利益をプラスにするためにも、損失を最小限に抑えることが大切になります。適切なタイミングで損切りができなければ短時間で損失が拡大してしまうため、予測と反対の値動きをした場合には、ある程度のタイミングで見切りをつけることが重要です。

例えば、ヘッドアンドショルダーズトップにおいては、価格がネックラインを下にブレイクしたあとに切り返して上昇を続け、再度ネックラインを超えた場合には下降方向にトレンド転換しなかったと考えたほうが良いでしょう。この場合、ネックラインの少し上を損切りポイントとしておけば、必要以上に損失が拡大することを防げるはずです。

【関連リンク】FXにおける損切りとは?目安やルール、損失を抑えるためのポイント

ヘッドアンドショルダーを使った取引のポイント

ヘッドアンドショルダーを取引に活用する際は、チャートパターンが形成されたことを確認してからエントリーすると良いでしょう。なぜなら、テクニカルにおいては常に「だまし」が発生する可能性があるからです。だましとは、チャート分析での予測結果と違った値動きをすることを指します。例えばヘッドアンドショルダーズトップが完成したあとに、そのまま上昇トレンドが継続するようなケースは、だましの典型的なパターンの一つです。

トレンド転換が起きたことを確認してからエントリーすることで、ある程度だましを防げる可能性があります。「価格がネックラインを下抜けて現在値を付けている」「これまでのネックラインがレジスタンスラインとして機能している」などの状況を確認してからエントリーすると良いでしょう。短期足で強いトレンドが発生している場合は、このようなだましが起きやすいため、4時間足などのより長期の足で確認もするとよいでしょう。

【関連リンク】FXの取引で使われる4時間足とは?利用するメリットやデメリット

ヘッドアンドショルダーはトレンド転換を表す重要な指標

ヘッドアンドショルダーは多くの投資家に意識されており、数あるチャートパターンの中でも機能しやすいといわれています。トレンド転換のタイミングを見極めるのに役立つ指標であるため、ネックラインをブレイクしたタイミングを狙ってエントリーしたり、ネックラインを損切りのポイントとしたりすれば、利益を積み重ねやすくなるかもしれません。

ただし、だましが生じる可能性も十分あるため、トレンドが転換したことを明確に確認できてからエントリーすることも心がけておきましょう。チャートを意識して見る習慣をつけ、有効なパターンを見つけてトレードに活用することで利益や損失の収支改善に役立ててください。

<監修者>

木村佳子

<プロフィール>

一級FP技能士(国家資格)。NPO法人 日本FP協会上級資格CFP。IFTA国際テクニカルアナリスト連盟最上位資格MFTA®の日本で最初の女性取得者。早稲田大学大学院ファイナンス研究科専門職MBAファイナンス修士。日本ベンチャー学会。日本IR学会。生活経済学会。消費者行動学会正会員。YouTube 「木村佳子チャンネル」で資産運用情報を発信中。

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