FXにおける平均足とは?チャートの見方や分析に活用するメリット

2024/3/27

相場の動きをグラフで表した「チャート」を読み解いて、取引のタイミングや相場の方向性を判断するのがチャート分析です。チャート分析の中でも、多くのトレーダーに利用されている「ローソク足」は、相場の値動きを忠実に表す反面、トレンド(価格の方向性)を見失いやすいデメリットがあります。そこで、ローソク足を改良して、トレンドを視覚的に把握しやすくしたのが「平均足」です。

本記事では、平均足の基本的な知識やチャートの見方、実際の取引での活用法などを解説します。

FXにおける平均足とは?

FXにおいて、平均足は相場のトレンドを掴むのに有効な指標です。ここでは、平均足の概要やメリット・デメリットなどを解説します。

平均足の概要

平均足とは、ローソク足を改良したテクニカル指標です。平均足においては「始値」は一つ前の期間の始値と終値の平均値(一つ前のローソク足の実体部の中央値)を、「終値」は期間中の高値・安値・始値・終値の平均値を使用します。例えば、日足において、前日の始値が140円で、終値が141円であれば、当日の始値は140円50銭です。また、当日の始値が140円50銭、安値が139円、高値が141円、終値が139円50銭であれば、これらの平均である140円が終値になります。

平均値の活用で、値動きのブレが減少するため、陽線や陰線が連続して出現しやすくなり、トレンドを視覚的に把握しやすくなるわけです。

平均足のメリット

平均足のメリットは、シンプルで分かりやすく、初心者から上級者まで幅広く利用しやすい点にあります。平均足では、陽線と陰線が現在の相場の傾向を反映しており、トレンドの継続中は同じ色の陽線と陰線が連続して現れるため、トレンドを一目で素早く捉えることが可能です。また、平均足の実体の長さからトレンドの強弱を判断できます。

平均足のデメリット

平均足はトレンドが発生している相場で活躍しますが、レンジ相場では活用しづらい傾向があります。レンジ相場では価格の方向性が定まらず、陽線と陰線が頻繁に入れ替わることが多いかためです。レンジ相場の中で平均足だけを見て安易にエントリーすると「だまし」にあって損失を出す可能性があります。だましとは、チャート分析の予測と異なる値動きをする現象のことです。だましが発生する理由は様々ですが、単に偶然生じた単発的な状況ともいえます。そこで平均足を単独で利用するのではなく、他のテクニカル指標と組み合わせることや、より長期の足でも確認するといった工夫が必要となります。

FXにおける平均足の見方

ここでは、FX取引における平均足の見方や、実際のトレードでの活用方法などを解説します。

実体の見方

平均足における実体とは、始値と終値で囲まれた長方形の部分を指し、実体の長さはトレンドの強弱を表します。実態が長ければ、その期間中に価格が大きく動いたことを意味し、逆に実体が短い場合は、価格があまり変わらなかったことを意味します。

一つ前の足より、実体が短い平均足が現れた場合はトレンドの勢いが弱まり、トレンド転換が起こる可能性があると見なすことができるため、注意したほうが良いでしょう。例えば、上昇トレンドのときに、前の足より短い陽線が出た場合は、買い圧力が弱まっていることを意味し、上昇トレンドが終わりに近づいていると考えられます。このように実体の長さを、トレンドの判断材料とすることができます。

陽線と陰線の見方

陽線とは、始値が終値よりも低い足であり、値動きのベクトル(方向性)は上、つまり上昇した状態を表します。一方、陰線は、始値が終値よりも高い場合に現れる足で、値動きは下方向だったことを表しています。したがって、陽線が連続しているときは上昇トレンドが強いと判断でき、反対に陰線が連続しているときは下降トレンドが強いと考えられます。

ひげの見方

「ひげ」とは、足の実体から上下に伸びている細い線のことです。

陽線から上ひげが伸びている場合は、買い方が高値まで買い進めたものの売り圧力に押し戻されたと推測できます。高値圏で上ひげの長い陽線が連続した場合は、売りの圧力が強く、下降トレンドに転換する可能性があると考えられるでしょう。一方、陽線に長い下ひげが出た場合は、売り圧力より買いの勢いが強く、安値圏では上昇トレンドへの転換を示唆します。

陰線でも同じように高値圏で下ひげの長い陰線が連続している場合は、買い圧力に支えられたものの、売り圧力の方が強かったと解釈し、下降トレンドへ転換する可能性を意識しましょう。安値圏で下ひげの長い陰線が出た場合は、売り圧力は強かったもの価格が下落しきらず、買い方の抵抗が強かったと解釈でき、上昇トレンドへの転換があり得ると捉えることができます。

また、寄引同時線が出た場合は、トレンド転換の可能性意識しましょう。寄引同時線とは、始値と終値がほぼ同額で上下にひげが伸びており、十字のような形になっています。似ている形にコマ足があり、こちらも同じくトレンド転換のポイントとなります。

高値圏では、これまでの買い方の勢いを売り方が止めたことになり、下落への転換の示唆に、安値圏では、これまでの売り方の勢いを買い方が止めたと考えられ、上昇への転換と捉えることができます。特に、上下に長いひげが出ている場合は、大きな値動きが予想されます。

平均足を使ったFX取引のポイント

テクニカル分析を用いるときの鉄則は、ほかの分析法と併用して複合的に判断することです。平均足を活用してFXで取引をする際も、他のテクニカル指標と組み合わせて、売買のシグナルを見つけることをおすすめします。これによってだましを避けることができ、損失を負うリスクを減らしながらトレードすることができます。

平均足と組み合わせると効果的なテクニカル指標のひとつが「ボリンジャーバンド」です。ボリンジャーバンドは、標準偏差を利用した価格の変動幅を表すバンドと、中心に引かれた移動平均線で構成されています。

バンド幅が拡大している状態は「エクスパンション」と呼ばれており、トレンドが発生しやすいとされています。反対にバンド幅が収縮している状態は「スクイーズ」と呼ばれており、レンジ相場になりやすいのが特徴です。

上ひげのある陽線の平均足が連続している状態で、エクスパンションが発生すれば、上昇トレンドに移行する可能性が高いと考えられるでしょう。反対に、下ひげのある陰線の平均足が連続した直後にエクスパンションが発生したときは、下降トレンドに移行すると予測できます。

スクイーズに移行した場合は、平均足が機能しにくいレンジ相場になると予想されるため、それに備えたトレード戦略を持つことが重要です。エントリーするのか、見送るのか、基準を決めて全般的な流れと合わせてトレードの判断をするという具合です。

移動平均線やRSI、MACDなどのテクニカル指標も平均足と組み合わせるとさらに効果的です。より精度の高いトレードができるようになるでしょう。

【関連リンク】FXのテクニカル分析とは?代表的な6つの分析指標と注意点

平均足はトレンドがはっきりしている時に役立つ指標

平均足は、トレンドの流れを視覚的に把握しやすいテクニカル指標です。陽線や陰線が連続している場合はトレンド発生の有無を、実体の長さやひげを見ればトレンドの強弱を判断する手がかりとなります。ただし、レンジ相場で活用するのにはあまり向いていないでしょう。また単独のテクニカル分析では、だましが発生することも少なくないため、他のテクニカル指標との組み合わせで活用することがトレード判断の精度を向上させるポイントになります。

<監修者>

木村佳子

<プロフィール>

一級FP技能士(国家資格)。NPO法人 日本FP協会上級資格CFP。IFTA国際テクニカルアナリスト連盟最上位資格MFTA®の日本で最初の女性取得者。早稲田大学大学院ファイナンス研究科専門職MBAファイナンス修士。日本ベンチャー学会。日本IR学会。生活経済学会。消費者行動学会正会員。YouTube 「木村佳子チャンネル」で資産運用情報を発信中。

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