レンジ相場とは?FX取引への活用法やほかの値動き相場との見分け方

2024/1/31

FXで利益を狙うためには、相場分析が欠かせません。取引手法や分析手法について情報収集している中で、「レンジ相場」という用語を目にしたことがある人は多いのではないでしょうか。レンジ相場の意味は知っていても、実際の取引にどう活かせば良いのか分からず困っている人もいるでしょう。

本記事ではレンジ相場の特徴や見分け方、取引での活用方法などを詳しく解説します。

レンジ相場とは?

レンジ相場とは、一定の変動幅の中で価格が上昇と下降を繰り返している相場のことです。ボックス(圏)相場や往来相場とも呼ばれることもあり、価格に方向性がない状態といえます。一方、継続して価格が上昇・下降している相場は、トレンド相場と呼ぶのが一般的です。

FXでは、全体の7割程度がレンジ相場といわれているため、目にする機会は多いでしょう。ただし、レンジ相場になりやすい時間帯や通貨ペアがいくつかあるため、覚えておくと取引の際に役立つかもしれません。

レンジ相場になりやすい時間帯の代表例は「東京時間」と呼ばれる8時〜16時の時間帯です。この時間帯はロンドン時間(16時~翌2時)やニューヨーク時間(21時~翌6時)と比べると、値動きが落ち着く傾向があります。

また、レンジ相場ができやすい通貨ペアの代表例は「ユーロ/ポンド(EUR/GBP)」「豪ドル/NZドル(AUD/NZD)」です。これらの通貨ペアを形成する2つの国は地理的に近く、経済的な結びつきが強いこともあり、似たような為替の値動きになる傾向があります。そのため、レンジ相場になりやすいとされています。

なお、ここで例に挙げた2つの通貨ペアは、自動売買で手掛けやすい通貨ペアともいえます。自動売買とは、一定のルールに基づいて売買を繰り返す取引手法のことです。一定の値幅で上昇・下降を繰り返すレンジ相場では、指定した値幅の中で売買を繰り返す自動売買とは相性が良く、継続的に利益を狙える可能性があります。

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レンジ相場をFX取引で活用する方法

レンジ相場で利益を狙う際は、一般的に「逆張り」が有効とされています。逆張りとは、相場の流れに逆らって売買することです。

レンジ相場ではレジスタンスライン(過去の高値を結んだ線)とサポートライン(過去の安値を結んだ線)に近づいた時に逆張りでエントリーする手法がよく用いられます。これら2つのラインは、多くの投資家に意識されているポイントなので、そのタイミングでポジションを保有すると利益を得られる可能性があるということです。

例えば価格が上昇を続けてレジスタンスラインに近づいたら、価格が下落すると予測し「売り」でエントリーし、反対に価格が下落してサポートラインに近づいたら、価格が反発すると予測し「買い」でエントリーするといった手法が用いられます。

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FXにおける相場の見分け方は?

FXの相場には、レンジ相場とトレンド相場の2つがあります。インジケーター(テクニカル指標)を活用することで、相場の違いを見分けやすくなるでしょう。

移動平均線を使う方法

まずは「移動平均線」を用いることで、FXの相場を見分ける方法を紹介します。移動平均線とは、一定期間の終値の平均値を線で結んだインジケーターで、線の向きや角度で相場を分析する点が特徴的です。

移動平均線が横ばいに推移している時はレンジ相場と判断できます。対して、移動平均線が斜め上・斜め下に向いている場合はトレンド相場である確率が高いといえるでしょう。また、移動平均線に角度がついているほど、強いトレンドが発生しているとみなすことができます。

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ボリンジャーバンドを使う方法

「ボリンジャーバンド」を使って、相場を見分ける方法もあります。ボリンジャーバンドは、統計学の標準偏差という考え方をもとにしたインジケーターです。移動平均線の上下に3本ずつ(+3σ~−3σ)標準偏差を表す線を引いて表示するのが特徴で「価格がこれらのライン内に高確率で収まる」といった理論をもとに相場分析を行います。

  • 各σ(シグマ)の見方は、
  • ±1σ(シグマ)に収まる確率:68.2%
  • ±2σ(シグマ)に収まる確率:95.4%
  • ±3σ(シグマ)に収まる確率:99%

とし、ほとんどの確率で±3σ(シグマ)内に価格は収まると判断するわけです。ただし、強いトレンドや急な相場の変動の時などは、±3σ(シグマ)内に収まらないこともあり、その場合はトレンド転換ととらえます。

レンジ相場の場合、バンド幅が比較的狭く収縮(スクイーズ)し価格も横ばいで推移する傾向があります。一方、バンド幅が拡大(エクスパンション)して、価格が一方向に動いている時はトレンド相場である可能性が高いとみなせるでしょう。

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RSIを使う方法

「RSI」と呼ばれる相場の過熱感を測るインジケーターも相場を分析する際に役立ちます。RSIは、メインチャート下のサブチャートに表示するラインが0%〜100%のどこに位置しているかによって「買われすぎ」「売られすぎ」を判断しようとするものです。

例えば、30%・70%のラインを超えたとき各々は「売られすぎ」・「買われすぎ」の状況にあるととらえることができ、その後は価格が反転すると予測するわけです。一方で、30%〜70%でゆったり推移しているときは、比較的相場が落ち着いている、つまりレンジ相場であるとみなすことができるのです。

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レンジ相場を使ったFX取引のポイント

レンジ相場の値動きの特徴を把握したうえでエントリーすれば、利益を狙いやすくなるかもしれません。ここではレンジ相場を使ってFX取引をする際のポイントを解説します。

小さな利益を積み上げる投資に向いている

レンジ相場では、一回の取引で大きな利益を狙うよりも、小さな利益を積み上げることを考えたほうが良いでしょう。なぜなら、レンジ相場では狙える利幅の上限が決まっているからです。例えば1ドル=140円から1ドル=141円の範囲でレンジ相場が形成されている場合、基本的に1通貨あたり1円が狙える利幅の上限となります。そのため、数秒〜数分で売買を繰り返す「スキャルピング」や数十分〜数時間単位で売買をする「デイトレード」のような手法で利益を狙うと良いでしょう。反対に、レンジ相場では1回の取引で一定以上の値幅を狙うことは難しいので、ポジションを長く保有し、トレンドに乗って大きな利幅を狙う「スイングトレード」とは対極の取引といえます。

利益が小さい分、損失も限定される傾向があるため、比較的リスクを抑えた取引をしたい人は、レンジ相場でコツコツ利益を狙ってみると良いでしょう。

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価格の変動が大きくなったら取引の仕方を変更してみる

FXで取り組んでいる投資対象の通貨の動き方において、価格がレンジ相場の上限(レジスタンスライン)や下限(サポートライン)を突破するような場合は突破した方向にトレンドが形成されることが多いため、そのタイミングではトレンドに対して順張りでエントリーすると、大きな利益を得られるかもしれません。

だましが起きるおそれがある

FXに限った話ではありませんが、インジケーターを利用したテクニカル分析では「だまし」と呼ばれる現象が起きることがあります。だましとは、予測した方向と結果的には逆の値動きになるようなケースです。例えば、レジスタンスラインを超えて価格が上昇したとしましょう。このケースでは、上昇トレンドに転じる可能性が高いと判断できるため「買い」でエントリーするのが一般的です。しかし、エントリー直後に価格が逆行し、元のレンジ相場に戻ってしまう、といった動きになってしまうことがあります。だましは、大口投資家が多くの人が予想する方向と反対方向に大量のポジションを持つことや、システミックリスク(何らかの複合的な要素)から起こるとされています。

完全にだましを防ぐ方法はありませんが、複数のインジケーターを活用しての相場分析は、分析の精度を高める点で有効です。少なくとも2つ以上のインジケーターを利用するなどで回避するとよいでしょう。また、価格が逆行した時に備え、あらかじめ損切り注文を出しておくことも大切です。

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レンジ相場は自動売買に向いている

FXでは全体の7割程度がレンジ相場といわれています。レンジ相場では、トレンド相場よりも一度に狙える利幅は少なくなりやすいものの、大きな損失を出すリスクも抑えられるため、初心者でも比較的成功しやすいといえるでしょう。

レンジ相場で効率的に利益を狙いたい場合は、自動売買を活用するのも有効です。松井証券では、あらかじめ「注文する値幅」や「注文を仕掛ける範囲(レンジ)」などを設定し、設定したルール通りの注文を繰り返すリピート系の自動売買を提供しています。一定の値幅で上がったり下がったりを繰り返すレンジ相場で、長期間取引すれば利益をコツコツと積み重ねることが期待できます。

一度売買条件を設定すれば、24時間自動で取引を繰り返すので、チャートを注視し続ける必要はありません。機械的に取引を行うため、感情に左右されて売買タイミングを逃す心配も少なくなる点も魅力です。レンジ相場で利益を狙うチャンスを逃したくない人は、積極的に活用してみてください。

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<監修者>

木村佳子

<プロフィール>

一級FP技能士(国家資格)。NPO法人 日本FP協会上級資格CFP。IFTA国際テクニカルアナリスト連盟最上位資格MFTA®の日本で最初の女性取得者。早稲田大学大学院ファイナンス研究科専門職MBAファイナンス修士。日本ベンチャー学会。日本IR学会。生活経済学会。消費者行動学会正会員。YouTube 「木村佳子チャンネル」で資産運用情報を発信中。

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