FXにおけるRSIとは?期間の設定や計算方法、使い方、使用時の注意点

2023/1/17

FXで利益をあげるためには、過去の値動きから将来の値動きを予測する「テクニカル分析」が有効です。RSIは、多くのFXトレーダーに利用されているテクニカル分析の1つです。しかし、FX初心者の場合、どのように取引で活用すればよいのか、いまいちピンとこないという方も多いでしょう。

この記事では、RSIの基礎知識や使い方、取引に活用する際の注意点などを詳しく解説します。

FXにおけるRSIの基礎知識

RSIとは何を表す指標なのでしょうか。定義や計算方法などの基礎知識をはじめに理解しておきましょう。

RSIとは

FXの相場分析に役立つテクニカル指標は、相場の流れや方向性がわかる「トレンド系指標」と、買われすぎ・売られすぎなどがわかる「オシレーター系指標」の2種類に大きく分けられます。RSI(Relative Strength Index)は、オシレーター系のテクニカル指標です。日本語では「相対力指数」と呼ばれるもので、J.Wワイルダー氏によって考案されました。

RSIは基本的にメインチャートの下にサブチャートとして表示されます。サブチャート上のラインが0~100%までの間のどこに位置しているかによって、買われすぎや売られすぎなど、相場の過熱感を判断できる仕組みです。

RSIの期間設定

RSIは、過去の一定期間における価格の変動幅をもとに、相場を分析する手法です。一定期間は「14日間」に設定されることが多く、RSIの考案者であるJ.W.ワイルダーも14日間を推奨しています。他には9日、22日、30日、42日、52日などの期間が用いられることもあります。

RSIの計算方法

RSIは、一定期間の相場における値上がり幅と値下がり幅の比率を表したものです。一定期間の「上昇幅の合計(A)」と「下降幅の合計(B)」を合わせたもののうち、「上昇幅の合計」がどれくらいであるかを示しています。

計算式は以下のとおりです。

RSI(%)=(A÷(A+B))×100

たとえば、14日間の上昇幅の合計が10円、下落幅が3円だったとすると、RSIは(10円÷(10円+3円))×100=76.9%となります。

ただし、一般的にRSIはFX会社のツールで自動的に計算されるため、計算式を覚える必要はありません。取引ツールを使うことで、自動的にチャートに表示されます。

FXでのRSIの使い方

RSIはどのような場面で役立つ指標なのでしょうか。ここではRSIを実際の相場で活用する方法を説明します。

相場が買われすぎか、売られすぎかを判断する

RSIの変動幅はチャート上に0~100%で表示されます。一般的に、70~80%以上であれば買われすぎ、20~30%以下となれば売られすぎと判断されます。買われすぎの場合は、今後売りが加速する可能性が高いと予測し、売りでエントリーする(注文を出す)、反対に売られすぎの場合は買いでエントリーする、というように、相場の過熱による反発を狙う「逆張り」がRSIの基本的な使い方となります。

また、通貨ペアによってRSIの使い方が変わることもおぼえておきましょう。ある通貨では60以上が売りシグナル、40以下が買いシグナルとなる一方で、価格変動が大きい別の通貨では80以上が売りシグナル、20以下が買いシグナルになる、といったことがあります。

ダイバージェンス(逆行現象)を見つける

ダイバージェンスとは「逆行現象」を意味する言葉です。チャート上に表示されるローソク足に対して、テクニカル指標で示される数値が逆方向に動いている状態を指します。

たとえば、下降トレンドであるにもかかわらず、RSIの数値が上昇しているような局面はダイバージェンスが発生しているとみなします。ダイバージェンスが発生した場合、トレンドの勢いが弱まっていると判断できるため、トレンドの終了や転換のサインとなる可能性が高いわけです。エントリーポイントを探るヒントにもできるでしょう。

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FXでRSIを使用するときの注意点

RSIはどのような局面でも正確に相場状況を把握できるものではありません。使うのに適した相場があります。

RSIは逆張りによるエントリータイミングを探るのに有効な指標です。しかし、チャート分析通りに値動きが推移しない「ダマシ」が発生するケースもあるため注意が必要です。

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たとえば、RSIでは70%以上で買われすぎ、30%以下で売られすぎと判断されますが、必ずしもそのタイミングで確実に反発するわけではありません。強いトレンドが発生している場合には、70%のラインを超え、80%、90%とずっと上昇し続けるケースもあります。逆に30%のラインを下回り続け、売られすぎのゾーンをなかなか抜け出せない場合もあります。

強いトレンドが発生している場合に、売買サインが機能しなくなることがあるのがRSIの弱点の一つです。RSIは相場のシグナルを素早く確認できますが、RSIだけを頼りに売買判断をしてしまうと、シグナルに騙される可能性があります。つまり、RSIは、価格に方向性が見出しにくく、上昇と下降を繰り返している相場、すなわち「レンジ相場」でこそ効力を発揮するテクニカル指標といえます。

トレンド相場では、RSI単体ではなく、他のテクニカル指標と組み合わせることで、相場分析の精度を高めることができます。

代表的なものは「MACD」です。MACDでは「MACDライン」と「シグナル線」という2つのラインがあり、MACDラインがシグナル線を下から上へ抜けた場合は「ゴールデンクロス」として買いサイン、逆に上から下へ抜けた場合は「デッドクロス」として売りのサインとされています。

RSIとMACDがどちらも買いサインを示している場合、たとえば、RSIが70%を上回り、MACDがゴールデンクロスとなっているようなケースでは、買いでエントリーすることで勝率が高められる可能性があります。

同様に「ボリンジャーバンド」も、RSIと組み合わせることで相場の予測精度を高めることができます。ボリンジャーバンドは、標準偏差を用いて将来の価格変動範囲を予測します。移動平均線とその上下に+1σ~3σ、-1σ~3σの合計6本のラインをひき、そのラインで構成されるバンドの広がりや、ローソク足の位置関係から、トレンドを分析します。統計学に基づくと、価格が±1σに収まる確率は約68.26%、±2σに収まる確率は約95.44%、±3σに収まる確率は約99.73%とされており、価格の水準がこれらのラインに近づいた場合は、反発する可能性が高いと予測します。

RSIが30%を下回っているタイミングで-2σにタッチしたら売られすぎのため買いエントリー、RSIが70%を上回っているタイミングで+2σにタッチしたら買われすぎのため売りエントリーする、といった手法により、利益を狙える可能性があります。

RSIはFX初心者にとっても有用なツール

RSIは相場の過熱感を知ることができるテクニカル指標です。値動きの強弱が数値化されることにより、一目で買いや売りのタイミングがわかるため、数あるテクニカル指標の中でも、初心者にとっても活用しやすいといえるでしょう。

ただし、テクニカル分析は1つの指標だけでは予測が難しい面があります。RSI以外のテクニカル指標についても理解を深め、それらを組み合わせて相場を分析するようにしましょう。

<監修者>

木村佳子

<プロフィール>

一級FP技能士(国家資格)。NPO法人 日本FP協会上級資格CFP。IFTA国際テクニカルアナリスト連盟最上位資格MFTA®の日本で最初の女性取得者。早稲田大学大学院ファイナンス研究科専門職MBAファイナンス修士。日本ベンチャー学会。日本IR学会。生活経済学会。消費者行動学会正会員。YouTube 「木村佳子チャンネル」で資産運用情報を発信中。

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