FXに税金はかかるの?税率の計算方法から確定申告まで徹底解説

2022/9/2

FXは少額から取引ができるため、取引経験のない初心者でも始めやすい投資のひとつです。ただし、株や不動産などほかの投資と同様に、FXで利益が得られた場合には税金が課せられます。FXにかかる税金の仕組みについて、少しでも利益が出たら税金が発生するのか、どのような場合に確定申告が必要なのかなど、気になることが色々とあるでしょう。

本記事ではFXにかかる税金の計算方法や確定申告の方法などを解説します。FXを始める前に税金の知識を身につけておきたい人はぜひ参考にしてください。

そもそもFXとは?という方はこちらをご覧ください

FXにかかる税金

ここではFXにかかる税金の種類や税率、確定申告が必要なケースなどを解説しています。

FXの利益には所得税(復興特別所得税を含む)+住民税(地方税)が課税される

基本的に、個人が得る所得に対しては、所得税や住民税が課税されます。FXで得た利益も所得の扱いとなるため、課税対象です。

FXの利益は、1月1日から12月31日までに決済した為替差益(通貨ペアごとの為替レートの変動を利用して「安く買ったものを高く売る」ことにより得られる利益)とスワップポイント(通貨ペアごとの金利差から得られる利益)の合計から必要経費を差し引いたものを指します。必要経費はFXでの利益を生み出すために使った費用のことです。一般的に、書籍代やセミナー代、パソコンの購入費用、インターネットの通信料金などが含まれます。

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FXの利益にかかる税率は、所得税が15.315%、住民税(地方税)が5.0%で、2037年までは復興特別所得税0.315%が加算されています。給与所得や事業所得は、所得が増えるほど税率が高くなる「累進課税」の仕組みになっているのに対して、FXにかかる税率は所得の金額にかかわらず一律です。

課税方式は申告分離課税となるため、基本的には確定申告が必要

FXで利益が発生した場合

FXで利益が発生した場合は原則として確定申告が必要です。

FXの利益は「雑所得」に分類されます。雑所得とは、所得税法上10種類に分類される所得のうちほかの9種類のどれにも属さないものを指し、たとえば公的年金や原稿料が該当します。雑所得は通常、ほかの所得金額との合算後税額を計算する「総合課税」の対象です。

しかし、雑所得の中でもFXで得た利益は「先物取引に係る雑所得等」に分類されるため、例外的に、給与所得や事業所得などのほかの所得と合算せずに課税される「申告分離課税」の対象となっています。申告分離課税の対象となる場合、個別に税額を計算し、確定申告をしなければなりません。確定申告とは、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得の金額とそれに対する納税額を計算して確定させる手続きのことです。

ただし一定の条件を満たすケースでは、確定申告は不要となります。

① 以下の条件を満たす会社員
  • 年収が2,000万円以下
  • 給与を1か所から受けており、その給与の全部が源泉徴収の対象となっている
  • 給与所得や退職所得以外の所得(FX取引で得た利益を含む)の合計額が20万円以下
② 年間の所得合計額が48万円以下となる個人事業主や専業主婦(主夫)、無職

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FXで損失が発生した場合

FXで損失が発生した場合、基本的に確定申告は不要です。
ただし、「先物取引に係る雑所得等」に該当するものが複数あれば「損益通算」が可能となるため、確定申告したほうがよいでしょう。

損益通算とは、あるFX会社での取引で損失が出た場合、ほかのFX会社での取引や日経225のような先物、オプション取引などで出た利益の額から差し引いて、課税所得を小さくすることができる仕組みのことです。たとえばA社で100万円の利益を得ており、B社では100万円の損失を出しているときには「先物取引に係る雑所得等」は0円となり、課税されません。

加えて、損益通算を行ってもその年に控除しきれなかった損失が残った場合には、損失を翌年以降3年間にわたって「先物取引に係る雑所得等」の利益から控除できる「損失の繰越控除」という仕組みもあります。たとえば、2022年に100万円の損失が発生したケースでは、2023年に50万円、2024年に20万円、2025年に30万円、といったように利益を得た場合であっても、100万円の損失を毎年の利益と相殺しながら3年間繰り越すことができるのです。このケースでは2022年に発生した損失と、2023年以降の3年間で得た利益が同額となるため、3年間は課税されません。ただし、損失の繰越控除を行うには、毎年確定申告を行う必要があります。

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FXにかかる税金の計算方法や支払い方法

手元に残る利益を計算する上で、税金について正確に理解しておくことが大切です。ここではFXにかかる税金の計算方法や確定申告の方法を解説しています。

電卓と男女

税金の計算方法について

FXの取引で利益を得た場合いくらの税金がかかるのか、具体的に計算してみましょう。課税される金額は「所得(FX取引での利益)×税率」によって求められます。
所得(FX取引での利益)を求める計算式は以下の通りです。

所得(FX取引での利益)=為替差益+スワップポイント-諸経費

為替差益が50万円、スワップポイントが5万円、諸経費が3万円のとき、所得(FX取引での利益)=50万円+5万円-3万円=52万円となります。

所得に対する税率は、所得税が15.315%(復興特別所得税0.315%を含む)、住民税(地方税)が5.0%です。そのため、所得税額と住民税額、それを合算した税額合計は以下の通りとなります。

所得税額=52万円×15.315%=7万9,638円
住民税(地方税)額=52万円×5.0%=2万6,000円
税額合計(所得税額+住民税(地方税)額)=7万9,638円+2万6,000円=10万5,638円

確定申告のやり方

チャートを見ながら税金を計算する図

確定申告の期間は、原則としてその年の翌年2月16日から3月15日となっています。申告期間に間に合わなかった場合は「無申告加算税」が課されることもあるため注意しましょう。

確定申告の際、税務署に提出する書類は次の通りです。

申告書B(第一表、第二表)

所得や控除などの申告内容を記入する書類です。事業所得や不動産所得などを含む、すべての所得を申告対象としており、一般的に個人事業主向けのものとされています。

先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書

先物取引に係る事業所得や譲渡所得、雑所得を申告する場合に用いる書類です。

申告書第三表(分離課税用)

山林所得や退職所得、雑所得の一部など、分離課税の対象となる所得を申告するための書類です。

本人確認書類

国税庁のHP内に設けられている「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば、比較的少ない手間で、申告書を作成できます。

上のコーナーで作成した申告書を郵送で提出することもできますが、マイナンバーカードに組み込まれている「公的個人認証サービスに基づく電子証明書」を取得していれば、より利便性の高い「e-Tax」のサービスを利用することも可能です。

「e-Tax」とは、ネット上で作成した申告書類を、そのまま税務署に送信し、確定申告を終えることができるサービスです。

FXに関わる税金の仕組みを正確に把握して確定申告をしよう

お金に乗る男性たち

本記事では、FXにかかる税金の種類や計算方法、確定申告の手順などを解説しました。

FXで利益が出た場合には、基本的に確定申告が必要です。ただし、損失が出た場合も、損益通算や繰越控除といった仕組みがあるため、確定申告したほうが有利になるケースもあります。

確定申告は、期限までに正しい手順で実施しなければなりません。これからFXを始める人は本記事を参考にしながら、FXにかかる税金に対しての知識を深めていくことをおすすめします。

  • 税制および確定申告に関する詳細は、所轄の税務署または税理士にご確認ください。

国税庁の関連ページ

国税庁確定申告書等作成コーナー

<監修者>

木村佳子

<プロフィール>

一級FP技能士(国家資格)。NPO法人 日本FP協会上級資格CFP。IFTA国際テクニカルアナリスト連盟最上位資格MFTA®の日本で最初の女性取得者。早稲田大学大学院ファイナンス研究科専門職MBAファイナンス修士。日本ベンチャー学会。日本IR学会。生活経済学会。消費者行動学会正会員。YouTube 「木村佳子チャンネル」で資産運用情報を発信中。

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