新NISAの配当金は非課税になる?非課税で受け取るための方法

2023/9/28
2024/4/9(更新)

NISAは投資で得た利益が非課税となる制度です。2024年1月に始まった新NISAでは、旧制度の一般NISAに相当する「成長投資枠」と旧制度のつみたてNISAに相当する「つみたて投資枠」の併用が可能になりました。NISA口座で購入した金融商品から得た配当金についても、基本的には非課税になります。しかし、配当金が課税対象となるケースもあるため、注意しなければなりません。

本記事では、NISAの配当金を非課税で受け取るための方法を詳しく解説します。NISAを始める前に、税金面の理解を深めておきたい人は参考にしてみてください。

NISAの配当金とは?

NISAの投資対象商品である株式の多くは「配当金」が支払われます。配当金とは、企業が事業活動の結果、得られた利益の一部を株主に還元する制度のことで、保有している株式数に応じて分配されます。支払われる配当金の頻度や金額、タイミングは企業によって異なります。年1回または2回の支払いが一般的です。

一般口座や特定口座のような課税口座で取引をする場合、株式投資で得た配当金には、20.315%(所得税及び復興特別所得税15.315%、住民税5%)の税金がかかります。しかしNISA口座での取引から得た配当金に対しては原則、税金がかかりません。

また投資信託やETFに投資した場合は「分配金」を受け取る場合があります。分配金とは、運用で得た収益を保有口数に応じて投資家に分配するものです。NISA口座で取引すると、この分配金に対しても税金がかかりません。なお、毎月分配型の投資信託などで見られる元本払戻金(特別分配金)は、利益の配分ではないためNISAに限らず非課税扱いです。

  • 松井証券では、ETFはつみたて投資枠の対象外です。

NISAの配当金を非課税で受け取る方法

株式の配当金は4種類の受け取り方法があります。受け取り方法によっては課税対象となることがありますので注意しましょう。

配当金が非課税対象になる場合

「株式数比例配分方式」を受取方式として選択した場合、配当金には課税されません。株式数比例配分方式とは、配当金を証券会社の取引口座で受取る方法です。

一度手続きしておけば、株式を預けている数量に応じて、それぞれの口座に配当金が自動的に入金されるため、お金を受け取る手間を省くことができます。複数の証券会社で同じ銘柄を保有している場合、それぞれの証券会社の口座に配当金が振り込まれます。受け取った配当金を再投資に回しやすいのもメリットといえるでしょう。

なお、株式数比例配分方式を選択した場合、特定・一般口座で保有している全ての上場株式の配当金についても、自動的に「株式数比例配分方式」が選択されます。これは変更手続きを行った金融機関だけではなく、現在株式を保有しているすべての金融機関の口座に対して適用されるため、金融機関ごとに配当金の受取方法を変えられない点に注意しましょう。

配当金が非課税対象にならない場合

登録配当金受領口座方式や個別銘柄指定方式(配当金振込指定)、配当金領収証方式を選択した場合、受け取る配当金は非課税とならないので注意してください。

登録配当金受領口座方式とは、あらかじめ指定した1つの預金口座で、保有するすべての株式の配当金を受け取る方法です。複数の証券会社で複数銘柄を保有していたとしても、一つの口座でまとめて配当金を受け取れます。譲渡益と配当金を別々に管理したい場合には便利な方法といえるでしょう。

個別銘柄指定方式(配当金振込指定)とは、保有している銘柄ごとに配当金の振込先銀行預金口座を指定する方法で、1銘柄ごとに書類での手続きが必要です。複数の証券会社で同じ銘柄を保有している場合も、あらかじめ指定した1つの口座に配当金がまとめて振り込まれるので、特定銘柄の配当金だけを別管理したい場合には向いています。

配当金領収証方式とは、金融機関に「配当金領収証」を持参して配当金を受け取る方法です。ゆうちょ銀行・郵便局など、配当金領収証で指定された金融機関で配当金を受け取ります。この方法では、配当が出るたびに配当金を受け取りに行かなければなりません。さらに、引き換えには期限があり、期限を過ぎると信託銀行での手続きが必要です。

配当金を非課税で受け取りたい場合、受取方法を株式数比例配分方式に変更する必要があります。保有銘柄の配当基準日までに手続きを完了させる必要があるほか、金融機関ごとに手続きの期日が異なるので注意が必要です。

NISAの配当金についてのよくある質問

NISAの配当金に関する各種手続きの方法について、口座開設前に確認しておきましょう。

NISAの配当金の受取方式を変更する方法は?

NISAの配当金の受取方式の変更方法は金融機関によって異なります。PCやスマートフォンから手続きが可能な金融機関もあります。

まずはNISA口座を開設している金融機関で、ご自身の口座状況を確認できるサービス(マイページなど)にアクセスし、配当金の受取方式を確認しましょう。株式数比例配分方式以外が選択されている場合課税対象となってしまうため、非課税での受け取りを希望する場合は株式数比例配分方式への変更手続きを行ってください。

配当金はいつ振り込まれる?

上場企業の期末配当は、年次の決算の後、株主総会の決議を経て支払われるのが通例です(取締役会決議の場合もあります)。したがって本決算後、株主総会を経て、権利確定日から2~3カ月後に振り込まれることが多くなっています (なお、中間配当は本決算配当より1ヶ月ほど早めに支払われる傾向があります)。株式数比例配分方式を選んだ場合、NISA口座を開設している証券会社の口座に振り込まれます。

配当金を受け取るには権利確定日(会社の決算日と同一日が多い)に株主名簿に登録されていなければなりません。そのためには、株式の発行会社が定めている権利確定日の2営業日前(権利付最終日)までに株式を購入する必要があります。

NISAの配当金は確定申告が必要?

配当金の受け取り方法によって、確定申告が必要かどうかは変わります。株式数比例配分方式を選択している場合、配当金は非課税となるため、確定申告は原則不要です。

配当金の受取方式で登録配当金受領口座方式や個別銘柄指定方式(配当金振込指定)、配当金領収証方式を選択している場合は配当金に課税されます。しかし、源泉徴収された金額を受け取ることになりますので、この場合も確定申告は原則不要です。
損益通算や繰越控除を希望する場合は確定申告が必要です。手続きの詳細については税務署ホームページや相談窓口で確認すると良いでしょう。

NISAの配当金を非課税で受け取るポイントを押さえておこう

NISA口座での取引で得た配当金は、原則として非課税です。ただし配当金の受け取り方法によっては課税対象となる場合もあるので注意が必要です。非課税となるのは株式数比例配分方式のみで、登録配当金受領口座方式・個別銘柄指定方式(配当金振込指定)・配当金領収証方式を選択した場合は、通常通り配当金に対して20.315%の税金が発生します。課税対象となった場合には、確定申告が必要な場合もあります。受取方式を変更したい場合は、金融機関に変更方法を確認しましょう。

<監修者>

木村佳子

<プロフィール>

一級FP技能士(国家資格)。NPO法人 日本FP協会上級資格CFP。IFTA国際テクニカルアナリスト連盟最上位資格MFTA®の日本で最初の女性取得者。早稲田大学大学院ファイナンス研究科専門職MBAファイナンス修士。日本ベンチャー学会。日本IR学会。生活経済学会。消費者行動学会正会員。YouTube「木村佳子チャンネル」で資産運用情報を発信中。