FOMC、日銀通過で再び円安ドル高進行 米ドル/円は再び160円を目指すのか?

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2026年09月28日

FOMC、日銀通過で再び円安ドル高進行 米ドル/円は再び160円を目指すのか?


振り返り

9月18日の日銀金融政策決定会合において、日銀は政策金利を1.25%へ25bp引き上げる決定を下したものの、高市政権下で指名された浅田・佐藤両審議委員の2名が据え置きを求めて反対票を投じた。これは市場で、政権のリフレ志向や将来の利上げ継続性に対する不確実性として受け止められた。植田総裁は会見で「政策の局面が変化した」とタカ派的な発言を行ったものの、円安は止まらず、米ドル/円は一時158円台まで上昇した。しかし、同日夜(NY時間)には、政府・日銀による「レートチェック」の実施が報じられ、米ドル/円は157.90円台から一時156.60円台まで押し戻された。
その後は反発に転じ、23日に発表された米9月PMIが市場予想を大きく上回り、FRBの利上げ期待が高まる中でドル高が進行。米ドル/円は一時159.03円まで上昇した。
しかし、25日東京時間朝、日米首脳会談においてトランプ米大統領が「円安が米国の貿易に困難をもたらしている」との懸念を表明したことを片山財務相が明らかにすると、米ドル/円は下落に転じた。その後も原油価格の下落や米金利低下も重なり、米ドル/円は下落を続け、一時156.94円まで値を下げた。


米国

米金利上昇:24日(木)に米10年債利回りが5.2%を超えた。足元の10年債利回り(名目金利=実質金利+期待インフレ)の上昇は実質金利主導しており、10年期待インフレは2%台前半でアンカーされている。実質金利の変動を実質経済成長率の反映と捉えれば、AIインフラ投資を背景とした米国景気の底堅さが実質金利を押し上げ、それが10年債利回りと米ドルを押し上げていると説明できる。AIインフラ投資が拡大する間は、金利と米ドルの高止まりが続く可能性が高いだろう。

金融政策:S&Pグローバルが23日に公表した9月PMI速報値は、製造業・サービス業ともに市場予想を上回る堅調な結果となった。PMIの上振れを受けて利上げ観測が強まり、ドル高が進行した。今週は、10月利上げの可否を占う上で重要となる指標の発表が相次ぐ。30日のPCEデフレーターでは足元のインフレ圧力、10月2日の雇用統計では賃金上昇率に注目が集まる。物価上昇圧力と労働市場の底堅さが確認されれば、10月の米利上げ期待が一段と高まり、さらなるドル高が進むとみられる。
FRBの中心メンバーであるウィリアムスNY連銀総裁の講演(現地時間29日)やジェファーソン副議長の講演(現地時間10月1日)にも注目したい。


日本

日銀:日銀は9月会合で政策金利を1.25%へと引き上げたが、高市政権によって任命された浅田審議委員、佐藤審議委員が利上げに反対した。植田総裁は記者会見で、これまでは物価上昇率を2%まで高めることが政策の狙いだったが、今後は物価の過度な上振れリスクに対処するという意味で「政策の局面が変化した」との認識を示した。そうした認識のもとでは今後の利上げペースも従来と比べて加速していくことが想定されるが、植田総裁は「毎回の決定会合で政策を評価」と述べるにとどまり、利上げペースの加速を示唆する発言はなかった。
9月FOMCでは、全会一致で利上げを決定し、ウォーシュ議長は物価安定への強い姿勢を示した。一方、9月日銀会合では、植田総裁から「政策の局面が変化した」とのタカ派的な発言が見られたものの、事前にタカ派化期待が高まっていたこともあり、想定を超える踏み込みは見られなかった。9月FOMCと比べると9月日銀会合がハト派的だったとの受け止めから、円安ドル高が進行した。
FRBが金融引き締め局面にある中、日銀は依然として緩和度合いの調整をしている段階であることを踏まえると、日銀が利上げペースを加速したとはいえ、日米の金融政策スタンスの違いから米ドル/円の高止まりが続く可能性が高い。

高市政権:片山財務相は25日、日米首脳会談でトランプ大統領が円安への懸念を示しており、高市首相も一般論として円の過小評価は問題であるとの認識を表明したことを明らかにした。同日には日米の財務相・財務長官が電話会談を行い、円が過小評価されているとの認識を改めて共有した模様だ。日銀会合以降、円安圧力が再燃したことを受けて、日米当局が改めて円安をけん制している格好だ。
一方、城内経済財政相も高市政権の経済財政運営について「リフレ政策ではない」との見方を示し、「金融を緩和し、財政も機動的に取り組むアベノミクス的なリフレ政策の局面は終わっている」と述べた。
ベッセント財務長官から金融・財政政策への圧力が強まる中、高市政権のスタンスにも変化が生じているのかを見極めるうえで、まずは今週1日に公表される日銀の「主な意見」において、内閣府出席者からの発言が日銀の独立性により配慮した内容となっているかを注視したい。


著者プロフィール

鈴木翔

鈴木翔

地方銀行、ネット銀行の運用部門で国内外の債券や株式などのディーラーを経験。松井証券に入社後はディーラーの経験を活かし、マーケットアナリストとして金利動向を踏まえた市場分析や、機関投資家・個人投資家などの投資家動向を組み合わせたマーケット情報などを提供している。


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