窪田朋一郎のウィークリーマーケットトーク ~今週の振り返りと来週のポイント~
年末相場 半導体株主役に5万円台堅持
今週の東京株式市場は、上昇基調を維持しました。日経平均株価は22日に5万円台を回復し、25日には5万407円79銭で取引を終えています。
今週の相場を特徴づけたのは、半導体関連銘柄の強さでした。キオクシアホールディングスやアドバンテスト、東京エレクトロンなどが買われ市場を牽引しました。背景には、米国市場でのAI関連株や半導体セクターの好調があります。
為替市場では若干円高に戻り、一時1ドル=155円台まで円高が進行。輸出関連株には若干の重石となりましたが、市場全体への影響は限定的でした。
クリスマス休暇に伴い海外投資家が不在となり出来高は減少。25日の売買代金は3兆円を下回り、今年最低を記録しました。しかし、個人投資家の物色意欲は高く、プライム市場の値上がり銘柄数は全体の7割に達しています。
業種別では、パルプ・紙や金属製品、不動産業が上昇率上位となった一方、非鉄金属は利益確定売りが見られました。25日、東証グロース市場250指数は1.9%高となり、新興市場にも活況が見られました。
ソフトバンクグループやメガバンク株など主力株の一部には売りが目立ちましたが、このところ下落していた任天堂やサンリオなどのエンターテインメント関連株は堅調でした。
今後は年明けの海外投資家の動向や、為替市場の推移、半導体関連株の堅調さが持続するのかが注目となります。
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今週の注目銘柄5つ:半導体とメガバンクに熱視線か?
キオクシアホールディングス(285A):
半導体メモリー市況の高騰を背景に続伸。米マイクロン・テクノロジーの上場来高値更新や協業先サンディスクの5連騰を受け、NAND型フラッシュメモリーメーカーとしての恩恵期待から個人投資家を中心に買いが集まっています。
GENDA(9166):
英ゼナーアセットマネジメントが5.62%の大株主として浮上。投資一任契約に基づく運用が主目的ですが、経営陣との意見交換や重要提案行為の可能性も示唆。これを受け、将来的な資産価値向上への期待から株価が刺激される展開となっています。
アドバンテスト(6857):
米国株市場でのAI・半導体関連株の買い戻しを背景に、やや買い優勢。主要顧客である米エヌビディアへの期待から見直し買いの対象となっています。ただし、信用買い残の積み上がりが上値を重くしている状況です。
東京エレクトロン(8035):
モルガン・スタンレーMUFG証券が投資判断を「オーバーウエート」に引き上げ、目標株価を3万9600円に上方修正。半導体前工程装置市場の本格的な回復局面入りを評価し、株価は上昇傾向です。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306):
国内長期金利の上昇を受け、メガバンク各社とともに上値を追う展開。新発10年債利回りが2.065%と約27年ぶりの高水準となり、銀行の利ザヤ改善期待から投資資金を集めています。他のメガバンクや地銀株も軒並み上昇傾向です。
来週の注目トピック
1.実質的な新年入り
12月29日は受け渡しベースで新年入りするため、26年のNISA枠での投資が可能になるため、個人投資家の新規資金流入が期待できます。
2.大納会
大納会は、証券取引所の年末最終取引日を指す言葉です。この日に行われる催事も同じく「大納会」と呼ばれます。投資家にとって大納会は1年の値動きが確定する重要な日であり、この日に向けて投資戦略を立てる人も多くいます。
大納会の少し前には、含み損を抱えた銘柄を売却する投資家も多く見られます。これは、年内に損失を確定させることで、税制上のメリットを得ようとする動きです。
一方で、損益通算絡みの売買が無くなることで値を戻す銘柄もありそうです。
3.米・FOMC議事要旨
日本時間31日早朝に発表される米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨は、年8回開催される会合の詳細な記録です。この議事要旨は、会合終了から3週間後に公表されます。
FOMCの結果発表時に示される声明文は、委員会全体の見解を簡潔に示したものです。一方、議事要旨では各委員の個別の意見や議論の詳細が記載されています。
議事要旨は金融市場参加者にとって、今後の米国の金融政策の方向性を探る上で非常に重要な資料として注目されています。