リスクオフの円高は続くのか?

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2026年10月26日

リスクオフの円高は続くのか?


振り返り

週初10月19日は植田日銀総裁のタカ派的な発言を受けて一時的に円買いが先行したものの勢いは続かず、中東情勢の緊迫化に伴いWTI原油先物価格が100ドルを上回ったことや米長期金利の上昇を背景にドル買い・円売りが優勢となり、米ドル/円は20日、158.60円の高値を付けた。

10月22日は、フランスの政情不安や財政懸念が高まる中、ユーロ安・円高が進行し、米ドル/円にも円買いが波及した。さらに米国市場でコアウィーブの信用問題やメタの設備投資増大懸念をきっかけにAI・半導体関連株が急落すると、株安・金利低下のリスクオフが強まり、米ドル/円は10月23日、156.08円まで下落した。その後は、城内経済財政相による金融政策を巡る発言などを手掛かりに反発。欧米時間にかけては米ミシガン大消費者信頼感指数の上方修正や原油価格上昇に伴う米金利上昇を受けて上昇し、156.87円で週の取引を終えた。

米ドル/円は、10月6日以降、一時的に上抜ける場面はあったものの、上値を200日移動平均線(158.50円付近)に抑えられる一方、下値を50日移動平均線(157.70円付近)に支えられるレンジ推移が続いていた。しかし、10月22日に50日移動平均線を明確に下抜けると、ストップロスを巻き込んで下げ幅を拡大した。23日には一時156.08円まで下落したが、日足一目均衡表の雲の下限(156.07円)手前で下げ止まった。


リスクオフの円高

フランスにおける政治的不透明感の高まりと、AI・半導体関連株を中心とした株式市場の調整が重なったことでリスク回避姿勢が急速に強まり、為替市場では、円やスイスフランなどの低金利通貨が買われている。

フランスの政情不安を巡っては、膨大な債務負担への対処を巡り来年度予算案の審議が難航している。2027年社会保障財政法案(PLFSS)に関しては、現地時間10月23日に下院(国民議会)において、歳入部分が賛成1票、反対115票、棄権22票という圧倒的な反対多数で否決された。今後は政府原案をベースに上院で11月9日から審議が始まり、11月18日に全体採決が予定されているが、現時点で与野党合意は形成されていない。一方、下院では年金負担抑制策などを巡り広範な反対が続いており、再読会や最終採決の日程も確定していない状態である。通常採決による可決成立の目途が立たない中、憲法49条3項を用いた強行採決を経ずに法案を成立させる場合でも、国民連合(RN)や社会党(PS)の一部議員が内閣不信任動議へ回らないよう調整する必要があることから、予算成立の先行きは不透明を極めている。

AI・半導体関連株に関しては、コアウィーブの信用問題や、メタの設備投資拡大に伴うフリーキャッシュフローの赤字化・CDSの過去最高水準への上昇をきっかけに、テック株の下落と米金利の低下が進んだ。これを受けて為替市場では円高・スイスフラン高が加速した。円やスイスフランは、キャリートレードの調達通貨として売られていたが、AI・半導体関連株の急落でボラティリティが上昇したことから、キャリートレードの巻き戻しに伴う買戻しが入った格好だ。今週は10月27日にコーニング、28日にマイクロソフトとアルファベット、29日にアマゾン・ドット・コムの決算発表が予定されている。決算をきっかけにAI・半導体関連株が一段と下落し、ボラティリティがさらに上昇するようだと、キャリートレードの巻き戻しによって、円高・スイスフラン高が一段と進む可能性もあり、株式市場の動向にも引き続き注意したい。


FOMC・日銀金融政策決定会合プレビュー

FOMCでは、政策金利(3.75%〜4.00%)据え置きが見込まれている。9月CPIなど直近のインフレ統計では根強いインフレ圧力が見られたものの、ウィリアムズNY連銀総裁やウォラー理事、ジェファーソン副議長らが相次いで連続利上げに慎重な発言を行ったことで、10月利上げ観測は後退している。ただし、据え置きで全会一致となる可能性は低く、タカ派であるローガン・ダラス連銀総裁やハマック・クリーブランド連銀総裁らが追加利上げを求めて反対票を投じるとみられる。ウォーシュ議長の記者会見では、次回12月会合での25bpの追加利上げの地ならしをするかどうかや、足元のAI・半導体関連株の下落や信用不安の高まりが金融政策に与える影響に言及するかどうかが焦点となる。

日銀金融政策決定会合でも政策金利(1.25%)据え置きが見込まれている。9月会合での利上げから日が浅く、経済・物価・金融環境の点検が必要な段階であり、連続利上げの緊急性は乏しいためだ。今会合では展望レポート(経済・物価情勢の展望)が公表される。事前の観測報道によると、日銀は一時的な要因を除く基調的な物価上昇率が目標の2%程度に到達したとの認識を示す見通しだ。植田総裁は先日のG20で一時的な要因を除いた基調的な物価上昇率について、「これ以上、上がることは容認できない」と述べ、インフレ上振れを警戒する強いタカ派姿勢を示していることから、今会合は「タカ派的な据え置き」となる可能性もある。


著者プロフィール

鈴木翔

鈴木翔

地方銀行、ネット銀行の運用部門で国内外の債券や株式などのディーラーを経験。松井証券に入社後はディーラーの経験を活かし、マーケットアナリストとして金利動向を踏まえた市場分析や、機関投資家・個人投資家などの投資家動向を組み合わせたマーケット情報などを提供している。


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