【半導体材料株5選】~出直り相場で注目!日本のお家芸! ~
中国AI企業の脅威で日経平均急落
「日経平均急落」の要因
ここからの株式市場と個別銘柄の動向を展望するにあたって、日経平均が6月25日に終値ベースの史上最高値7万2,366円を記録したものの、その後7月29日終値6万1,434円で底打ちするまでの「急落」の要因を正確に理解しておかなければなりません。

「中国AIの脅威」と「投機資金の逆回転」
ズバリ今回の日経平均急落の要因は「中国AIの脅威」と「投機資金の逆回転」です。
実は中国AI企業が米国AI企業の優位を揺るがすのではないかという懸念は以前からあり、2025年1月には所謂「ディープシークショック」による波乱もありました。
中国のAI新興企業「DeepSeek」が公開したAIモデル(DeepSeek-V3やR1など)が、米国の巨大テック企業OpenAIやGoogleの最先端モデルに匹敵するとされ、米AI企業株が売られ、つれて日本のAI半導体株も売られた一連の動きです。
中国AI企業の存在感が高まると米企業が莫大な資金を投じてリードしてきた「AI開発における高い参入障壁」が崩れるのではないかという懸念が強まります。
中国AI企業が開発にかけた費用が米国AI企業の数分の一から十分の一程度であったということも「中国AIの脅威」を増幅させることになりました。
今回は7月16日に発表された中国新興AI企業「ムーンショットAI」の新モデル「Kimi K3」が、総合性能で米AI大手アンソロピックの「Claude Fable 5」、米オープンAIの「GPT-5.6 Sol」に次ぐものとされたことが米株市場で嫌気され日本株にも飛び火しました。
すでにその前、6月29日に米紙で「米アップルがトランプ政権に対して、中国メーカー製メモリチップ購入を承認するよう求めている」と報道されたことも、半導体メモリ価格の下落につながると懸念されていました。
東京市場ではNANDフラッシュメモリ世界大手のキオクシアホールディングスの株価が6月末から目立った急落となり、6月22日に終値ベースで10万8,700円の最高値をマークしていた同株は7月29日3万8,380円まで下落しました。
東京市場で最も流動性が高く、一時は時価総額1位となった銘柄が1か月あまりで約64%も急落したことは、投資家の投資熱に冷や水を浴びせました。
キオクシアホールディングス株の1月5日始値は1万1,350円に過ぎず、その後約半年で約10倍に上昇していました。AI半導体株への投資熱(投機熱)が高まり、その象徴としてキオクシアホールディングス株が大化け株となり、その後一度派手に散ったのです。

AI実装によって世界GDPは拡大へ
2025年1月の「ディープシークショック」時は、その後米相互関税による日本経済に対する悪影響が嫌気されたことも日経平均の下落に拍車をかけ、3万9,000円処から4月初旬の3万1,000円処で底打ちとなりました。
その後、持ち直しの動きとなり2025年12月30日大納会の終値は5万339円でした。
今回についても日経平均はすでに持ち直しの動きを見せています。それだけでなくAI半導体株の影響をそれほど受けないTOPIX(東証株価指数)については、8月13日に史上最高値を連日更新する動きを見せました。
依然として中国AIの脅威はあり、損失を抱えた投機資金の整理も完全にはついておらず、さらにはイラン戦争長期化という悪材料がある中でのTOPIX最高値更新は、この先の東京市場の本格反発→さらなる上昇を感じさせる出来事でしょう。
TOPIXは時価総額の増減を表す株価指数で時価総額が大きい「金融セクター」と「自動車/自動車部品セクター」の影響を受ける特性があります。金融セクターでは銀行株が堅調を持続していることもTOPIXの上昇を後押ししました。
これら一連の動きからは、株式市場はすでにAI開発だけでなく「AI実装」による企業活動の効率化とスピード化によって、これまでよりも大きな利益を生み出すと見ているのではないでしょうか?そうであればAI導入によって企業活動が活発化し、資金需要が生じることから銀行株高にも納得がいきます。
当のAI(Google Gemini)に「AI実装による世界GDP拡大の程度は?」と問うと「AIの実装による世界GDPの拡大は、生産性の飛躍的向上や自動化によって今後数十年で数兆ドル規模の経済価値を生み出すと予測されています。
国際的な調査では、2030年までに世界GDPを約3.5%〜15%押し上げると試算されています」との返答がありました。
ファンドを通じて巨額AI投資を続けるソフトバンクグループの孫正義会長兼社長も7月14日の同社イベント講演で「2040年には世界GDPの20%(約7,000兆円)がAIや人型ロボットの世界に置き換わる」と予測を披露しています。

日本企業の得意分野が一層評価される
今後も中国AIの脅威が東京市場の悪材料となることはあると思われます。
中国AI企業の開発動向や、中国半導体製造の長鑫存儲技術(CXMT)や長江存儲科技(YMTC)の動向に株価が神経質な動きをすることはあるでしょう。
そして、ここからはAI実装による企業利益のかさ上げが本格的に意識される「別ステージ」に入っていくと予想されます。
日本企業の4-6月期業績は総じて好調で、例年以上に会社計画の上方修正が多く見られ、TOPIX採用3月期決算企業の通期純利益は前年比27.9%増の市場予想です。
この環境下では悪材料を嫌気する動きは短期間で終わり、魅力ある銘柄を安く買える局面を演出することになりそうです。
半導体材料株5選
個別銘柄については、やはりAI半導体株が軸となり、同分野で「日本のお家芸銘柄」が注目されそうです。日本企業が大きな世界シェアを持つ「半導体材料株」がそれに該当します。
参考となる銘柄を挙げます。
SUMCO(3436・プライム)は半導体用シリコンウェハーの世界的な専業メーカーで、信越化学工業とともに世界市場の約6割を占める2大メーカーの一つです。
シリコンウェハーの世界シェアは、信越化学工業が約42%で1位、SUMCOが約18%で2位です。東京応化工業(4186・プライム)は半導体製造に不可欠な感光性材料「フォトレジスト」で世界シェア1位(約25%)を誇るリーディングカンパニーで多様な半導体材料を手掛けています。
レゾナック・ホールディングス(4004・プライム)は半導体の製造工程のうち、チップを保護・接続する「後工程」の材料で世界トップクラスのシェアを持つなど多品種を手掛ける化学メーカーです。
味の素(2802・プライム)は株式市場では「半導体材料企業」としての認識が強まっています。AI向け高性能半導体(CPUやGPU)の絶縁に使われるフィルム状の材料「ABF」でほぼ100%に近いシェアを誇ります。
住友ベークライト(4203・プライム)は半導体チップを熱や湿気、衝撃から保護する「半導体封止用エポキシ樹脂成形材料(封止材)」において、世界シェア約4割のトップメーカーです。