日経平均7万円を巡る攻防!半導体株からバリュー株への資金シフト

2026年07月03日

日経平均7万円を巡る攻防!半導体株からバリュー株への資金シフト


今週の東京株式市場:日経平均7万円の攻防、半導体株の乱高下とバリュー株

今週の東京株式市場は、日経平均株価が節目の7万円台を巡り乱高下する一週間となりました。売買代金は連日10兆円を超える異例の大商いが続いており、市場のエネルギーは依然として強力です。
週前半は米ハイテク株高を背景に、30日には終値で約1カ月ぶりに7万円台を奪還しました。翌1日には取引時間中に一時1900円高という急騰を見せる場面もありましたが、その後は利食い売りに押されるなど極めて不安定な値動きとなりました。2日には米半導体株安の影響で1741円安と急反落し、AI・半導体関連が相場の重荷となりました。一方で、資金は出遅れていた自動車や銀行などのバリュー株へシフトし、指数の大幅安とは対照的に、2日はプライム市場の約8割が値上がりする物色対象の広がりも見られました。
3日の前場も、朝方に一時1100円超下落した後にプラス圏へ浮上するなど、荒い値動きが継続しています。急落したキオクシアなどの下値に買いが入る一方で銘柄選別は厳しく、プライム企業の8割強が上昇する地合いとなりました。為替動向なども注視しつつ、循環物色が相場を下支えするかが焦点となります。


今週の個別銘柄解説:AI需要で変貌する企業、重工・素材・サービス業の覚醒

三菱重工業(7011)

AI普及に伴う電力需要増を背景に、大型ガスタービンの生産能力を2030年度までに倍増させます。日米拠点へ1000億円超を投じる大規模投資に加え、日英伊による次期戦闘機の共同開発契約が2027年末まで延長される見通しとなり、防衛分野の収益期待も高まっています。エネルギー供給の要と安全保障の柱、国家レベルの課題を解決する総合力への信頼は厚く、不透明な市場環境下でも強固な成長シナリオを背景に、株価は反発しています。ただし、信用買残は引き続き高水準で、上値では多くの戻り売りが控えています。

太陽誘電(6976)

AIサーバー向け積層セラミックコンデンサ(MLCC)の需要拡大を背景に、約2週間ぶりに上場来高値を更新しました。米アップルの値上げ等による調整を経て、世界的なAI・半導体物色の波が同社を再び押し上げています。特筆すべきは130倍程度(7/3時点)という異例のPER(株価収益率)です。村田製作所と比較して割高感が際立ちますが、参入障壁の高いMLCC市場での支配力への期待が、機関投資家の慎重姿勢を余所に個人投資家の買いを誘っています。5年先の急成長を先取りする期待先行の相場が鮮明です。信用の取り組み状況を見ると、売残・買残ともに増加していましたが、ここにきて売残が減少傾向に転じました。所謂「踏み上げ相場」に突入するのかに注目が集まります。

リクルートホールディングス(6098)

傘下の米インディードによるAI求人サービスの成長期待から、1日に約1年半ぶりに上場来高値を更新しました。AIが最適な人材を抽出する高単価な有料プランの利用が拡大しており、2027年3月期は4期連続の過去最高益を見込んでいます。単なる人材サービスから、先端技術によるマッチング精度の向上と収益性改善を両立するAI銘柄としての評価が定着しつつあります。今後は米国の労働市場の動向が焦点となりますが、AIを具体的な収益に繋げた成功例として投資家の期待を集めています。

味の素(2802)

AIサーバー向け半導体絶縁材料「ABF」への旺盛な需要を好感し、上場来高値を1日に更新しました。最近の株式市場では、隠れ「AI銘柄」を探す動きが強まっていますが、30日の事業説明会で、電子材料事業の売上高が期初計画(前期比1割増)を上回るペースで推移していることが明らかになり、買いが加速しています。食品大手の枠を超え、次世代基板技術においても不可欠な成長ドライバーとして市場の評価が急上昇しています。株価は3月末比で4割近く上昇しており、食料品セクターを大きく上回るAI関連の本命銘柄として、強烈なアウトパフォームを続けています。

川崎重工業(7012)

公募増資などで約2000億円を調達する方針を固めました。AIが機械を動かすフィジカルAIやデータセンター向けガスタービン等への積極投資に充てます。米エヌビディアとの協業による次世代ロボット開発や、需要が急増する半導体製造装置向けロボットの増産を加速。株価が23年末から4倍以上に急騰する中、財務基盤を強化し、国家戦略とも連動するAI革命の社会実装へ舵を切ります。大型増資を通じた成長シナリオの具体化に、市場の関心が集まっています。ただこの銘柄も信用買残は高水準で、上値では多くの戻り売りが控えています。

上記の銘柄などをサクッと動画で解説している動画を7/3(金)21:00までに
松井証券YouTubeマーケットナビで公開予定です。
下記リンクから是非ご覧ください。


来週の注目トピック

米スペースXの指数採用

7月7日にナスダック100指数への採用を控えており、注目材料となります。6月12日に公開価格135ドルで上場後、株価は乱高下しましたが、足元では各種指数への組み入れに伴う「指数買い」が下支えしています。日本市場でも「オルカン」などの人気投資信託を通じて多くの個人投資家が間接的に同社株を保有することになっています。米国市場では、ナスダック100連動ファンドから約40億ドルの機械的な資金流入が見込まれ、需給面での押し上げ要因となります。一方で、その他の銘柄には売り圧力が生じることとなり、その巨大な時価総額ゆえに日米のハイテク相場全体を左右する存在として注視が必要です。

韓国SKハイニックスADR上場

7月10日にADR(米国預託証券)が米ナスダックへ上場します。AI向け広帯域メモリー(HBM)で世界シェア約6割を握る同社は、エヌビディア等の主要供給元として急成長を遂げています。調達する最大4.7兆円の資金は、先端工場の建設や設備投資に充てられます。米国ではSOX指数への採用期待からパッシブ資金の流入が見込まれ、割安な評価の修正が焦点です。日本市場においても、世界的なAIサプライチェーンの中核を担う同社の動向は、国内半導体関連銘柄のセンチメントを左右する重要材料となるでしょう。


著者プロフィール

窪田朋一郎

窪田朋一郎

松井証券チーフマーケットアナリスト。
松井証券に入社後、WEBサイトの構築や自己売買担当、顧客対応マーケティング業務などを経て現職。ネット証券草創期から株式を中心に相場をウォッチし続け、個人投資家の売買動向にも詳しい。日々のマーケットの解説に加えて、「マザーズ信用評価損益率」や「デイトレ適性ランキング」「マーケットラボ アクティビスト追跡画面」など、これまでにない独自の投資指標を開発。


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