日経平均6万2000円台へ大幅安、エヌビディア提携加速でどうなる日本株

2026年07月17日

日経平均6万2000円台へ大幅安、エヌビディア提携加速でどうなる日本株


今週の東京株式市場:中東情勢の緊迫化とTSMC最高益の狭間で波乱の展開

今週の東京株式市場は、主要ハイテク企業の決算発表や韓国におけるレバレッジ型ETF規制に翻弄され、ボラティリティの高い展開となりました。
週初13日は、中東での緊張高まりや韓国市場の急落を受け、日経平均株価は1300円を超える大幅下落で始まりました。14日から15日にかけては、米半導体株高やオランダASMLの好決算を支えに1000円超の急反発を見せ、一時6万8000円台を回復するなど、投資家の強弱感が激しく対立しました。
しかし、16日にはASML好決算だったものの売り込まれる米半導体株安の流れを引き継ぎ、一時2200円を超える急落を演じました。取引時間中に発表された台湾TSMCの四半期決算は過去最高益を更新しましたが、既に織り込み済みとの見方から終値で再び6万7000円を割り込んでいます。さらに17日も米国株下落の流れを受け、下げ幅が一時4000円を超えて6万2000円台の値動きとなりました。
個別では、連日巨額の商いをこなしたキオクシアや半導体製造装置関連が乱高下した一方、指数の急落局面ではトヨタ自動車などのバリュー株や内需株の一部に下値買いが入る動きも見られました。
今後も韓国におけるレバレッジ型ETF規制や金利動向など、外部環境の不透明感は依然として強く、当面は主要企業の決算内容を精査しながら、荒い値動きが続く警戒が必要な局面と言えるでしょう。


今週の個別銘柄解説: エヌビディア連合で加速するAI実装

フジクラ、競争激化で急落

フジクラ(5803)はインドの競合企業による特許訴訟での勝利宣言を受け、14日に一時8%超の大幅続落となりました。欧州特許庁がフジクラの高密度光ケーブルに関する特許を無効と判断し、競合のスターライト・テクノロジーズが欧州での係争に勝利したと発表。AIデータセンター向け需要で躍進してきた電線株全体が調整局面にある中、将来的なシェア低下リスクが意識されました。当面の業績への影響はないと見られますが、価格決定権や技術的優位性の維持に対する不透明感が重石となっています。信用取引の取り組み状況を見ると、引き続き買い残は多く、上値が重い展開が予想されます。

三菱重工、AIインフラの核心へエヌビディアと提携

三菱重工業(7011)は米エヌビディアとAIデータセンター技術で提携します。エヌビディアが推進する次世代拠点「AIファクトリー」に、三菱重工の強みである高効率冷却システムやエネルギー管理技術の導入を検討。膨大な電力消費と発熱が課題となる中、世界トップクラスのシェアを誇るガス火力タービンを含む電力インフラから熱対策までを一手に担う構えです。同社は関連事業を数千億円規模に育成する方針で、AIブームの間接的な恩恵から直接的な成長エンジンへの転換に期待が高まっています。同社をはじめとした防衛関連株は、春先から調整が続いており、本格的な反発局面を迎えるかに注目しています。

トヨタ、エヌビディアと提携し都市変革へ

トヨタ自動車(7203)は米エヌビディアと提携を拡大し、自律的に動くフィジカルAIの活用を加速させます。実証都市「ウーブン・シティ」の交通管制システム開発に向け、画像処理半導体(GPU)や基盤技術の提供を受けます。さらに次世代車向け半導体や、製造現場のロボットを動かすAI開発も網羅。2017年からの協業を深化させ、自動運転技術のみならず、都市のモビリティー機能や工場の工程効率化など、AIを現実空間へ実装する知能化の動きを全方位で推進します。トヨタは円安が進む中でも売られていましたが、バリュー株物色の流れに乗った反発が期待されます。

富士通、フィジカルAIで連合

富士通(6702)はファナック、安川電機、川崎重工業のロボット大手3社と、AIで機械を自律的に動かすフィジカルAIの実装で提携しました。米エヌビディアの技術支援を受け、製造・物流・医療の各現場でAIロボットの自律稼働を目指す国内共通基盤を構築します。さらに日立やオムロンもエヌビディアとの協業を深化。世界をリードする日本のロボット技術と、エヌビディアのAI基盤が融合することで、人手不足解消に向けた産業自動化の新時代が本格的に幕を開けます。
富士通は今週、米IBMがAIによる影響で企業のシステム投資が減速し利益警告を出したことで同社も同様の警戒感から売りが先行しました。AIによる恩恵と逆風、どちらが優勢になるかに注目が集まります。

オリエンタルランド、3年ぶりの値上げで続伸

オリエンタルランド(4661)は東京ディズニーリゾートのチケット価格引き上げ報道を受け、9日続伸しました。10月から「1デーパスポート」の大人の上限価格を1万2400円(1500円増)に引き上げます。コストインフレ下での価格改定は避けられないとの見方が強く、利益率向上への期待から買いが先行。一方で、アナリストからは割高感による利益確定売りへの警戒感も指摘されていますが、圧倒的なブランド力を背景とした価格決定権の強さが改めて浮き彫りとなりました。

上記の銘柄などをサクッと動画で解説している動画を7/17(金)21:00までに
松井証券YouTubeマーケットナビで公開予定です。
下記リンクから是非ご覧ください。


来週の注目材料:国内利上げへの思惑、米ビッグテックの評価

6月 全国消費者物価指数(CPI)

国内のインフレ実態を測る最重要の経済指標で24日発表予定です。総合指数で前年同月比+1.7%程度が市場予想です。日銀は現在、追加利上げ(政策金利の引き上げ)のタイミングを慎重に見極めていますが、物価目標の2%を下回っているものの政策効果が大きく、基調的な物価上昇が強いと市場が判断すれば金融政策のさらなる正常化への思惑が急速に強まります。高いCPI数値が出た場合、日銀の早期利上げ期待から銀行株などの買い要因となる一方、市場全体の金利上昇による不動産株や新興市場(グロース株)の売り圧力となります。

米決算本格化

前週の半導体大手(ASML・TSMC)に続き、米国の巨大IT企業(ビッグテック)の4~6月期決算発表が本格的なピークを迎え始めます。特に生成AIブームの恩恵を受けるグーグルの親会社アルファベット(GOOGL)や、EV(電気自動車)需要の底堅さが試されるテスラ(TSLA)などの決算が控えています。業績や先行きへの強気な見通し(ガイダンス)が確認できれば、米国株の上昇に連動して日経平均株価も上値を追いそうです。ただ、春先からの株高で投資家の期待値は高く逆に期待外れの結果になれば、東京エレクトロンなどの日本の主力ハイテク株へ利益確定の売りが飛び火するでしょう。


著者プロフィール

窪田朋一郎

窪田朋一郎

松井証券チーフマーケットアナリスト。
松井証券に入社後、WEBサイトの構築や自己売買担当、顧客対応マーケティング業務などを経て現職。ネット証券草創期から株式を中心に相場をウォッチし続け、個人投資家の売買動向にも詳しい。日々のマーケットの解説に加えて、「マザーズ信用評価損益率」や「デイトレ適性ランキング」「マーケットラボ アクティビスト追跡画面」など、これまでにない独自の投資指標を開発。


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