日銀会合プレビュー 日銀会合後に円安加速で介入発動か?
振り返り
4月20日:ドル買い先行後も買い一巡後は下落に転じる
週明け20日の東京時間早朝、トランプ米大統領がオマーン湾でのイラン船舶拿捕を表明したことで、ホルムズ海峡の正常化が依然として実現していない状況が改めて意識された。このニュースを受けて、初動は原油高・ドル高となり、米ドル/円は159.20円付近まで上昇。
しかし、その後は米イランの和平協議への期待が維持される中でドル高が一服。ドル買いの動きが和らいだことで米ドル/円は下落に転じ、ニューヨーク時間終盤には158.81円まで下落。
4月21日以降:不透明感の再燃によりドル買い優勢に
21日〜22日にかけては、米国時間22日夜に設定された停戦期限を前に、イラン側による協議欠席の通知やバンス米副大統領のパキスタン訪問取りやめなどが相次いで報じられ、直接協議の実現に対する不透明感が急速に高まった。これを受けてリスク回避のドル買いが優勢となり、21日の米ドル/円は一時159.64円まで上昇。
22日夜〜23日にかけては、トランプ大統領がSNSで「協議が終了するまでイランとの停戦を延長する」と表明したことで一時的にドルが売られる場面もみられたが、ホルムズ海峡でのイランによる船舶拿捕や発砲、新たな機雷敷設などが報じられ、緊張状態は継続。原油価格の高止まりも相まって米ドル/円は堅調に推移し、23日には週間の高値となる159.84円を記録。
週末24日は、米イランの和平協議に進展が期待される報道や、米司法省によるパウエルFRB議長への捜査取り下げなどを受けてドルが全面安となり、米ドル/円は159.38円まで下落。しかし、週末の間に期待されていた直接協議は実現せず、米側が代表団のパキスタン派遣を中止したことが明らかになった。不透明感が解消されないまま27日の週明けを迎え、初動では協議見送りを受けて再びドルを買い戻す反応が見られており、米ドル/円は依然として高止まりの状況が続いている。
日銀金融政策決定会合・FOMCプレビュー
4月27-28日に日銀金融政策決定会合が開催される予定となっている。日銀は中東情勢の緊迫化に伴う不確実性が強いことから、経済・物価への影響を慎重に見極めるとみられており、政策金利の据え置きがコンセンサスとなっている。
市場の焦点は、次回6月会合でも利上げ見送りの可能性が高まるかどうか。それを見極めるうえで、展望レポートと植田総裁記者会見に注目が集まる。展望レポートでは、足元のエネルギー価格の上昇を受け、26年度インフレ見通しの大幅上方修正が見込まれているが、日銀が重視している基調的な物価にどのように影響するかを判断するうえで、27-28年度インフレ見通しに注目したい。中東情勢の緊迫化が、国内景気をどの程度押し下げる可能性があるかを判断するうえで、GDP成長率見通しにも注目だ。
植田総裁の記者会見では、次回6月会合での利上げの可能性を示唆するかが焦点となる。円安加速を回避するためには、緩和的な金融環境の修正(利上げ継続方針)を強調する必要がある。4月会合の時点で6月利上げを織り込ませることのハードルは高いが、早ければ6月にも利上げに踏み切る可能性を市場参加者に認識させる必要がある。仮に植田総裁が今後の利上げに消極的な姿勢を見せた場合、ビハインド・ザ・カーブ(政策が後手に回る)懸念から円安圧力が強まるだろう。
4月28-29日にFOMCが開催される予定となっている。足元の米国経済は減速傾向ではあるものの、底堅く推移していることに加え、エネルギー価格の上昇というインフレ押し上げ材料が生じており、政策金利の据え置きが確実視されている。注目点としては、パウエル議長の記者会見において、「大多数が利上げを想定せず」との従来の見解に変化があるか、また中東情勢を受けたインフレ上振れリスクへの警戒感がどの程度示されるか。
来週の注目材料と米ドル/円の見通し
来週(4月27日~5月1日)は、日米欧の主要中央銀行による金融政策決定会合が相次ぐ中銀ウィークとなる。日本の大型連休とも重なり、市場流動性が低下する中での急な値動きや為替介入への警戒感が非常に高い一週間となる。
4月28日(火):日本では、日銀金融政策決定会合の結果および展望レポートの公表、植田総裁記者会見が予定されている。政策金利は据え置きがコンセンサスとなる中、次回6月会合での利上げの可能性をどの程度示唆できるかが最大の焦点となる。米国では、4月CB消費者信頼感指数の発表が予定されている。
4月29日(水):日本は昭和の日で休場。米国では、FOMCの結果公表、パウエル議長記者会見が予定されている。政策金利据え置きが確実視される一方、3月以降の強い経済指標を受けて、パウエル議長がインフレ警戒姿勢を強めるに注目。
4月30日(木):米国では、1-3月期GDP(速報値)、3月PCEデフレータの発表が予定されている。米経済の底堅さと、FRBが重視するインフレ指標を確認する機会となる。欧州・英国では、ECB理事会、英中銀(BoE)金融政策委員会の結果発表が予定されている。ECB、BoEともに据え置き予想だが、今後の利上げスタンスやインフレへの認識に注目。
5月1日(金):レイバーデーで欧州・アジア主要国が休場となる中、日本では、4月東京都区部CPIの発表が予定されており、日銀の物価見通しの確度を占う上で重要な指標となる。米国では、4月ISM製造業景気指数の発表が予定されている。
米ドル/円については、157〜162円程度の推移が見込まれる。中東情勢が依然として最大の不透明要因となる。週末の米・イラン直接協議が見送られたことで、週明けはドル買い戻しが先行しているが、イランがホルムズ海峡再開に向け新たな提案を米国に提示したとの報道もみられており、報道一つで原油価格とともに米ドル/円が上下する神経質な展開が続くとみられる。
日銀会合や植田総裁記者会見で将来の利上げに含みを持たせないハト派的な印象を与えた場合、ビハインド・ザ・カーブ(政策が後手に回る)懸念から円売りが加速するし、FOMCで高インフレへの警戒が強調されれば、ドル高圧力が強まり、米ドル/円は160円を突破する可能性が高まる。
片山財務相は「投機的な動きには断固として強い措置を取れる」と繰り返し強く牽制しており、日本が休場となる29日や連休中の薄商いの時間帯は、実弾介入が発動されやすい局面として市場は警戒を強める必要があるだろう。
前回、為替介入が発動となった24年は4月26日の金融政策決定会合後の植田総裁記者会見をきっかけに円安が進行。同日発表となった米国のインフレ指標が市場予想を上回り、金融引き締めの長期化が意識され、ドル買いが進行。日本が休日の週明け29日に米ドル/円は160円を突破し、1回目の円買い介入が実施された。5月1日には、FOMC後のパウエル議長記者会見をきっかけにドル安が進行したタイミングで2回目の円買い介入発動となり、米ドル/円は一時151円台まで下落する展開となった。
今回の実弾介入発動ポイントは24年7月高値161.95円を突破したタイミングになるとみられるが、米ドル/円が160円手前で推移する中で中銀ウィーク・大型連休を迎える状況は、2年前と重なる面が多い。今週の日米金融政策イベントや米国の経済指標、中東情勢次第では、2年前の再現となる可能性もある点には注意したい。