こどもNISAとは?ジュニアNISAとの違いや制度についてわかりやすく解説!
子どもの将来のために資産を増やしたいと考えている方へ、「こどもNISA」は新しい選択肢として注目されています。税制改正により2027年から開始されるこどもNISAは、0歳から17歳の子どもが年間60万円、合計600万円を上限に非課税で投資できるという新しい税制優遇制度です。ジュニアNISAとの違いや開始時期など、親として不安に思う点も含めて、こどもNISAを活用することで得られる長期的なメリットについて解説します。将来の教育費や生活資金のために、今からできる準備を始めてみませんか?
目次
こどもNISAとは?2027年から始まる新制度!
対象年齢と投資可能額
2025年12月26日に閣議決定された税制改正大綱によると、こどもNISAは0歳から17歳までの間、年間投資可能額は60万円、対象期間中の非課税投資上限は600万円とされています。毎年、上限額を投資した場合には、10年間分が非課税となる計算です。
こどもNISA対象商品
こどもNISAは、通常NISAにおけるつみたて投資枠を18歳未満に解禁する形となるため、つみたて投資枠の投資可能銘柄のみが対象となります。そのため、株式は対象外になります。なお税制改正大綱では、つみたて投資枠の対象商品として、「読売333」や「JPXプライム150」に連動する投資信託が追加されることが示されており、選択肢が増える模様です。
引き出し年限の柔軟性
こどもNISAでは、一定の条件のもと、小学校卒業のタイミングである12歳から特定の条件下で引き出すことが可能になります。そのため、子どもの教育資金などの将来に向けた資金作りのために、制度を活用することができるようになります。
こどもNISAとジュニアNISAとの違い
こどもNISAは、ジュニアNISAといくつかの点で大きく異なっています。それぞれの違いについて理解を深め、子どもの将来に向けた資産形成のために、こどもNISAを上手に活用してください。
恒久的な制度設計
こどもNISAは恒久的な制度として設計されており、ジュニアNISAのように期間限定ではありません。また、18歳以降は自動的に通常のNISA制度へ移行するため、非課税枠は通常のNISA制度に統合されることで非課税期間は実質的に無制限となると考えられます。そのため、長期的な資産形成が可能になります。
引き出しの柔軟性
ジュニアNISAでは18歳になるまでの引き出しが制限されていましたが、こどもNISAでは12歳以上の場合に特定の条件下で資金を引き出せるようになります。特定の条件とは、具体的には学校の入学金や授業料などが条件として挙げられており、書類の提出が必要とされています。
非課税保有限度額の拡大
こどもNISAでは、非課税保有限度額が拡大されました。ジュニアNISAでは合計で400万円だったところが、こどもNISAでは600万円となり、より多くの資産を非課税で運用することが可能です。
対象商品の選択肢の変化
投資可能な商品の選択肢がつみたて投資枠対象商品に限られており、株式への投資はできなくなっています。投資信託でリスクを分散しながら効率的に資産を増やすことが期待されます。
家族全体での資産形成
こどもNISAは子ども名義の口座であるため、親のNISAと併用して家族全体での資産形成を進めることが可能です。また、教育資金としての利用を主目的としながらも、将来の様々なライフイベントに対応できるよう設計されています。
こどもNISAのメリットとデメリット
メリット
資産形成の効率化
こどもNISAの最大の利点は、投資で得た利益に対する税金が非課税になることです。親の資産運用とは別に、子どもの資産運用でもNISAを活用することで、長期的な資産形成が期待できます。これにより、教育資金や将来の生活資金を効率的に準備することができるでしょう。
引き出しの柔軟性向上
こどもNISAは、従来のジュニアNISAと異なり、引き出し可能な年齢制限の緩和が予定されています。用途は限られますが、教育費や留学費用など、さまざまなライフイベントに応じて柔軟に資金を活用することが可能になります。
家族による支援の枠組み
こどもNISAは、親や祖父母からの資金援助を通じて、家族全体で子どもの将来を支援する枠組みを作りやすくします。贈与など税制上の優遇措置と合わせて活用することで、経済的な負担を軽減しつつ、より効果的に資産形成に取り組むことができるでしょう。
デメリット
市場リスクと元本保証の欠如
こどもNISAの対象商品は投資信託であり、金融商品への投資であるため、元本保証はありません。市場の状況によって日々価格が変動し、保有する資産の評価損益がマイナスになることもあります。特に未成年者のための投資であることから、親や保護者がリスク管理をしっかりと行うことが重要です。
長期的な資産形成に適した制度
こどもNISAは長期的な資産形成を目的としているため、短期的な利益を求める投資スタイルには向いていません。18歳になると通常のNISAのつみたて投資枠に移行し、そのまま非課税での運用を継続できますので、将来も見据えた長期的な視点で運用していくことが大切です。
制度内容の変更の可能性
こどもNISAが開始されるのは2027年であるため、それまでの期間に制度の詳細が変更される可能性があります。その場合、計画していたとおりに投資を行うことができなくなる場合があるかもしれませんので、注意が必要です。
口座開設手続き
口座開設の手続きは親権者による手続きが必要になると見られます。証券会社の未成年口座やこどもNISA口座の開設にあたっては手続きが複雑になる可能性がありますので、2027年の制度開始に向けて事前に必要な書類や手続きの流れを確認しておくとスムーズです。
取扱商品の制限
こどもNISAでは、投資対象がつみたて投資枠の対象銘柄に限られています。金融機関によって、取り扱う商品に差がある場合がありますので、金融機関を選ぶ際にはその点も考慮すると良いでしょう。
こどもNISAの具体的な活用方法
12歳から特定の条件下で引き出しが可能になるこどもNISAは、中学校以降の教育資金の準備において、有効な選択肢となります。また中学受験を考えている場合には、学習塾の費用や試験料、教材費など多くの出費が伴いますので、その分と補うための資金と考えることもできます
中学校以降の資金を準備
具体的にこどもNISAで積立投資を行う場合を想像してみましょう。例えば、毎月1.5万円をこどもNISAで運用して、年利5%で0歳から12歳まで投資を続けた場合、年間の投資額は18万円、12年間の投資額の合計は216万円ですが、運用益含めた評価額は約293万円に達します。これを非課税ではない通常の口座で取引していた場合、評価益である77万円に20.315%の税金がかかり、約15万円が差し引かれますが、こどもNISAであれば非課税となり77万円をそのまま利益として受け取ることができます。
なお、こどもNISAは18歳以降に自動的に通常のNISAのつみたて投資枠に移行するため、より将来の資金計画も立てやすくなります。これにより、高校や大学進学など、より長期的な教育資金の準備に役立てることもできるようになります。
祖父母からの支援
こどもNISAは実質的に親が資金を拠出することが多くなると考えられますが、祖父母からの支援も選択肢のひとつになります。年間110万円までの贈与が非課税になる生前贈与などは、こどもNISAを活用する上でも非常に有効な手段です。こどもNISAの年間投資額である60万円は贈与の非課税枠に収まるため、贈与税の対象外として安心して資金提供が可能となります。
親に加えて祖父母が早期からの資産形成をサポートし、贈与および、こどもNISAの非課税枠を活用することで、将来的な税負担を軽減しつつ、資産を増やすことが可能です。贈与を行う際は、適正な手続きを踏むことが重要で、場合によっては税理士に相談することをおすすめします。
こどもNISAと他の制度の比較
こどもNISAの他にも、子どものための資産形成方法や税制優遇制度は存在します。それぞれと比較してみましょう。
親のNISAとの比較
こどもNISAと親のNISA(通常のNISA)にはいくつかの違いがあり、それぞれの制度が異なるニーズに応えています。まず、こどもNISAは0歳から17歳までの未成年者を対象としており、年間60万円までの非課税投資が可能です。一方で、親のNISAは成人を対象としており、つみたてNISA枠と成長投資枠を合わせて年間の非課税投資枠が360万円とより大きく設定されています。
また、投資対象商品にも違いがあります。親のNISAでは、株式や投資信託など幅広い商品に投資できるのに対し、こどもNISAは、比較的安全性が高い商品に限定されることが多いです。これにより、リスクを抑えた長期的な資産形成が可能になります。
さらに、資金の引き出しに関しても差があります。親のNISAでは、比較的自由に資金を引き出すことができる一方で、こどもNISAでは引き出しに制限があります。この制約は、子どもの将来の学費やその他の長期的な資金計画をサポートするためのものです。
教育資金一括贈与制度との比較
教育資金一括贈与制度とこどもNISAは、どちらも子どもの将来のために資産を準備する手段として有用ですが、性質とメリットが異なります。教育資金一括贈与制度は、祖父母が贈与税非課税で最大1,500万円まで教育資金を贈与できる制度です。この制度は贈与時に一括で多額の資金を提供できることが特徴で、主に学費や教育関連費用に限定されます。
こどもNISAは長期的な資産形成を促進する設計となっており、投資で得た利益に対する非課税の効果を長期間にわたって非課税で享受できます。これに対し、教育資金一括贈与制度は、教育費のための即時的な資金ニーズに応えるものです。
一時的・短期的な教育費と長期的な教育資金の積立でも考え方は異なってきますので、目的に応じて各制度を活用すると良いでしょう。
学資保険との比較
こどもNISAと学資保険は、どちらも子どもの将来の教育資金を確保する手段ですが、それぞれ異なる特徴があります。
まず、こどもNISAは投資による資産の増加を期待できる一方で、元本保証がありません。これに対して学資保険は、基本的に元本保証があり、安定した資金計画を立てることができますが、投資による資産増加のような大きなリターンを得ることはできません。
課税や税額控除の観点では、こどもNISAは非課税で投資を行うことができ、運用益が全額非課税となる一方で、学資保険は、生命保険料控除の対象となります。
投資対象の観点では、こどもNISAは投資先の選択肢が多く、自分のリスク許容度や投資方針に合わせて柔軟にポートフォリオを組むことが可能です。一方で、学資保険では、ある程度保険会社が選定した商品の中から運用する商品を選択することが一般的です。
引き出しの柔軟性については、こどもNISAは12歳以上の場合に特定の条件下で資金を引き出すことが可能になります。一方で学資保険は、契約期間の途中でも解約は可能ですが解約返戻金が元本を下回る可能性があったり、再加入が難しくなったりすることが考えられます。
このように、こどもNISAと学資保険はそれぞれ異なるメリットとデメリットを持っています。教育資金の積立にあたっては、各家庭における資産形成の目的やリスクとリターンのバランスを考え、判断することが重要です。
こどもNISAに関するよくある質問(Q&A)
こどもNISAに関するよくあるご質問を紹介します。
Q1.こどもNISAは何歳から始められますか?
こどもNISAは、0歳から始めることが可能です。未成年のうちにNISA口座を開設し、将来に向けて資産形成を始めることができます。
Q2.こどもNISAと親のNISAは同時に利用できますか?
親は親のNISA、こどもはこどもNISAをそれぞれ同時に利用することは可能です。なお、NISAの上限を超える分は、それぞれの課税口座で取引を行うことになります。
Q3.こどもNISAは18歳以降どうなりますか?
18歳以降は、こどもNISAの資産は通常のNISA口座におけるつみたて投資枠に移行されます。成人後も継続して資産運用を続けやすい設計になっています。
Q4.祖父母からの資金提供で注意点は?
祖父母からの資金提供は贈与税の対象となるため、年間110万円を超える贈与は課税の対象となる点には注意が必要です。投資資金の支援を、計画的に実施することが大切です。
Q5.こどもNISAは途中で引き出せますか?
こどもNISAの資産は、12歳以上で資金の使途が学校の入学金や授業料など特定事由に該当する場合に、手続きを行うことで資金を引き出すことができるようになり、ジュニアNISAとは大きく異なる点です。
こどもNISAは子どもの未来に向けた資産形成をサポートする制度!
こどもNISAは、子どもの未来に向けた資産形成をサポートする魅力的な制度です。こどもNISAは0歳から利用でき、年間60万円、合計600万円までの投資から得られる利益が非課税というメリットがあります。
投資にはリスクを伴いますが、分散投資や長期的な資産形成を意識しながら運用することで、子どもの教育費や将来の生活資金を計画的に準備することに役立つでしょう。これを機に、家族全体で資産形成を考え、子どもの未来を支える計画を立ててみてはいかがでしょうか。松井証券では、2027年のこどもNISAの制度開始に向けて、逐次情報を発信していきます。