地政学リスクと日本株式市場の関係は?イラン情勢や原油高の株価への影響を、わかりやすく解説!

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2026年04月16日

地政学リスクと日本株式市場の関係は?イラン情勢や原油高の株価への影響を、わかりやすく解説!

近年、ロシアによるウクライナ侵攻や中東におけるイランとイスラエル、アメリカとイランの対立などにより国際情勢の緊張が高まっています。これらの地政学リスクは、一見遠い国の出来事ですが、原油価格や為替の変動といった影響を通して、日本の株式市場にも大きな影響を及ぼしています。

本記事では、中東・イラン情勢などの地政学リスクが日本株式市場に影響を与えるメカニズムや、影響を受けやすい業種、投資家が知っておくべきポイントなどを、初心者向けに解説します。


地政学リスクと日本株式市場の関係とは?

地政学リスクとは、特定の地域における政治的・軍事的な緊張や紛争が、世界経済や金融市場に与える不確実性のことを指します。

日本は資源の多くを輸入に頼っており、特に原油の90%以上を中東地域から調達しています。そのため、中東情勢の変化は日本経済や企業業績への直接的な影響を及ぼす要因となります。

日本は現在、イランからの原油の輸入を停止していますが、イランは原油輸送の要衝であるホルムズ海峡に面しているため、この地域の情勢悪化は原油の輸送に影響し、国内では原油価格の上昇や企業業績を通じて、日本の株式市場にも大きな影響を及ぼします。

地政学リスクは、企業が事業を展開する地域以外でも株価に影響を及ぼしうるものであり、投資家にとってはその構造を理解しておくことが重要です。


イラン情勢が日本株式市場に影響を及ぼす理由とメカニズム

イラン情勢が日本の株式市場に影響を及ぼす構造的な理由と、その影響が伝わるメカニズムについて確認していきましょう。

日本がイラン情勢の影響を受けやすい構造的理由

エネルギーの90%以上を輸入していること

日本のエネルギー自給率はわずか16.4%(2024年度)にとどまっており、世界各国と比べても極めて低い水準です。これは日本が資源の乏しい国であり、エネルギーの大部分を海外からの輸入に依存しているためです。

日本が利用するエネルギーは、石油・石炭・天然ガスなどの化石燃料が80.0%を占めています。特に原油は99.7%、天然ガスは97.9%、石炭は99.7%を海外から輸入しており、そのうち原油の約95.1%を中東地域から調達しています。このように、海外からの輸入に依存している構造が、中東情勢の影響を受けやすい理由です。

ホルムズ海峡というエネルギー供給の要衝

中東から輸入するエネルギー資源は、ホルムズ海峡を通って輸送されます。ホルムズ海峡は、世界の海上原油輸送の約20%が通過するとされる、極めて重要な輸送ルートです。日本も、輸入する原油の80%以上がこの海峡を経由しており、この海峡が封鎖されると日本への原油供給が途絶え、原油価格が上昇するリスクがあります。

製造業中心の産業構造

日本は自動車、電機、化学などの製造業が産業の中心であり、エネルギーの安定供給は経済活動にとって極めて重要です。イラン情勢の緊迫化による原油価格の上昇は、生産コストの上昇や供給チェーンの混乱を招く可能性があり、収益を圧迫するリスクとなります。

このような理由から、日本の株式市場は中東・イラン情勢の影響を受けやすいと言えます。

原油価格変動から株価への連鎖

イラン情勢の緊迫化は、主に原油価格の上昇という形で市場に直接的な影響を与えます。原油価格の影響の主な順序を確認しましょう。

➀原油供給への懸念

イラン周辺での軍事的衝突などによる緊張の高まりは、原油生産そのものや、ホルムズ海峡を通じた輸送が滞るとの懸念につながります。

②原油価格の上昇

原油の生産・輸送における懸念が高まると、まず原油先物市場で買い(需要)が高まることにより、原油価格が上昇します。特にイラン周辺での紛争や、ホルムズ海峡の通行が脅かされる事態が発生すると、短期間で価格が大きく上昇することがあります。

価格の上昇は、長期化する場合や、外交的に解決される見通しが立ったり、実際の供給への影響が限定的だと判明したりする場合に、短期間で落ち着きを取り戻すこともあります。

③企業にとってのコスト増

原油価格の上昇は、エネルギー消費が大きい製造業においては製造コストが上昇したり、輸送業では輸送にかかる燃料費が上昇したりするなど、事業コストに直接的な影響を及ぼします。

コストの増加は、短期的に製品やサービスの価格へ転嫁することが難しいことも多く、その場合には企業の収益に直接影響を及ぼすことになります。

④株価の下落

原油価格の上昇が、企業の収益を圧迫すると予想される場合には、株式市場においてその企業の株価には下落圧力がかかります。事業への影響度合いは業種・企業によって異なり、下落幅やその期間もそれぞれ異なるでしょう。

為替市場への影響とリスクオフの動き

イラン情勢の緊迫化は、為替市場にも影響を及ぼします。地政学リスクが高まると、投資家は安全資産への逃避行動を取る傾向があります。これは「リスクオフ」と呼ばれる動きで、株式などのリスク資産から国債や金などの安全資産に資金が移動します。

ドル円相場に対しては、原油価格の上昇により輸入コストが増加することや、資源代金の支払いにドルが必要となることから、円売り・ドル買いの動きが強まり、円安が進行する場合があります。

投資家心理への影響

地政学リスクの高まりによる不確実性の増大は、投資家のリスク回避姿勢を強め、株式から現物資産や債券などへの資金移動を促します。これにより、株価が一時的に大きく変動することがあります。


イラン情勢の緊迫化に伴う、原油価格変動の影響を受けやすい業種は?

イラン情勢の緊迫化が日本株式市場に与える影響は、業種によって大きく異なる傾向があります。

先述の通り、イラン情勢の緊迫化は原油価格の上昇につながり、それが企業業績に波及すると考えられますが、ここでは、原油価格変動によりマイナス影響を受けやすいと考えられる業種と、逆にプラスの影響を受けやすい業種について解説します。

マイナスの影響を受けやすい業種

原油価格の上昇は幅広い企業に影響を及ぼしますが、マイナス影響を受けやすいと考えられる主な業種を紹介します。


業種 考えられる主な影響
輸送用機器
(自動車業界)
製造コストの増加、ガソリン価格上昇による消費者の購買意欲の低下
化学 石油化学製品の原材料費が上昇
空運業
(航空業界)
航空機の飛行に必要なジェット燃料価格が上昇

上記以外では、外食産業(食材の輸送コスト増)、小売業(物流コスト増)、建設業(重機の燃料費や資材の輸送コスト増)などで、マイナスの影響を及ぼす可能性があります。下落幅や影響する期間は、競争環境や価格転嫁の可否の状況など業種・企業によって異なります。

プラスの影響を受けやすい業種

一方で、原油価格の上昇によりプラスの影響を受けやすい企業もあり、その主な業種を紹介します。


業種 考えられる主な影響
鉱業
(石油開発業界)
海外の油田・ガス田権益を保有する場合、原油の販売価格が上昇
石油・石炭製品
(原油元売り業界)
保有する在庫の販売価格上昇
卸売業
(総合商社)
エネルギー資源の権益を保有する場合、資源の販売価格の上昇

原油高メリットを受ける銘柄は?関連度が高い日本企業4選!

原油高の恩恵を受けやすい銘柄を、松井証券の投資情報ツール「マーケットラボ」からテーマ検索で関連度が高い順に4つ紹介します。


銘柄 株価 3ヶ月前比 特色
INPEX
(東P/1605)
4,190円 +28% 石油・天然ガス探鉱開発で国内首位。オーストラリアでLNG案件が進行中。
石油資源
(東P/1662)
2,491円 +17% 石油・天然ガス開発に特化。国内で天然ガス・インフラ事業を展開。
出光興産
(東P/5019)
1,536円 +20% 石油元売り国内2番手。石油化学や資源開発(原油・石炭)も手掛ける。2019年昭和シェル石油と統合。
ENEOS
(東P/5020)
1,430円 +15% 石油元売り国内最大手。2017年に東燃ゼネラル石油と経営統合。

これらの銘柄は、石油・天然ガスの開発や精製を主力事業とする企業です。INPEXや石油資源開発は海外の油田・ガス田の権益を保有しているため、原油価格が上昇すればその分収益が増える構造になっています。出光興産やENEOSのような石油元売り企業は、原油価格の上昇局面で在庫評価益(保有する在庫の価値上昇による利益)が期待できます。

ただし、原油価格は地政学リスクだけでなく、世界経済の動向や為替相場など多くの要因で変動します。また、原油高が必ずしも株価上昇に直結するわけではなく、急激な価格上昇は需要減退を招くリスクもあります。投資を検討する際は、これらの銘柄の最新の業績や事業戦略も確認し、慎重に判断することが大切です。

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地政学リスクに対し、投資家が知っておくべき対策とポイントは?

イラン情勢などの地政学リスクに対して、投資家はどのように向き合い、対応すべきでしょうか。

分散投資の重要性

地政学リスクの影響を最小限に抑えるためには、資産や地域、業種の分散投資が重要です。特定の業種や地域に集中投資していると、その地域・事業領域で何かが起こった場合に大きな損失を被る可能性があります。

また、中東情勢という地政学リスクを原因として発生しやすいエネルギー価格の上昇に対しては、マイナスの影響を受ける企業に偏らないように、業種をバランスよく保有することで、リスクを分散することができます。

資産の分散という観点では、株式だけでなく、債券や金などの比較的価格変動リスクの低い資産も組み合わせて保有することはリスク分散に役立ちます。



タマゴはひとつのカゴに盛るな

古くから伝えられてきた「タマゴはひとつのカゴに盛るな」という相場の格言。ひとつに盛ると、カゴを落としてしまった場合にタマゴが全部割れてしまいかねませんが、いくつかのカゴに分けてタマゴを盛っていれば、カゴを1つ落としてもすべてのタマゴを割ってしまうことは避けられます。集中投資を避け、リスクを分散させることの大切さを説く格言です。


地政学リスクをチャンスに変える考え方

地政学リスクによる株価下落は、一時的な下落であれば、優良企業の株を割安で購入できる機会と考えることもできます。株価の急落時にもパニックにならず、冷静に業績への影響を見極めることができれば、チャンスになるかもしれません。

ただし、底値で買って高値で売るというのは簡単なことではありませんので、極端にリスクをとることなく、業種・地域・資産といった分散投資によるリスク管理が重要です。


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イラン情勢に関しては、こちらの動画でエミンさんが「アメリカとイランの関係」について楽屋でゆるっと解説しています。お取引の参考にぜひご覧ください。



著者プロフィール

松井証券WEBサイト編集チーム

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