窪田朋一郎のウィークリーマーケットトーク ~今週の振り返りと来週のポイント~
今週の東京株式市場:イラン情勢と原油価格に揺れるマーケット
今週の東京株式市場は、イラン情勢を巡る地政学リスクと原油価格の動向に大きく影響されました。週初めの23日は、米国・イスラエルとイランの軍事衝突懸念から日経平均が大幅に下落し、一時5万円台まで落ち込みました。
24日には、トランプ大統領のイラン攻撃延期発言を受けて市場センチメントが改善し、日経平均は3日ぶりに反発しました。25日も停戦に向けた動きへの期待から全面高の展開となり、日経平均は一時5万4000円台を回復しました。
しかし、26日にはイラン和平交渉を巡る不透明感から、日経平均は3日ぶりに反落しました。週を通じて、原油価格の変動も相場の重要な要因となりました。
個別銘柄では、キオクシアホールディングスやフジクラ、半導体関連株の動きが注目されました。また、東京海上ホールディングスが米バークシャー・ハサウェイとの資本業務提携を発表し受けて急騰するなどしました。
全体として、中東情勢と原油価格の変動が相場を大きく揺さぶる一週間となり、投資家のリスク許容度の変化が日々の相場動向に反映される展開が続いています。
今週の個別銘柄解説:経営戦略と課題
東京エレクトロン(8035):
純利益の約8割を還元するなど株主還元を強化し、2026年3月期は過去最高の還元総額となる見通しです。米アプライドマテリアルズなど海外競合との差を埋めるため、余剰資本圧縮や政策保有株売却も検討しています。成長戦略として、AI半導体需要に対応した新製品開発を打ち出しているほか、価格戦略を見直し利益率改善を図っています。
東京海上ホールディングス(8766):
23日の取引終了後、米バークシャー・ハサウェイグループとの資本業務提携を発表し、株価が大幅に上昇しています。約2874億円相当の自社株をバークシャー子会社に割り当て、2.49%の株式を保有することになります。再保険分野での協業やM&Aでの提携を推進し、同時に同規模の自社株買いも実施して既存株主の希薄化を抑制する予定です。
トヨタ自動車(7203):
豊田自動織機(6201)へのTOBが成立し、買収総額は約5兆9000億円と国内M&A史上最大規模となりました。25日の東京市場ではイラン情勢の改善期待から主力株に買い戻しが入る中、グループ内での事業再編への期待もあり、トヨタ株は一時4%超の上昇を見せました。豊田自動織機は上場廃止の予定です。
任天堂(7974)
24日後場に急落しています。ブルームバーグ通信が、「スイッチ2」の2026年1~3月期の生産を最大200万台引き下げると報じたことが要因です。昨年末の米国での販売不振や、新作ゲームの不調が背景にあるとされています。減産は4月以降も続く可能性があり、市場はこの報道を嫌気して売りが優勢となりました。
ソフトバンクグループ(9984):
株価は上下しつつも上値が重い展開となりました。孫会長が米国での大規模AIデータセンター構想を発表しましたが、過剰投資懸念もあり株価への好材料とはなりませんでした。一方、傘下の英アームが半導体自社開発を発表したことで、25日には株価が一時7%を超える上昇となりました。また出資する米オープンAIは動画生成AI「Sora(ソラ)」のスマートフォンアプリの提供を終了すると発表し、年内に予想されるIPOに向けてコスト削減行うなど材料が多く今後の動向にも注目です。
上記の銘柄などをサクッと動画で解説している動画を3/30(月)21:00に
松井証券YouTubeマーケットナビで公開予定です。
下記リンクから是非ご覧ください。
来週の注目トピック
中東情勢ヘッドライン
来週も米国とイランの間の停戦に関する報道で株式相場は上下に振られる展開となりそうです。協議の成否は依然不透明ですが、ホルムズ海峡の閉鎖は継続しており、長引くようであれば実体経済への影響も大きくなりそうです。引き続き停戦協議の進展やトランプ米大統領の動向などを注視する必要があります。
新年度の買い需要の有無
来週は実質的に4月相場入りします。3月末に向けた配当や権利取りの買いが一巡する一方、機関投資家(年金基金や投資信託など)が、新年度入りとともに株式を買い始めるのか、債券価格の下落を穴埋めするため期初の売りが優勢になるのかに注目が集まりそうです。
日銀短観:
3月調査について4月1日(水)8:50に公表予定です。日銀の金融政策決定会合に向け、企業の景況感や設備投資計画を確認する上で極めて重視されます。今回の調査は、一部にイラン戦争に伴う原油価格高騰の影響が含まれるため、市場の注目度は高そうです。大企業製造業はAI需要の拡大や半導体関連の堅調さが下支えされそうですが、サービス業は中東情勢の緊迫化や日中関係の影響によるインバウンド需要の減速が懸念されます。
米・雇用統計:
3月分が4月3日21:30に公表される予定です。労働市場の冷え込みか底堅さを見極め、FRBの利下げ時期を占う重要局面です。非農業部門雇用者数(NFP)は前回2月の9.2万人減からプラス転換が期待されます。ストライキの影響などで伸びは抑制されるとの見方もあり、景気減速による構造的なものかを確認する機会となります。
米国の雇用はこのところ弱含んでいるほか、AIの普及に伴うホワイトカラーのリストラの影響にも注目です。