窪田朋一郎のウィークリーマーケットトーク ~今週の振り返りと来週のポイント~
今週の東京株式市場:中東情勢で急落と急反発の激動
今週の東京株式市場は、イラン戦争の緊迫化と和平への期待が交錯し、激しい値動きが続きました。
3月30日は、イランでの地上戦懸念からリスク回避ムードが強まり、日経平均は一時2800円あまり急落し、5万円台まで水準を下げる場面がありました。31日も不安定な展開が続き、4日連続の下落となりました。
しかし、4月1日には米軍の早期撤退観測から日経平均は2675円96銭高と今年最大の上昇を記録しました。ほぼ全面高の展開となり、値上がり銘柄は市場の97%を占めました。
4月2日は、トランプ米大統領の演説を境に相場が急変しました。当初は停戦期待から上昇していましたが、演説後はイランへの追加攻撃の可能性が示唆され、急落に転じました。
個別銘柄では、キオクシアホールディングスやアドバンテストなど半導体関連株の値動きが大きく、原油価格の変動に影響を受けるエネルギー関連株も注目されました。
今後も中東情勢と原油価格の動向を注視する展開となりそうです。地政学リスクの高まりで市場の変動性も増大するため、高いボラティリティに対応できる投資姿勢が求められます。
今週の個別銘柄解説:AI関連に様々な動きも
富士通(6702):
AI処理に特化したNPUと呼ばれる純国産AI半導体を開発すると、1日の日本経済新聞で報じられたことが好感され続伸しました。最先端の1.4ナノメートル回路線幅を採用し、省電力が特徴です。経済産業省も開発を支援し、製造はラピダスに委託する方針です。スーパーコンピューター向け半導体開発で培った技術力のAI分野への応用が評価されていますが、業績への影響は現時点で不透明です。
アドバンテスト(6857):
1000億円のユーロ円建て転換社債を20日に発行すると発表しました。AI向け半導体テスター需要の急増に対応するため、供給能力増強に活用します。調達資金の約半分を生産能力向上に、残りを在庫確保や新技術開発に充てます。利率ゼロで金利コストを抑え、転換条項で既存株主にも配慮しています。海外市場で募集し、年限は5年です。この資金調達でAI需要に対応する体制を整えます。
太陽ホールディングス(4626):
米投資ファンドKKRが太陽ホールディングスの非公開化に向け、10月上旬にTOBを開始すると発表しました。約5000億円を投じ、1株4750円で買収を目指します。太陽HDはプリント基板向けインクで世界首位のシェアを持ち、AI普及によるデータセンター需要増加を見込んでいます。KKR傘下で長期的な投資と迅速な意思決定を進める方針です。大株主のオアシス・マネジメントや創業家、DICの株式取得も予定されており、発行済み株式の約42.2%以上を取得する見通しです。
味の素(2802)
米ブルームバーグ通信が、英投資ファンドのパリサー・キャピタルによる同社株取得を報じたことで株価の刺激材料となりました。パリサーは味の素の主要株主上位の一角となり、高性能半導体用の層間絶縁材料「ABF」事業で30%超の値上げを求めているとのことです。
ロート製薬(4527)
株価が堅調に推移しています。同社が「ヒューマノイド開発プロジェクト」の始動を発表したことが好感されたようです。このプロジェクトでは、フィジカルAIを活用し、上野テクノセンターでサイバーフィジカルシステムを実装します。環境変化に適応できるものづくりの確立を目指し、将来的には製造現場でヒューマノイドと人間が協働する最適モデルの導入を目標としています。
上記の銘柄などをサクッと動画で解説している動画を4/3(金)21:00に
松井証券YouTubeマーケットナビで公開予定です。
下記リンクから是非ご覧ください。
来週の注目トピック
米インフレ指数
米国のインフレ動向を占う上で重要なCPI(消費者物価指数)と、FRBが最も重視するコアPCE価格指数の発表が予定されています。10日発表のCPIは3月分の速報、9日のPCEは2月分の確報値の位置づけです。イラン戦争に伴う原油価格の上昇の影響はまだ限定的だと見られるため、エネルギーや食品、住居費を除いた「サービス価格(スーパーコア)」の伸びが鈍化しているかが焦点です。来月以降は中東情勢により総合指数は上振れが意識されますが、原油価格上昇が物流費などを通じてコアにも波及し始めているかに注目となるでしょう。
FOMC議事要旨
3月開催分が9日公表になります。会合時に示された「ドットチャート(金利見通し)」の裏側で、どの程度の理事が年内の複数回利下げに積極的だったか(あるいは慎重だったか)が明らかになります。米国ではAIの普及に伴うリストラが広がる一方、イラン戦争に伴う原油価格の高騰でインフレ圧力が強まる可能性があり、FRB内でどのような議論があったかについて、注目が集まります。
長期金利:
2日現在、日本の長期金利(10年物国債)の利回りは一時2.390%まで上昇しており、1月の高市トレードの水準を上回っています。財務省が2日実施した10年物国債入札は不調に終わり、インフレ下での財政拡張に対する警戒感から投資家の需要は弱く、中東情勢から原油高が長引きインフレ加速を織り込む動きとなっています。金利上昇は相対的に株式の魅力を下げるため、更なる金利上昇となると株式市場への逆風が強まる懸念があり注視が必要です。