米長期金利上昇とGPT-6 アストラ登場によるソフトバンクGの連騰

2026年09月11日

米長期金利上昇とGPT-6 アストラ登場によるソフトバンクGの連騰


今週の東京株式市場:原油高と金利上昇の重圧

今週の日経平均は振れが大きい展開が続いた後、週末に大きく値を崩す展開となりました。
7日は米SOX高と韓国KOSPI高を受け、1,378円高の6万6,399円。8日は原油高、円高、金利上昇が重なり、1,130円安の6万5,269円。

10日はTSMCの8月売上高が前年同月比53パーセント増と単月過去最高を更新し、128円高の6万5,270円で終えました。

ただ、10日夜の米国市場で再び流れが悪化します。8月PPI(生産者物価指数)が前年同月比5.4パーセント上昇と予想を上回り、米10年債利回りは4.84%から4.97%へ上昇。原油もブレントが一時108ドル台まで上昇し、ダウは316ドル安の5万2,064ドルと4日続落となりました。

この結果、日経平均株価は金曜日に急落しました。半導体の実需で下値を買う流れは残っていますが、金利と原油の上振れが株価への重圧となっています。

金利と原油の上振れが株価への重圧

今週の個別銘柄解説:金利3%台の号砲!大提携と長期投資で動く今週の5銘柄

【キオクシア】米サンディスク指数採用で急伸

キオクシアホールディングス(285A)が7日、一時前週末比8.7%高となりました。主因は、共同開発先の米サンディスクがS&P100に採用され急伸したことです。SOX上昇、サムスン電子やSKハイニックス高も加わり、メモリー株全体のベータとして買われました。

ただ、S&P100採用はサンディスクへのパッシブ資金流入であり、キオクシアの需給やNANDの価格見通しが変わったわけではありません。アンソロピック上場観測などでメモリー関連への関心は戻っていますが、株価のドライバーは「メモリー高」です。

直近の信用買い残はなお厚く、急伸後に短期筋の利益確定が出やすい需給でもあります。サンディスク株の需給だけで判断することには注意した方がいいでしょう。

キオクシアホールディングス(285A)

出所:松井証券お客様サイト

【ソフトバンクG】上昇局面入りか

ソフトバンクグループ(9984)は9日に5日続伸し、6月25日以来の高値を付けました。きっかけになったのは、出資先オープンAIが新型モデル「GPT-6 Astra」の提供を始めたことです。9月3日に一部法人向けで始まり、その後ChatGPT有料プランやAPI、AWS Bedrockへ広がっています。PC操作やコーディングに強い最上位モデルで、GoogleのGemini等に対するモデルの優位性が評価されました。

ソフトバンクGから見ると、Astraの利用料そのものより、オープンAIの競争力と将来価値が再確認されたことが大きいです。アーム株高やSOX高も追い風でしたが、連騰の起点は「次世代モデルが予定どおり出た」ことにあります。

ただ、6月高値9,074円にはまだ距離があります。ソフトバンクGは将来キャッシュフローを遠くで見る銘柄なので、米長期金利が上がると割引率が上がり、AI材料があっても株価は重くなりやすい。実際、10日の米10年債利回りは4.97%まで上昇し、11日には株価も下げています。Astraは買い材料として効きましたが、金利との綱引きが続きそうです。

SBG(9984)

出所:松井証券お客様サイト

【任天堂】新作期待も利益確定売り

任天堂(7974)は、年内発売予定の家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ2」向けソフト「ゼルダの伝説 時のオカリナ」への高い期待感や、証券会社による目標株価引き上げ(1万2300円→1万3200円)を材料に8日一時反発しました。

しかし、同作の発売日が11月5日に決まり、2027年4月公開予定の実写映画タイトルが発表されると、翌9日には期待感から先行していた買いに対する手じまい売りが優勢となりました。同作のクオリティや2026年10〜12月期で1,000万本の販売予想もあり、業績貢献が期待されます。

しかし続いて配信された新作紹介動画「ニンテンドーダイレクト」で「星のカービィ」新作(2027年春)や「モンスターハンターワイルズ」(今年12月)などが発表された際、マリオシリーズの新作発表を見込んでいた投資家からは物足りないと受け止められました。
これにより、8月の株価上昇(18%近く)を受けた利益確定売りや目先の材料出尽くし感から、10日の株価は5%以上続落する展開となりました。

また、最近でもメモリ価格の高騰が続いているため、スイッチ2の販売には逆風が吹いています。株価が反発するには追加の大型IP発表やハード本体の販売進捗の確認が必要になりそうです。

任天堂(7974)

出所:松井証券お客様サイト

【古河電工】米株に連れ高、光ファイバー拡大期待で

9日、古河電気工業(5801)が前日比で一時14.45%高と急伸し、住友電気工業(5802)フジクラ(5803)などの電線株が揃って大幅高となりました。前日の米株式市場で光ファイバー大手の米コーニングが7%超上昇したことを受け、東京市場でも関連銘柄である電線各社に買いが連想波及しています。

コーニングが米通信大手ベライゾン・コミュニケーションズと2027〜32年にかけて数十億ドル規模の光ファイバーおよび接続部品の供給契約を結んだと発表したことで、人工知能(AI)やブロードバンド向け需要の高まりによる光ファイバー市場の拡大が改めて意識されました。AI半導体株全体の地合い改善も追い風となり、好材料に反応した資金が電線株へ集まる展開となっています。

古河電(5801)

出所:松井証券お客様サイト

【三菱UFJ】日銀利上げ継続の思惑で上げ幅拡大

三菱UFJ FG(8306)が10日に反発し、一時前日比2.22%高の3,681円まで上げ幅を拡大しました。日米で長期金利が上昇する中、日銀の増審議委員が講演で「引き続き政策金利を引き上げ金融緩和の度合いを調整していくことになる」と利上げ継続を主張したことが材料視され、金利上昇に伴う利ざや拡大への期待から三井住友FG(8316)みずほFG(8411)などメガバンク株全般に買いが入りました。

銀行株は利上げ局面で利ざや拡大が意識されます。ただ7月高値3,813円のあと上値は重く、今回も高値更新には至っていません。市場が見ているのは利上げの有無より、利上げが「秩序ある金利上昇」か「景気・株価全体の重荷」かです。

前者なら銀行は相対的に強くなりますが、後者なら金利上昇でも上値が限られる可能性があります。来週の日銀は、利上げ自体より総裁が次のペースをどう語るかで、銀行と成長株の相対が決まりやすいと思います。

三菱UFJ(8306)

出所:松井証券お客様サイト

上記の銘柄などをサクッと動画で解説している動画を9/11(金)21:00までに松井証券YouTubeマーケットナビで公開予定です。
下記リンクから是非ご覧ください。


来週の注目材料

米FOMC(連邦公開市場委員会)

日本時間17日(木)未明に結果が発表されます。10日に発表された8月PPIは前年同月比5.4%上昇と、市場予想の5.3%を上回り、伸び率は3カ月ぶりに拡大しました。エネルギー価格の上昇が目立ち、インフレ長期化への警戒が再燃しています。この結果、米10年債利回りは4.97%まで上昇し、先物市場の9月利上げ確率も7割前後まで切り上がりました。

当初は据え置きと利上げが拮抗していましたが、利上げするとの見方が強まっています。FOMCで見るべきは決定そのものより、ドットチャートとウォーシュ議長の会見です。
タカ派に振れれば米長期金利は一段と上昇し、ドル高・円安が進みやすい。輸出株や銀行には追い風となる可能性がある一方、半導体やソフトバンクG、日経平均には逆風となりそうです。

据え置きでも会見がタカ派であれば成長株は売られ、利上げでも打ち止め感が出れば買い戻されます。ソフトバンクGやメモリー株は、国内材料より米金利の感応度が高まっているため、この先も金利動向に要注目です。

米PPI(生産者物価指数)日米政策金利

期間:2020年1月~2026年8月、月次 出所:QUICKより松井証券作成

日銀金融政策決定会合

18日(金)に結果が発表されます。市場では、政策金利をいまの1.00%程度から1.25%程度へ引き上げるのがほぼ織り込まれています。0.25%の利上げ自体は、すでに株価や為替に相当程度入っており、焦点は次の利上げをいつ頃と話すか、そして植田総裁の会見がどれだけ踏み込んだ表現になるかです。

金利を上げると、預金と貸出の利ざやは銀行に追い風になりやすい一方、お金を借りる負担は増えます。総裁が「この先も続ける」と受け取られると、円は買われやすく、成長株は重くなりやすい。

逆に「様子を見る」と受け取られると、円高観測は弱まります。高田審議委員は2日の講演で、連続利上げや、場合によっては0.25%より大きい利上げもあり得ると示唆しました。

10日には増審議委員も、緩和度合いをなお調整していくとの考えを示しています。
ただ最終的には委員の講演より総裁会見です。各種中央銀行のイベント後に銀行株と成長株のどちらが相対的に強いかを見る必要があるでしょう。


著者プロフィール

窪田朋一郎

窪田朋一郎

松井証券チーフマーケットアナリスト。
松井証券に入社後、WEBサイトの構築や自己売買担当、顧客対応マーケティング業務などを経て現職。ネット証券草創期から株式を中心に相場をウォッチし続け、個人投資家の売買動向にも詳しい。日々のマーケットの解説に加えて、「マザーズ信用評価損益率」や「デイトレ適性ランキング」「マーケットラボ アクティビスト追跡画面」など、これまでにない独自の投資指標を開発。


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