コモディティ投資とは?意味や特徴、魅力についてわかりやすく解説

2025年12月25日

コモディティ投資とは?意味や特徴、魅力についてわかりやすく解説


コモディティとは、国際的に取引される原材料や一次産品のことを指します。コモディティ投資は、インフレヘッジや資産の分散効果を求める投資家にとって魅力的な選択肢のひとつです。しかし、その価格は需要と供給のバランスや地政学的リスクなど多くの要因で変動し、初心者には難しく感じることもあります。

本記事では、コモディティの基本的な意味や種類から、価格変動の要因、投資のメリット・デメリットまでわかりやすく解説します。


コモディティとは?

コモディティとは、一般的に「商品」を表す言葉で、国際的に取引される原材料や一次産品(自然から採取されたままの状態の産物)のことを指します。コモディティには、エネルギー資源(例:原油、天然ガス)、金属(例:金、銀)、農産物(例:トウモロコシ、小麦)などが含まれます。これらの商品は世界中で標準化された品質を持ち、どこで生産されても同じ価値を持つと見なされることが特徴です。

コモディティの価格は、需給バランス、地政学的リスク、経済指標などの影響を受けやすく、一般的にその価格変動(ボラティリティ)は株式などと比べても大きいとされます。投資の観点からは、コモディティはインフレ対策やリスク分散の手段として注目されることもあり、ポートフォリオに組み込むことで資産防衛の効果が期待できます。

コモディティの種類

コモディティは主にエネルギー、金属、農産物の3種類に分類されます。

エネルギー

コモディティ投資の対象となるエネルギー分野の商品には、原油や天然ガス、石炭などがあります。これらは世界中の産業活動において不可欠な資源です。特に原油は、輸送や製造業における重要な役割を果たしており、その価格変動は経済全体に大きな影響を及ぼします。

特に日本は製造業などが発展している世界有数の輸出国家であるため、資源や原材料としてエネルギーを多く使用します。エネルギー需要が非常に大きいことから、エネルギーコストの変動は企業の業績にも大きな影響を及ぼすことがあります。

金属

コモディティ投資の対象となる金属分野の商品には、金、銀、銅、アルミニウムなどがあります。金や銀は、貴金属としての価値が高く、「安全資産」として経済や株式市場が不安定なときに注目が集まりやすい傾向があります。銅やアルミニウムは、電気製品や建設資材としての需要が高く、産業界でのニーズが大きい商品です。

2025年は金価格が勢いよく上昇しました。2025年12月現在で1トロイオンス(約31.1g)あたり4,200ドル(約65万1,000円)を超え、年初の2,600ドル(40万3,000円)から約1,600ドル(24万8,000円)も上昇しました。

農産物

コモディティ投資の対象となる農産物分野の商品には、トウモロコシ、小麦、大豆、コーヒー、砂糖などがあります。これらは、食料品としての需要が大きく、気候変動や農業技術の進展により供給量が変動し、価格変動に影響することが特徴です。

例えば近年価格の高騰が続いているコーヒーは、主な価格高騰の原因としてブラジルやベトナムなどの主要産地での干ばつや、水不足による収穫減などがあります。農作物のコモディティ価格の変動は日々の生活コストに直結することもあります。


価格の変動要因

コモディティの価格は多くの要因によって変動しますが、主に需要と供給のバランスや地政学的リスク、経済指標の変化などが大きく影響します。コモディティ投資について考える際にはこれらの要因についての理解しておきましょう。

需要と供給のバランス

コモディティの価格変動において最も基本的かつ重要な要因が、需要と供給のバランスです。これを需給と呼びますが、需給のバランスが崩れると、価格は大きく動くことになります。

需要とは、市場において消費者がある商品を購入したいと考える量のことであり、供給とは、その商品が市場に提供される量のことを指します。これらが均衡している状態では価格は安定しやすいですが、どちらかが過剰または不足すると価格に影響を与えます。

需給の状況 コモディティ価格への影響
需要過多 買付希望が多く、商品が不足気味の状態 価格が上昇しやすい(強気相場)
需給均衡 需要と供給のバランスが取れている状態 価格は比較的安定し、急激な変動が少ない
供給過多 買付希望に対し、商品が過剰に出回っている状態 価格が下落しやすい(弱気相場)

このように、コモディティ市場では需要と供給のバランスの変化が価格の上昇や下落を直接的に引き起こします。例えば、農産物では天候不良による収穫量の減少が供給不足を招き、価格上昇につながるケースがあります。エネルギー分野では産油国の増産によって原油が市場に過剰供給されると、価格が下落することがあります。

地政学的リスク

地政学的リスクとは、国や地域の政治的な不安定要素や紛争、制裁などが原因で、コモディティの供給や価格に大きな影響を与えるリスクを指します。これらのリスクが原油や金属などの重要な資源の生産・輸出国で発生すると、供給チェーンに特に大きな混乱をもたらし、価格の急激な変動を引き起こすことがあります。

具体例 コモディティ価格への影響
紛争・戦争 中東の紛争、ロシア・ウクライナ情勢など 供給不安、インフラへの攻撃に伴う物流障害による供給の減少などにより、価格の上昇を引き起こす
経済制裁・貿易制限 特定国への制裁措置、輸出入制限など 供給不足や将来の供給への懸念による需要の増加を招き、価格の上昇を引き起こす
政治的不安 政権交代に伴う政治の不安定化、政府の崩壊など 市場の不確実性が高まり、価格の変動が激しくなる

地政学的リスクは予測が難しく、突発的に発生することが多いため、投資家はコモディティの価格変動に注意を払う必要があります。コモディティに投資する際は、影響を受けやすいと考えられる地政学的リスクを把握し、リスク管理や情報収集に取り組むことが重要です。

経済指標や金融政策

経済指標の発表や各国の金融政策は、中長期的な価格トレンドを形成する要素として、投資家の心理や市場の動向に影響を与え、コモディティの価格に大きく影響します。

主な経済指標には、 CPI(消費者物価指数)や PPI(生産者物価指数)、失業率、GDP成長率などがあります。これらの指標は経済の健康状態を示し、インフレの進行度合いや景気の動向を把握するために用いられます。例えば、CPIが上昇するとインフレ圧力が高まることを意味し、これが金や原油などのコモディティ価格の上昇につながることがあります。

また、中央銀行の金融政策はコモディティ価格に直接的な影響を与え、特に金利の変更は、投資家のコモディティへの投資意欲に影響します。金利が上昇すると債券の利回りが魅力的になり、コモディティ投資から資金が流出しやすくなる可能性があります。一方、金利が低下するとリスク資産としてのコモディティが買われやすくなる面があります。

為替レートの変動もコモディティ価格に影響を及ぼします。多くのコモディティは米ドル建てで取引されるため、ドル高になると相対的に他通貨の購買力が下がり、コモディティ価格は下落しやすくなります。逆にドル安はコモディティ価格を押し上げる要因となります。

自然災害・気候変動

コモディティの価格は、自然災害や気候変動の影響にも強く影響を受けることがあります。特に農産物やエネルギー資源の価格は天候の変化に敏感で、供給量の減少や生産コストの上昇を引き起こし、価格の上昇リスクが高めることにます。

    
具体例 コモディティ価格への影響
干ばつ 農作物の生産量減少、エネルギー資源の供給不足など 供給不足により、価格の上昇を引き起こす
洪水 農地の冠水による作物の損失、輸送網の混乱など 供給減少や物流遅延により、価格の上昇を引き起こす
台風 設備被害や生産停止、インフラ破壊など 生産停止による供給減少により、価格の上昇を引き起こす
気温上昇 長期的な生産環境の変化、収穫量の不安定化など 価格の不安定化と中長期的な上昇を引き起こす

コモディティ投資のメリット・デメリット

インフレヘッジや資産分散などの魅力的なメリットがある一方で、価格の変動リスクや流動性の低さなどのデメリットも存在します。ここでは、投資判断の参考となる主なポイントを解説します。

メリット

コモディティ投資には、他の投資商品にはない独自のメリットがいくつかあります。特にインフレ対策としての効果や、さまざまな商品に分散投資できる点は、多くの投資家にとって魅力的です。

インフレヘッジ効果

インフレが進行すると、物価が上昇し現金や債券などの資産価値が目減りするリスクがあります。こうした状況に対し、コモディティ投資は有効なインフレ対策として注目されています。コモディティは実物資産であるため、インフレ時には価格が上昇しやすく、資産の価値を守る役割を果たします。

特に金は安全資産として古くから知られ、インフレや経済不安の際に買われやすい傾向があります。また、原油などのエネルギー資源もインフレ環境下で価格が上昇しやすいため、これらのコモディティに投資することでインフレリスクの軽減を図ることができます。

資産の分散効果

コモディティは株式や債券などの金融資産とは異なる値動きを示すため、ポートフォリオ全体のリスクを低減し、安定した資産運用を実現しやすくなります。

具体的には、株式市場が下落している局面でも、コモディティ価格は需要と供給のバランスや地政学的リスク、自然災害など独自の影響を強く受けるため、必ずしも株価と同じ方向に動くわけではありません。このため、コモディティをポートフォリオに組み入れることで、価格変動リスクを分散し、全体のリスクを抑える効果が期待できるのです。

このようにコモディティ投資は資産を守る防衛的な役割を持つため、株式や債券市場の値動きが激しい状況でも、安心して資産運用を行うための有効な選択肢となります。

デメリット

コモディティ投資には多くのメリットがある一方で、投資家が注意すべきデメリットやリスクも存在します。これらを理解しないまま投資を行うと思わぬ損失を被る可能性があるため、しっかりと把握しておくことが重要です。

価格の変動リスク

コモディティ投資において最も注意すべきリスクの一つが、価格の変動リスクです。コモディティの価格は、需要と供給のバランス、地政学的リスク、経済指標、自然災害など多様な要因によって大きく変動します。これらの要因が複雑に絡み合う上に、株式のように決算などの数値情報が出回りづらく、価格の動きは非常に不安定で予測が難しいのが特徴です。

特に、コモディティ市場は株式や債券市場と比べて価格変動が激しい傾向にあります。これはコモディティが実物資産であり、市場の需給状況に敏感に反応するためです。例えば、天候不順や政治的な紛争の発生は、原油や農産物の価格を急激に押し上げることがあります。

流動性の低さ

コモディティ投資における流動性の低さは、取引のしやすさや売買価格に直接影響を与える重要なデメリットの一つです。流動性とは、市場で商品がどれだけ活発に売買されているかを示すもので、流動性が高いほど希望する価格でスムーズに取引が成立しやすくなります。一方で流動性が低い市場では、取引が成立しにくく、売りと買いの注文の価格差であるスプレッドが大きくなる傾向があります。

コモディティ市場は商品ごとに流動性の違いがあり、特にマイナーな商品や農作物のように季節性の強い商品では流動性が低くなることがあります。このため、投資する商品を選ぶ際には流動性にも注目しましょう。


コモディティ投資に関するよくある質問

コモディティに関して、初心者の方が疑問を感じやすい点を中心にQ&A形式でわかりやすくまとめます。

コモディティと株式の違いは何ですか?

コモディティは実物の原材料や農産物であり、投資対象は基本的に物理的な商品です。一方、株式は企業の所有権の一部を表すもので、実体をもたない金融商品です。株式は企業の業績や市場の評価に基づいて価格が変動しますが、コモディティは需給バランスや地政学的リスクなどの要因によって価格が変動します。

コモディティ市場における主要な商品は何ですか?

主要なコモディティには、エネルギー資源(例:原油、天然ガス)、金属(例:金、銀)、農産物(例:トウモロコシ、小麦)などがあります。これらは国際的に取引され、その価格変動は世界経済に大きな影響を与えます。

初心者がコモディティ投資を始める際の注意点は何ですか?

初心者は投資対象とするコモディティについて十分に知識をつけ、リスク管理を徹底することが重要です。価格変動が大きい面があることから、ETFや投資信託などで少額から、分散投資を心がけて始めるとよいでしょう。市場動向や地政学的リスクなどをチェックし、長期的な視点で投資することをおすすめします。


松井証券でのコモディティ投資

松井証券ではETFや投資信託を通じてコモディティに投資することが可能です。

ETF(上場投資信託)では、金、原油等のほか、希少金属といわれるプラチナ等の商品価格への連動を目標にする銘柄もあります。コモディティETFは価格変動が大きい傾向にあるため、短期売買に向いているという特徴もあります。松井証券で取扱いのあるETFは以下リンクからご確認いただけます。

投資信託では、コモディティの資産クラスにおいては金に関するファンドが純資産残高の上位を占めています。他にも世界の様々なコモディティや原油指数に連動を目標にしたファンドなど、松井証券では2025年12月時点で24のコモディティファンドを用意しています。当社で取扱いのある投資信託は、以下のページからご確認いただけます。

また松井証券では、投資信託を積立されるお客さまへ、クレカ積立を提供しています。対象のクレジットカードに入会し、クレカ積立を設定することで、その後の投資信託の積立金額に応じて松井ポイントが還元されるサービスです。よりお得に資産形成ができますので、コスト意識の高い方は松井証券で投資信託を始めてみてはいかがでしょうか。


コモディティ投資の特徴を理解し、資産形成の幅を広げよう

コモディティ投資は、インフレ対策や資産の分散に役立つ一方で、価格変動や流動性の低さといったリスクがあります。特に価格は、需要と供給、地政学的リスク、自然災害など多くの要因で変動しやすいため、初心者にとっては理解が難しいかもしれません。しかし、コモディティに関する基本的な知識を身につけることで、ポートフォリオのリスク管理と安定した運用に役立てることができるでしょう。

松井証券では、投資の多様なアイデアを提供して、発見・成長を後押しするサービスが充実しています。投資を楽しく学べる動画や、専門スタッフに銘柄選びや売買タイミングなどの相談ができる「株の取引相談窓口」など、初心者でも安心して投資を始められる環境を用意しています。この機会に口座開設を検討してみてはいかがでしょうか。


著者プロフィール

松井証券WEBサイト編集チーム

松井証券WEBサイト編集チーム

「投資をまじめに、おもしろく」を目指して、株式投資(日本株・米国株)、投資信託、FX、NISA、先物・オプション取引などの用語解説や取引の魅力などについて発信し、皆さんの資産形成をサポートします。


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