恐怖指数(VIX指数)とは?数値からわかることや市場における代表的な恐怖指数
「市場のリスクをどうやって見極めたらいいのだろう?」と悩んでいる方は、恐怖指数(VIX指数)について学んでおくと良いでしょう。恐怖指数(VIX指数)は、市場の不安定さや投資家の心理を数値化したもので、相場のリスクを把握するための重要な指標です。
本記事では、恐怖指数の基本的な意味やその数値から読み取れること、さらに市場における代表的な恐怖指数についてわかりやすく解説します。
投資における「恐怖指数(VIX指数)」とは?
恐怖指数とは、市場の不安やリスクの高さを反映する指標です。株式市場の短期的な見通しに対する投資家の心理状態を表します。この指数が高いほど、市場が不安定で、リスクを警戒する投資家が増えていると判断できます。
恐怖指数は別名「VIX指数(Volatility Index)」とも呼ばれ、株式市場のボラティリティ(価格変動の度合い)を測る代表的な指標として広く知られています。
VIX指数は、S&P500を対象とするオプション取引のボラティリティを基に、シカゴ・オプション取引所(CBOE)が算出している指標です。
恐怖指数の数値からわかること
恐怖指数(VIX指数)の目安を理解しておくことで、投資戦略を立てやすくなるでしょう。
恐怖指数の目安
VIX指数は、一般的に10〜20の間を推移するとされており、この範囲では市場が比較的安定しているとされます。
しかし、市場の警戒感が高まり、投資家心理が冷え込むと、VIX指数が大きく上昇することがあります。
以下は、過去にVIX指数が急上昇した主な例です。
2008年10月:リーマンショック(VIX指数 80.86)
アメリカの大手投資銀行リーマン・ブラザーズの破綻をきっかけに、世界的な金融危機が発生しました。この時、VIX指数は80.86(終値)まで急騰し、市場の混乱と投資家の極度の警戒感を反映しました。
2020年3月:コロナショック(VIX指数 82.69)
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、経済活動が停滞し、金融市場も大きな打撃を受けました。この際、VIX指数は過去最高の82.69(終値)を記録しています。
2024年8月:令和のブラックマンデー(VIX指数 38.57)
日経平均が史上最大の下げ幅である4,451円28銭安を記録した2024年8月5日は「令和のブラックマンデー」と呼ばれています。国内外で経済不安が広がる中、VIX指数は一時65.73まで上昇しました。
恐怖指数が高い場合
恐怖指数(VIX指数)が30以上になると、市場に対する投資家の不安が強まっていると判断されます。リスク回避の傾向が強まるため、株式市場での売り圧力が増し、株価の下落リスクが高まります。一方で、金や国債といった安全資産への資金流入が増える傾向にあります。
ただし、このような不安定な時期は、長期的には投資のチャンスと捉えることが可能です。市場全体が低迷している中で、将来的に回復が見込める銘柄や資産を選ぶことができれば、大きな利益を狙える可能性があります。
恐怖指数が低い場合
恐怖指数(VIX指数)が20以下の状態では、投資家が市場に安心感を抱いており、価格変動は比較的穏やかになる傾向があります。このような状況では、投資家のリスク志向が強まることが多く、株式市場では買いが優勢となり、株価が安定的に上昇する傾向があります。
ただし、恐怖指数が低すぎる場合(10以下の場合など)や長期間にわたり低水準で推移している場合は、市場参加者が過度に楽観的になっている可能性があります。このような状況で予期せぬ悪材料が出ると、通常時よりも市場に与えるインパクトが大きくなり、相場が大きく下落することもあるので注意しましょう。恐怖指数が低い局面では、一定の警戒感を持ちながら投資戦略を立てることが重要です。
世界市場における代表的な恐怖指数
恐怖指数は、VIX指数だけに留まらず、さまざまな市場に対応した指数が存在します。これらの指数を活用すれば、投資家心理をより把握しやすくなるでしょう。
日経平均VI
日経平均VIは、日本市場における恐怖指数で、日経平均株価のオプション価格に基づき、日本経済新聞社が算出しています。
日経平均VIは、日本株市場に対する投資家の心理状態を反映しており、国内の経済政策や企業業績に対する懸念が高まると、指数が上昇する傾向があります。
VXN指数
VXN指数は、ナスダック市場における恐怖指数として知られています。正式名称は「Cboe NASDAQ-100 Volatility Index」で、ナスダック100指数(NASDAQ-100)のオプション取引価格に基づいて計算されており、シカゴ・オプション取引所(CBOE)が算出しています。
VXN指数の数値が高いほど、投資家がナスダック市場の先行きに対して不安を感じていることを示します。 ナスダック100指数にはハイテク株が多く含まれるため、ハイテク株が急落する局面ではVXN指数が急上昇することが多くなっています。
MOVE指数
MOVE指数は、債券市場における恐怖指数と知られており、正式名称は「Merrill Lynch Option Volatility Estimate」です。バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチが算出しており、米国債のオプション取引価格に基づいて計算されます。
MOVE指数の数値が高いほど、債券市場が不安定になっており、金利の変動に対する投資家の警戒感が高まっていることがわかります。
Vストックス指数
Vストックス指数は、欧州市場における恐怖指数で、正式名称は「EURO STOXX 50 Volatility (VSTOXX) Index」です。STOXX社が算出し、ユーロ圏の代表的な株価指数であるユーロストックス50指数のオプション価格を基に計算されます。
この指数は、欧州市場における投資家の心理状態を反映しており、数値が高まると、欧州市場全体に不安感が広がっていることを示します。
恐怖指数を投資で活用する方法
恐怖指数の活用方法を理解しておくことで、相場の変化にも柔軟に対応できるようになるでしょう。
恐怖指数の活用方法
恐怖指数を過去の水準と比較・分析することで、投資判断がしやすくなるでしょう。例えば恐怖指数が高い水準にある場合、市場が不安定な状況にあり、安定資産に資金が流れる可能性が高いと予想できます。そこで比較的価格が安定している通貨や金などに投資すれば、利益を狙えるかもしれません。
なお、投資のリスク軽減を狙いたい場合は、恐怖指数に連動したETF(上場投資信託)に投資してみるのも一つの方法です。恐怖指数に連動したETFは株式市場が暴落するタイミングで上昇する傾向があります。つまり、恐怖指数の低い場面で購入しておけば、株価が暴落したときの備えになります。
ETFについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
恐怖指数を活用する際の注意点
恐怖指数は市場の心理状態を示す指標ですが、これだけを頼りに投資判断を行うのは避けるべきです。経済指標や企業業績、テクニカル指標などを併用することで、より正確な判断が可能になるでしょう。
また、恐怖指数は短期間で大きく変動することもある指標です。長期投資をする場合は、売買タイミングを見誤る可能性があるので、過度に気にしすぎないほうが良いでしょう。
恐怖指数は投資家の心理状態を理解するために役立つ指標
恐怖指数は、投資家の心理状態を数値で表したもので、市場のリスクを判断する指標として多くの投資家が注目しています。
恐怖指数についての理解を深めておけば、市場が不安定な状況でのリスク管理に役立ち、投資のチャンスを見つけやすくなるかもしれません。恐怖指数に連動するETFをポートフォリオ(金融商品の組み合わせのこと)に組み込めば、資産全体の安定性を高めることも可能です。
ただし、恐怖指数だけに頼るのではなく、さまざまな指標を使って市場の状況を多面的に考えることでより正確な投資判断ができるようになるでしょう。
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