窪田朋一郎のウィークリーマーケットトーク ~今週の振り返りと来週のポイント~
GW前後の東京株式市場:日経平均史上最高値を更新、決算発表を巡り強弱感が交錯
今週の東京株式市場は、日経平均株価が史上最高値を更新するなど堅調な一方で、年初来安値を更新する銘柄も多く出るなど二極化が目立つ展開となりました。
週初11日はAI・半導体関連への利益確定売りで続落しましたが、中小型株やバリュー株への買い意欲は旺盛でした。12日には米ハイテク株高を受けて反発し、取引時間中の最高値を更新する場面も見られました。その勢いは翌日も続き、13日には企業の好決算を背景に、日経平均株価は6万3272円と終値ベースの史上最高値を塗り替えました。売買代金が5営業日連続で10兆円を超えるなど、商いも活発に行われました。
しかし、14日は一転して大幅反落となりました。朝方は米ハイテク株高を受けリスク選好で始まりましたが、決算発表が佳境を迎える中で「材料出尽くし」の売りが優勢となりました。特に、来期の見通しが市場予想に届かなかったフジクラがストップ安まで売られたことが投資家心理を冷やし、日経平均は前日比618円安の安値引けで着地しました。全体として、決算内容で明暗が分かれる二極化が目立った一週間となりました。
今週の個別銘柄解説:AI・成長戦略の真価が問われる
ソニーグループ(6758)
11日、TSMCと画像センサーの開発・生産で提携すると発表し、株価は一時前週末比11.6%高と急騰しました。熊本工場内での合弁設立を検討しており、ロボットや自動車制御を担う「フィジカルAI」分野での競争力強化が期待されます。また、任天堂スイッチ2の値上げによるPS5販売巻き返しへの期待も株価上昇の追い風となっています。
イオン(8267)
2030年度に向けた新中期経営計画を発表し、営業収益15兆円、営業利益5300億円という野心的な目標を掲げました。成長の柱はPB「トップバリュ」の拡充で、物価高に伴う節約志向を背景に、30年度のPB売上高2兆円を目指します。また、ベトナムを軸としたアジア市場の開拓も成否を握ります。不採算事業の整理といった構造改革による利益率の改善が、強気な目標達成への鍵となるでしょう。
三菱重工業(7011)
今期、4期連続の最高益を見込む一方、12日の決算発表後の株価は急落しました。成長の先行指標となる受注高が、ガスタービンや防衛事業の反動減で前期比11%減となる見通しが嫌気された形です。PERも55倍前後と割高感が意識されており、高成長期待はいったん踊り場を迎えています。今後は、旺盛な電力需要を背景にした計画の上振れや、供給力の強化が反転の鍵を握りそうです。
古河電気工業(5801)
12日、1株を10株に分割(7月1日効力)すると発表しました。27年3月期の純利益は前期比13%増の820億円と市場予想を上回る計画で、AIデータセンター向け光ファイバーケーブルや冷却装置の販売拡大が業績をけん引します。MSCIの全世界株指数への新規採用も材料視され、株価は連日上場来高値を更新しています。住友電工も4分割を発表し、電線セクター全体に注目が集まっています。一方、同業のフジクラは14日、27年3月期の純利益が市場予想(1955億円)を大幅に下回る1560億円との見通しを発表し、株価がストップ安となっています。
ソフトバンクグループ(9984)
オープンAIへの巨額投資利益が寄与し、26年3月期の純利益が国内企業最高の5兆円を記録しました。今後は総額10兆円規模の同社への投資に加え、傘下アームでの自社半導体開発やロボット事業の強化を通じ、「AIで稼ぐ会社」への転換を急ぎます。投資集中に伴うリスクを抱えつつも、AI革命の中心を目指す同社の攻めの姿勢は、市場の大きな注目を集めています。
上記の銘柄などをサクッと動画で解説している動画を5/15(金)21:00に
松井証券YouTubeマーケットナビで公開予定です。
下記リンクから是非ご覧ください。
来週の注目トピック
全国消費者物価指数(CPI)
22日(金)午前8時30分に4月の消費者物価指数(CPI)が発表されます。国内のインフレ(物価上昇)の進展状況を示す指標で、結果が市場予想と乖離した場合、日本株市場の動向や円相場(為替)が大きく変動する可能性があります。また日本銀行の金融政策判断に直結する極めて重要な材料となります。
今週はアメリカで消費者物価に先行すると言われる生産者物価指数が前年比+6%と高い上昇率となりました。また、日本で国内企業物価(前年比)が+4.9%と高い伸びになっています。イラン戦争による世界的なインフレ再加速が警戒されており、来週発表される各国の生産者物価指数にも注目です。
米エヌビディア決算
AI開発向けのインフラ提供やグラフィックチップ製造における主要企業であり、その決算はAI関連の需要を占う上で極めて重要です。日本時間21日未明に発表となります。同社の業績や今後の見通しは米国のハイテク株のみならず、日本市場の半導体関連銘柄にも大きな波及効果を及ぼすと考えられています。同じ頃に米FOMC議事要旨の公開も予定されており、金融政策の見通しとあわせて市場全体のセンチメントを左右する重要な一日となるでしょう。トランプ大統領の中国訪問(13-15日)にジェンセン・フアンCEOが急きょ同行(当初除外報道も、トランプ大統領が直々に招待)しました。米中でAI・チップ協議が注目され、株価は上昇し、一時時価総額5.5兆ドル超と史上最高を更新しました。中国向けH200販売許可などの好材料もあり注目が高まります。