窪田朋一郎のウィークリーマーケットトーク ~今週の振り返りと来週のポイント~
今週の東京株式市場:半導体株高騰で日経平均最高値
今週の東京株式市場は、米国とイランの和平交渉の進展期待を背景に、大きく上昇しました。週初めは米イラン協議の不調から軟調なスタートとなりましたが、その後は半導体関連株を中心に買い戻しが進み、日経平均株価は16日に史上最高値を更新しました。
特に注目されたのは、AI・半導体関連銘柄の動向です。キオクシアホールディングスやアドバンテスト、東京エレクトロンなどが大きく上昇し、市場を牽引しました。また、イーロン・マスク氏の半導体工場計画「テラファブ」に関する報道や、台湾TSMCの好決算も相場を後押ししました。
一方で、原油価格の動向や地政学リスクへの警戒感も依然として残っており、市場のボラティリティは高い状態が続いています。
個別銘柄では、ソフトバンクグループやフジクラ、古河電気工業などのAIデータセンター関連株が好調でした。一方で、コマツやクボタなどの建機関連株は軟調な展開となりました。
今後の市場動向は、引き続き中東情勢に伴うナフサ不足などの影響や28日に控えた日銀の利上げに対する観測報道、そして半導体業界の動向に注目が集まるでしょう。また、徐々に本格化する企業決算発表も重要な材料となると予想されます。
今週の個別銘柄解説:AI需要拡大と事業再編
ソフトバンクグループ(9984):
ソフトバンクが国産AI開発の新会社「日本AI基盤モデル開発」を設立しました。NECとホンダのほかソニーグループ、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の3メガバンク、日本製鉄と神戸製鋼所の8社が出資しました。2020年代に1兆パラメーター規模のAIモデル構築を目指し、フィジカルAIの実現を目指します。国の支援も視野に入れ、NEDOの開発支援事業に応募予定です。ソフトバンクは堺市の旧シャープ工場をAI開発の中核拠点として整備し、国内でのAI処理完結を目指します。この取り組みは、日本のAI技術力向上と情報セキュリティ強化を目的としています。
キオクシアホールディングス(285A):
14日株価が急伸し、一時17.9%高の3万6870円を記録、上場来高値を更新しました。時価総額は一時20兆円を超え、アドバンテストを上回りました。この急騰は、共同開発パートナーの米サンディスクがナスダック100指数に採用されたことや、AIによるメモリー需要の高まりが背景にあります。
上場からわずか1年4カ月で東証プライム市場の時価総額ランキングトップ10入りを果たし、半導体業界首位の東京エレクトロンも射程に捉えています。2027年3月期の業績予想も好調で、売上収益は前期比2.5倍、純利益は4.8倍の増加が見込まれています。ただし、この急激な株価上昇に伴い短期的な投資家も多く参入しており、高いボラティリティには注意が必要です。
トヨタ自動車(7203):
いすゞ自動車との次世代の燃料電池車(FCV)小型トラックの共同開発と量産を発表しました。いすゞの「エルフEV」をベースに、トヨタの燃料電池システムを組み合わせ、2027年度の生産開始を目指します。国内初のFCV小型トラック量産となります。両社は、商用車の次世代技術開発のための共同出資会社CJPTを通じて実証を進めてきました。小型トラックは物流での使用頻度が高く、短時間での燃料補給が求められるため、FCVが有効な選択肢と考えられています。一方、いすゞはFCV大型トラックの市場投入を延期し、小型トラックを優先する方針で、大型トラック用の水素ステーションの不足が理由とされています。いすゞとトヨタは2021年に相互出資を発表しており、この協力関係が次世代車両開発の基盤となっています。
第一三共(4568):
16日、一時3.46%高の2930円まで上昇しました。同社がサントリーホールディングスに一般用医薬品子会社の第一三共ヘルスケアを2465億円で売却すると発表したことが要因です。この売却は、第一三共が利益率の高い医療用医薬品事業に集中する戦略の一環とみられています。市販薬事業は医療用医薬品と比べて市場規模が小さく利益率も低いため、医薬品メーカーの間で市販薬事業を切り離す動きが出ています。投資家はこの動きを前向きに捉えており、今後の決算で利益成長が確認できれば、さらなる株価上昇のきっかけになる可能性があります。戦略転換により、第一三共の収益性向上と研究開発費増加への対応が期待されます。
フジクラ(5803):
16日の株価は大幅に反発し、一時4.62%高の5946円まで上昇しました。米オラクルのCEOが日本でのデータセンター投資の追加を検討していると報じられました。オラクルは2024年に約1兆3000億円の投資を表明しており、今回はさらなる追加投資を検討しているとのことです。日本でのAI基盤整備と、官公庁や企業の需要取り込みを狙ったものと見られています。この報道を受けて、データセンター向けの電線需要が継続するとの期待から古河電気工業や住友電気工業など他の電線株も上昇しています。中東情勢の不透明感が残る中でも、AI向け需要拡大への期待が強く、電線株への買いが入りやすい状況が続いていると見ています。
上記の銘柄などをサクッと動画で解説している動画を4/17(金)21:00に
松井証券YouTubeマーケットナビで公開予定です。
下記リンクから是非ご覧ください。
来週の注目トピック
日本・消費者物価指数(CPI)
24日(金)に発表される3月分全国消費者物価指数(CPI)の注目点は、エネルギー価格と円安によるコストプッシュ圧力の再燃、および賃上げを背景としたサービス価格の動向です。直近では赤沢経産大臣の日銀の金融政策引き締めへの言及について、首相と財務相「控えてほしい」と発言するなど、日銀の金融政策に対する注目度が高まっていますが、
翌週27〜28日に控える日銀金融政策決定会合の判断を左右する重要な指標となります。
2月分ではコアCPIが日銀目標の2%を割り込みましたが(1.6%)、3月分は再び上昇ペースとなるか確認することになります。日銀は展望レポートで2026年度のコアCPI見通しを大幅に引き上げる(現行1.9%からの上方修正)検討に入ったとされており、3月CPIが強い結果であれば利上げ議論が現実味を帯びます。
米イラン停戦協議
焦点は現在21日までとなっている停戦期限の延長と、パキスタンでの第2ラウンドとなる和平協議の成否です。両国はさらに2週間の停戦延長を検討中と報じられています。初交渉は物別れに終わりましたが、トランプ大統領は協議の再開に前向きな姿勢を示しています。協議進展の期待から、日経平均は史上最高値を更新する勢いを見せていますが、交渉の行方次第で戦争の長期化懸念が高まれば、乱高下するボラティリティの高い相場となるでしょう。原油価格は一旦落ち着いてきていますが、ナフサなどの石油製品や付随する製品には不足感が強まっているものもあり、個別企業によっては株価への影響も大きくなりそうです。