スコットランド拠点のベイリー・ギフォードによる“ガチ”の長期運用戦略とは?
スコットランドは年金運用発祥の地とされる。「ベイリー・ギフォード 世界長期成長株ファンド」(愛称:ロイヤル・マイル)はスコットランド・エディンバラに本拠を構えるベイリー・ギフォード社が運用する、年金仕込みの“ガチ”の長期運用戦略だ。じっくりと解剖してみたい。
スコットランドの首都で、金融センターでもあるエディンバラの夕暮れ(画像提供:Adobe Stock / Anthony Brown)
なぜ“ガチ”なのか? 2つの理由
なぜ“ガチ”の長期運用戦略なのか。第一の理由は年金運用の強固なバックグラウンドの存在だ。現代の年金の基礎となる制度は、18世紀までさかのぼることができるスコットランドの寡婦年金「スコティッシュ・ウィドウズ」と言われる。
年金制度は一般的に、死亡率などを加味して将来の年金給付に必要な額を見積もり、そこから現役世代の掛け金や、積立金の運用方針を決めていく。自ずと年金資産の運用は、現役世代が受給世代となり、そして、この世を去るまでの何十年という長期を見据えたものになる。スコットランド拠点の運用会社には、そのような年金運用を背景とした長期投資の思想がしみ込んでいるケースが多い。
もう一つ、“ガチ”の長期投資である理由は、銘柄保有期間の長さだ。「ロイヤル・マイル」と同様の運用プロセスを用いるベイリー・ギフォード社の「ロングターム・グローバル・グロース戦略」の銘柄平均保有期間は7.7年にも達する(2026年3月末時点)。企業が持つ競争優位性や経営手腕を判断するには「少なくとも5年必要」との考えが背景にあるようだ。
もちろん、保有銘柄の売買頻度が多いファンドが悪いわけではないし、銘柄を長期保有する方針だけをもって、素晴らしいというつもりもない。ただ、「長い時間をかけて銘柄を見極める」という姿勢には多くの長期投資家が大事にする時間軸に対する信念が表れているようにも思える。
ファンドマネジャーというと、どうしても「切った、張った」の勝負の世界に生きていて、「失敗すればリストラ候補」というイメージを持つ人もいるかもしれない。しかし、スコットランドの運用会社については「基本的に長期雇用で、落ち着いて資産運用に没頭できる環境がある」と熱弁していた先輩アナリストの話も思い出す。やみくもに短期の成果を求められないからこそ、“ガチ”の長期投資が実践できる面は否めないだろう。
同様の戦略は長期パフォーマンスで全世界株インデックスを凌駕
同様の戦略、「ロングターム・グローバル・グロース戦略」の長期の運用実績をみてみよう。下のグラフは2004年2月末を100として、米ドルベースのリターンを全世界株式指数と比べたものだ。20年超の長期の累積リターンで同戦略が全世界株式指数を凌駕したパフォーマンスを残しているのが分かるだろう。
ボラティリティ(価格変動リスク)が全世界株式数よりも大きい面は留意すべきだが、銘柄数が絞り込まれている点(「ロイヤル・マイル」の2026年4月末時点の組入銘柄数は38)を考慮すれば、特徴のひとつと捉えてもよいかもしれない。
アクティブファンドの銘柄選定のアプローチには、マクロ経済などの要因から国や業種などの比率を決めて、最後に組み入れ銘柄を決めるトップダウン型と、良い銘柄を積み上げていった結果がポートフォリオというボトムアップ型の両方がある。「ロイヤル・マイル」の銘柄選定はまさに後者のボトムアップ型といえよう。
実際にその銘柄選定の特徴がポートフォリオに表れている。国や地域、時価総額にとらわれずにポートフォリオを組むことで、全世界株指数では6程度を占める米国株は5割に満たない。あくまで銘柄の積み上げの結果といえるだろう。
それゆえ、ポートフォリオをみていると、銘柄に対する様々なこだわりが見えてきて興味深い。そうした解説は、ファンドの「カンニング戦略」の大家、松井証券シニアマーケットアナリストの大山季之に全面的に委ねたい。以下の動画で、じっくりと語ってもらったので必見だ。
いずれにしても、海外株運用において、インデックスファンドが全盛となる中、従来の成長(グロース)株アクティブファンドとは少し異なる全世界株ファンドをポートフォリオに入れる意義はあるのではないか。AI関連企業の勝ち組と負け組、インフレに強い「価格支配力」がある企業とそうでない企業、そして地政学リスクへの耐性…。世界の未来が見通しづらい今だからこそ、長期目線で銘柄を選ぶアクティブファンドの目利き力に期待できる部分は多い。
アクティブファンドとしては貴重なNISA(少額投資非課税制度)「つみたて投資枠」対象ファンドであるのも嬉しい(※)。10年以上の長期を前提にコツコツと積み立てるのも一興だ。
(松井証券ファンドアナリスト 海老澤界)
なお、「ベイリー・ギフォード 世界長期成長株ファンド」(愛称:ロイヤル・マイル)も対象としたキャンペーンの詳細は以下のリンクをご覧ください。リスク・手数料などの説明を掲載しているのでそちらもご確認ください。

