【AI関連株特需の今】急落局面と決算による急騰、31日の急反発
今週の東京株式市場:一時3,000円安の急落と3,500円に迫る急騰
今週の東京株式市場は、国内外ともに荒れ模様となり、記録的な大商いの中で極めて激しい値動きを見せた一週間でした。売買代金は一時13兆円を超えるなど、市場のエネルギーは依然として非常に強力です。
週初27日は地政学リスクの後退を好感して全面高となりましたが、28日に地合いが急変しました。米半導体株安や韓国KOSPIの暴落を受け、日経平均株価の下げ幅は一時3,000円を超え、6万2,000円を割り込む場面もありました。29日には前日の熊本県での最大震度7の地震によるサプライチェーンリスクも意識され、一時6万円近辺まで下値を試す展開となりましたが、引けにかけてはショートカバーにより下げ渋る底堅さも見せました。
個別では、アドバンテストが通期予想の引き上げを材料に急伸した一方、主力銘柄のキオクシアがストップ安を演じるなど、半導体セクター内でも明暗が分かれています。また、30日のFOMC(米連邦公開市場委員会)後は長期金利が上昇しましたが、原油高によるインフレに加えアメリカのメガテックが発行する社債への警戒感も重石となり、自律反発局面でも上値の重さが目立ちました。31日の前場は米ハイテク株高を受けて日経平均が一時3,500円に迫る急反騰となりました。AI・半導体関連に買いが集中し、決算発表を控えるキオクシアはストップ高水準の買い気配のまま値がつかないほどの活況を呈しています。一方で、為替介入観測に伴う急速な円高を背景に自動車などの輸出関連株が売られるなど、主力株の間でも明暗が分かれる展開となりました。今後は主要企業の決算内容を精査しつつ、長期金利の一段の上昇に備える慎重なスタンスが求められるでしょう。
今週の個別銘柄解説:AI特需かバリューシフトか?
レアアース発掘で東洋エンジ急反発
27日、東洋エンジニアリング(6330)が急騰しました。南鳥島沖のレアアース泥に、半導体や防衛に不可欠な「中重レアアース」が多く含まれていたとの発表が材料視されています。同社は泥の回収システム開発に携わるキーカンパニーであり、経済安全保障の観点から「国策銘柄」としての期待が集まっています。商業化の採算性は未知数ながら、2027年の採鉱試験や次世代地熱発電分野での展開も注目点です。AI・半導体関連が調整する中、新たな資源・エネルギー関連の物色先として投資資金を惹きつけていますが、今はモメンタム投資家の投資余力が限られているため、小幅な反応に留まっていました。
SCREEN業績好調も急落
SCREENホールディングス(7735)が29日、急落しました。2027年3月期の純利益予想を前期比25%増の1150億円へ上方修正し、年間配当も過去最高の183円に増額。生成AIサーバー向けの半導体製造装置が好調で、ロジックやメモリーの旺盛な需要を背景に業績を伸ばしています。しかし、修正後の利益が市場予想(コンセンサス)に届かなかったことで「物足りなさ」を意識した売りが優勢となりました。中国案件の遅延による4〜6月期の減収も重石ですが、社長はAI需要を背景に「今後2〜3年は非常に堅調」と強気です。市場の過度な期待が剥落した後の、反発のタイミングが注目されます。
トヨタなど自動車株に見直し買い
トヨタ自動車(7203)をはじめとする自動車株が29日、大幅続伸しています。過熱感のあったAI・半導体関連株が調整色を強める中、相対的に割安となっていた自動車関連へ資金を移す「見直し買い」が活発化しました。マツダ(7261)やホンダ(7267)も連れ高し、東証の業種別騰落率で輸送用機器が首位に躍り出るなど、セクター全体で強い動きを見せています。背景には、1ドル=163円台の円安基調による収益押し上げ期待があります。熊本地震によるホンダの一部工場停止報道も、株価への影響は限定的でした。AI関連株が盛り上がる間、自動車セクターは物色の対象外となる期間が続きましたが、相場の潮流が変化する中、バリュー株再評価の象徴として投資家の関心が再び高まっています。
アドバンテスト決算受け急騰
アドバンテスト(6857)が30日、一時16%超と急反騰しました。2027年3月期の連結純利益予想を、従来の4655億円から6600億円(前期比76%増)へ大幅に上方修正したことが好感されています。生成AI向け半導体の高性能試験装置の需要が急増しており、修正後の計画は市場予想を大きく上回りました。AIへの過剰投資懸念が漂う中、強固な実需が確認されたことで投資家心理が好転しています。システム・オン・チップ(SoC)向け装置の生産増強も前倒しで進める方針であり、AI半導体市場の成長を牽引する同社の存在感が改めて浮き彫りとなりました。AI関連株は金曜日に急反発し、ストップ高となる銘柄も目立ちましたが、PTSであれば引け後に新たな値幅となるため買付できることもあります。PTSの活用方法として覚えておくとよいでしょう。
上記の銘柄などをサクッと動画で解説している動画を7/31(金)21:00までに
松井証券YouTubeマーケットナビで公開予定です。
下記リンクから是非ご覧ください。
来週の注目材料:米雇用統計、国内企業決算
米雇用統計
前週のFOMCを受けて市場が織り込んだシナリオの正当性を検証する、重要なイベントとなります。注目点の1つは足元4.2%付近で推移している失業率を維持できるか、あるいは悪化の兆候を見せるかです。もう1つは非農業部門雇用者数(NFP)が直近の6月統計で+5.7万人と想定以上の減速を示しましたが、これが一時的なブレだったのか、本格化しているのか、トレンドの持続性を見極める必要があります。NFPが10万人前後で米経済がクラッシュせずにソフトランディングする緩やかな減速期待が継続すると、ハイテク株中心に株式市場にとって好材料となりやすいと予想されます。
国内企業決算
先週に続き企業決算発表が本格化しており、主要製造業や金融、商社などの決算が相次いで発表されます。国内のインフレや賃上げによるコスト増を、製品・サービス価格へ適切に転嫁できているかが焦点です。業績見通しが良好で株主還元に積極的な企業と、コスト高に苦しむ企業の株価格差が出やすくなります。前週のハイテク決算や日米金利の動きを受け、利益確定売りが出やすいグロース株(成長株)から、PBRが低く配当利回りが高い大型バリュー株(総合商社、金融、重厚長大産業)へ資金がシフト・循環する可能性があり、個別株選別(銘柄スクリーニング)がより重要になりそうです。