キオクシア1兆円投資と東京海上の株式分割【今週の注目銘柄5選】
今週の東京株式市場:エヌビディア最高益も事実で売り?薄商いで動意づくグロース株
今週の東京株式市場は、日本時間27日早朝に発表された米エヌビディアの決算を前に、様子見ムードの強い一週間となりました。売買代金は一時約4カ月ぶりの低水準に落ち込むなど薄商いが続き、エネルギーの減退が意識されました。
週初24日は、国内外の長期金利上昇を背景に半導体主力株が売られて下値を探る展開となりましたが、25日には朝方の900円超の急落から一転して買い戻されるなど、方向感の定まらない地合いが続きました。26日は日銀の利上げ思惑から銀行など金融株が相場を支え、日経平均株価は一時6万6,000円台を回復しました。
注目のエヌビディア決算は、売上高・純利益ともに過去最高を更新する良好な結果でした。しかし、27日の東京市場は寄り付きこそ買われたものの利益確定売りに押されて日経平均は反落。一方で、TOPIXはプラス圏を維持したほか、東証グロース市場250指数が2%超上昇するなど、新興株や中小型株へ資金がシフトする動きが見られました。
来週の東京市場は、ジャクソンホール後の金利動向に左右され、方向感の出にくい展開を予想します。一般的にアメリカの投資家はレイバーデー明けから本格稼働しますが、9月9日の長期債買い戻し拡大が次の焦点となりそうです。買い戻しで金利が素直に下がらない場合には、AI関連株の調整が続く可能性があり注意が必要でしょう。

今週の個別銘柄解説:キオクシア1兆円投資!新製品・大規模分割で選ぶ今週の5銘柄
【古河電工】売られすぎで急反発
大きく下げていた電線株の一角に買いが集まり、25日に古河電気工業(5801)の株価が10.3%高、フジクラ(5803)も5.5%超高と3営業日ぶりに急反発しました。
直近の急落により、株価の過熱度を測るテクニカル指標「スローストキャスティクス」で売られすぎのシグナルが出ていたことや、25日移動平均線がサポートラインとして機能したことから、短期投資家による自律反発狙いの買いが誘発されました。また、外資系証券が強気なリポートを公表したことも株価上昇の追い風となっています。ただ、両銘柄とも信用買残は高水準で、引き続き戻り売りが出やすく上値は重そうです。

【NTT】AI株から資金シフト
NTT(9432)の株価が25日に強含み、2024年5月以来、約2年3カ月ぶりの高値を付けました。個別の目立った買い材料は出ていないものの、ボラティリティが高まるAI・半導体株から、同社のようなディフェンシブ株へ資金をシフトさせる動きが背景にあると指摘されています。
また、NTTや年初来高値を更新したソフトバンク(9434)なども、相対的な利回りの魅力に着目した買いを呼び込んでいます。相場の調整局面において、個人投資家を中心に、鉄道や地銀株などと並ぶ安定した資金のシフト先として改めて評価されています。

【東京海上】株式分割で個人投資家獲得へ
東京海上ホールディングス(8766)が26日、急反発しました。10月1日を効力発生日とする1株を15株への大規模な株式分割と、長期株主向けの優待制度の新設を発表したことが買い材料となっています。
株式分割により、最低投資金額は74万円(25日終値計算)から5万円弱へと大幅に引き下げられます。また、新たに導入される優待制度では、100株以上を3年以上保有する株主を対象に7500円相当(4年目以降は毎年2500円相当)の電子マネーなどが贈呈されます。
同社は8月の決算発表後、自然災害に伴う保険金支払いの増加懸念などから株価の調整が続いていましたが、今回の個人投資家層の拡大や安定的な株主形成を狙った一連の株主還元策がアナリストからも前向きに評価され、見直し買いが優勢となりました。
【キオクシア】1兆円超の新棟建設へ
キオクシアホールディングス(285A)が27日、新製造棟の建設報道を受けて一時6.9%高と急反発しました。同社は岩手県北上市の北上工場内に、1兆円超を投じて「NAND型フラッシュメモリー」の新製造棟(3棟目)を建設します。AI普及に伴ってデータの長期保存(ストレージ)を担うメモリー需要が急増していることから、2029年以降の稼働を念頭に高性能品の増産投資を急ぐ方針です。
今回の投資は、すでに国内で巨額の投資を表明しているサムスン電子やSKハイニックスなどの韓国勢に対抗するための戦略的な動きです。米サンディスクとの共同投資や経済産業省の補助金活用も想定されています。AIの「推論」需要の拡大にキャッチアップするための投資であり、大手顧客との長期契約の可能性もあり好感されています。
【TDK】iPhone新型発表で株価上昇
TDK(6762)が27日に反発し、前日比で一時3.2%高となりました。米アップルが日本時間9月10日に新製品発表イベントを開催すると発表したことを受け、アップルに部品を供給しているとされる同社の収益拡大への期待から買いが優勢となっています。
イベントでは主力スマートフォン「iPhone」の新型「18Pro」シリーズに加え、同社初となる折り畳み式モデルの投入が期待されています。付加価値の高い新型モデルの登場は、国内の部品メーカーにとってプラスに働くとの見方が出ています。
同様にアップル関連株とされる村田製作所(6981)も上昇しており、秋の新製品発表に向けた電子部品セクターへの関心が再び高まっていますが、折からの半導体価格の上昇により端末価格の上昇が予想されています。消費者の需要がどこまでついてくるのかが今後のポイントとなりそうです。
上記の銘柄などをサクッと動画で解説している動画を8/28(金)21:00までに
松井証券YouTubeマーケットナビで公開予定です。
下記リンクから是非ご覧ください。
来週の注目材料
米8月雇用統計
9月15〜16日のFOMC前で最後となる、市場最注目の雇用データです。この結果が9月の政策金利の方向性を決定づける見通しです。
非農業部門雇用者数や失業率が市場予想を上回る(強い)場合、FRB内のタカ派(利上げ・高金利維持派)が勢いづきます。これにより追加利上げの可能性が増し、米金利上昇・ドル高円安が進行し、金利上昇からAI関連株が下落するシナリオが想定されます。
逆に、急激な悪化(弱い数字)を示した場合は、労働市場の冷え込み(景気減速)から利上げ論は後退し、FRBはハト派路線へと舵を切るでしょう。
考えられるシナリオは?

日米金利動向
足元の日米金利上昇の背景には、金融政策に加え、ハイパースケーラーの巨額の資金調達や財政懸念という根深い構造問題があります。
米国では巨額の財政赤字を背景とした国債の大量発行(需給悪化)が長期金利を高止まりさせ、日本でも消費減税などが将来的な金利上昇圧力として意識されています。来週の米雇用統計を前に、これら財政の脆弱性とインフレ再燃リスクが相乗効果となり、金利の先高観を強めています。
利ざや改善が期待される銀行株は資金の受け皿となります。半面、借入コスト上昇が嫌気される不動産株や、割高感が意識されやすいハイテク株には下押し圧力となります。
為替の乱高下に備え、時間分散による慎重なエントリーや戦略的なポジション調整が求められます。
