日経7万円超えの先に何があるか?AIセクターの爆騰と日米イベントの行方

2026年06月19日

日経7万円超えの先に何があるか?AIセクターの爆騰と日米イベントの行方


今週の東京株式市場:停戦合意とAI革命が拓いた日経平均7万円台

今週の東京市場は日経平均株価がついに7万円の大台を突破し、日本株が未知の領域へと足を踏み入れる1週間となりました。最大の転換点となったのは、米国とイランによる戦闘終結の正式合意です。地政学リスクの劇的な後退は市場に買い安心感をもたらし、週初には過去2番目の上げ幅となる3200円超の急騰を記録しました。
相場を牽引するのは、やはりAI・半導体セクターです。連日記録的な商いをこなすキオクシアHDを筆頭に、村田製作所やイビデン、レーザーテックといった銘柄が、世界的なデータセンター投資需要を背景に最高値を更新しています。日銀による追加利上げ決定も、市場はインフレ対比でみるとまだ金利は低いとポジティブに捉え、むしろ銀行株への資金流入を促す結果となりました。
連日10兆円を超える商いは、日本株がグローバル投資家の主戦場となった証左です。セクター内での機敏な循環物色が相場の底堅さを支えており、一時的な熱狂ではなく、業績の急拡大に基づいた株高時代の幕開けを感じさせます。心理的な節目を超え、真の成長株が選別される新たなフェーズが始まっています。


今週の個別銘柄解説:日経平均採用銘柄の値上がり率(1週間前比*6/18引け時点)

出所:松井証券マーケットラボ

1位:イビデン(4062) +41.21%

イビデンはAIサーバー向けの高性能ICパッケージ基板で世界トップクラスのシェアを持ち、米エヌビディアなどから受注が急増しています。直近のきっかけは米インテルの業績回復。サーバーCPU需要増でイビデンの専用ライン稼働率向上期待が高まり、インテル株急伸に連動して株価が急騰しました。同社は2026〜28年に約5,000億円の設備投資を計画し、AI需要に対応。海外メディアでも「AIブームの恩恵を受ける企業」と評価されています。
ただ、PERが100倍を超えており、市場では足元の過熱感への警戒も浮上しています。次世代製品への期待値は極めて高いものの、短期的には調整局面への注意が必要なステージにあります。

2位:レーザーテック(6920) +40.42%

17日、蘭ASMLの露光装置増産報道を受け、分割考慮後の上場来高値を更新し初の5万円台に乗せました。AI開発競争を背景に世界で唯一、極端紫外線(EUV)向けマスク欠陥検査装置を手掛ける同社への連想買いが加速しています。今期は減収減益見通しでPERも60倍台と割高感はありますが、DRAMやフラッシュメモリーメーカーは軒並み過去に例のない好業績であるため、この先投資が大幅に伸びる可能性は高く、次世代半導体の量産に不可欠な「EUVの守護神」として市場の期待は極めて強固です。AI成長の恩恵を直接享受する銘柄として存在感を示しています。

3位:村田製作所(6981) +30.98%

AIサーバー向け積層セラミックコンデンサー(MLCC)の需要爆発を背景に、上場来高値を更新しました。各証券会社による目標株価の大幅引き上げが、市場の買いを強く誘っています。モバイルやモビリティに続くAIトレンドでも、高付加価値製品による利益成長が期待されています。圧倒的な技術力を誇る同社は、同業の積層セラミックコンデンサーメーカーより期待が高く、AI革命の核心を担う勝者として市場の信頼を盤石なものにしています。

4位:三井金属(5706) +28.85%

国際価格の上昇と円安を反映し、亜鉛の国内建値を1トン64万円台へと引き上げました。足元ではAIデータセンター向けの電線需要やEV普及を背景に、銅や亜鉛といった非鉄金属の需給逼迫が鮮明となっています。10円玉の素材価値が額面を超えるほど価格が高騰する中、同社が指標とする建値の上昇は直接的な収益押し上げ要因として好感されています。AI革命を支える基幹素材の供給者として、中長期的な業績拡大を織り込む動きが株価の力強い上昇を牽引しています。

5位:キオクシアホールディングス(285A) +28.44%

時価総額が16日、日本企業として2社目となる50兆円の大台を突破しました。AI投資の加速でNAND型メモリー需要が急増しており、29年3月期の営業利益は10兆円超えとの市場予想も出ています。特筆すべきは、従来型の単発契約から複数年の長期契約(LTA)への転換です。28年出荷量の約5割をカバーし収益安定化を図る一方、過去の苦境を教訓に設備投資を抑制し、需給バランスを重視する慎重かつ攻めの姿勢を維持しています。短期的な調整リスクはありますが、半導体の専門家が警戒するシリコンサイクルの波を超えてAI時代の基幹インフラとして評価の再定義が進んでいます。

上記の銘柄などをサクッと動画で解説している動画を6/19(金)21:00までに
松井証券YouTubeマーケットナビで公開予定です。
下記リンクから是非ご覧ください。


来週の注目トピック

日銀金融政策決定会合の「主な意見」

日銀が6月15〜16日に政策金利を1.0%へ引き上げた会合の内容が24日公表されます。内田副総裁が会見で利上げ継続姿勢を示しましたが、さらなる追加利上げのタイミングや今後の金融緩和縮小のトーン、またターミナルレート(利上げの終着点)について、どのような議論が交わされていたのか市場が精査します。タカ派的な内容であれば、日本の銀行株の買い要因、新興株の売り要因となり得ます。

米個人消費支出(PCEデフレーター)

FRB(米連邦準備制度理事会)が物価指標として最も重視する、米国のインフレ動向を測る最重要指標です。ウォーシュ新議長の下での最初のFOMC(6月16~17日)直後のデータとなるため、政策判断や今後の経済見通しを裏付けるかの試金石となります。イランとの戦闘が終結し足元の原油価格は落ち着いてきていますが、伸び率が市場予想を上回ると、米国での利上げ観測が高まり、米長期金利の上昇を通じて為替のドル高・円安やハイテク株の下落につながるなど、注目材料となります。


著者プロフィール

窪田朋一郎

窪田朋一郎

松井証券チーフマーケットアナリスト。
松井証券に入社後、WEBサイトの構築や自己売買担当、顧客対応マーケティング業務などを経て現職。ネット証券草創期から株式を中心に相場をウォッチし続け、個人投資家の売買動向にも詳しい。日々のマーケットの解説に加えて、「マザーズ信用評価損益率」や「デイトレ適性ランキング」「マーケットラボ アクティビスト追跡画面」など、これまでにない独自の投資指標を開発。


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