TOPIX史上最高値更新と日経平均2,900円急落からのAIラリー再始動
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今週の東京株式市場:地政学リスクとAIラリーの再始動、激動の相場で見た物色の二極化
今週の東京市場は、外部環境の急変や需給イベントに振り回される展開となりました。週初6日はTOPIXが史上最高値を更新し、バリュー株中心の底堅さを見せましたが、7日から8日にかけては、ETFの分配金捻出に伴う売り需要やサムスン電子の決算後の急落に端を発した韓国市場の下落、中東情勢の再度の緊迫化が重石となり、日経平均株価は2日間で約2900円の急落を記録し、キオクシアや半導体製造装置関連を中心に幅広い銘柄が売られる展開となりました。
しかし、9日は米ハイテク株高の流れを引き継ぎ、AI・半導体関連銘柄が急反発しました。日経平均は一時1600円を超える上げ幅を見せ、6万8000円台に回復する場面もありました。一方で、原油高への警戒感から空運株、金利先高観から不動産株が軟調となるなど、セクター間での物色の二極化が鮮明となったのが特徴的です。
売買代金は10営業日ぶりに10兆円を下回る日もありましたが、依然として市場のエネルギーは維持されています。今後は金利動向を注視しつつ、AIラリーの持続性やバリュー株への循環物色の行方を見極める局面が続くでしょう。
今週の個別銘柄解説:日本の代表的企業、グローバルな競争力を再定義
三菱UFJFG上場来高値、ROE10%台目標
三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)は半沢社長のROE(自己資本利益率)向上への意欲的な発言を受けて、7日上場来高値を更新しました。中長期的な目標として、10%台半ばへの引き上げを示唆し、世界主要行の時価総額トップ5入りを目指すと強調。デジタルバンク等の強化により個人向け事業のROEも2桁台へ高める方針です。金利上昇の追い風に加え、グローバル水準の収益性を追求する経営姿勢が投資家の期待を集め、時価総額のさらなる拡大に向けた買いが加速しています。銀行株にとっては、長短金利差の拡大は収益上プラスに働くため、現在の金利環境は追い風と言っていいでしょう。
キオクシア乱高下からの急反発、主要株主の売却完了
米ベインキャピタルが全保有株の売却を完了したとの報道を受け、キオクシアホールディングス(285A)は9日に前日比11%超と急反発しました。週初はサムスン電子の利益確定売りや米SOX指数の下落に連動し、高値から3割超下落する場面もありましたが、米ベインキャピタルの売却は短期的には需給悪化要因の解消につながるためプラスに働き、買い材料となりました。NAND型メモリの需給逼迫を背景とした成長シナリオは堅持されており、乱高下を経て、再び先高観を伴う自律反発の動きが鮮明になっています。ただ、米ベインが株式を売却したということは、長期的には株価の上昇が見込みづらいと判断していることでもあるため、この点は認識しておく必要がありそうです。
JR東海リニア容認で急騰
静岡県知事によるリニア中央新幹線の静岡工区着工容認の表明を受け、7日に東海旅客鉄道(9022)は前日比4%超と急伸しました。環境保全協定の締結により、年内の本体工事着手が現実味を帯び、2036年の最短開業に向けた大きな障壁が取り除かれたことが好感されています。前知事による反対で2027年の開業目標を断念して以来、長期化していた不透明感が払拭され、次世代の超高速輸送インフラへの期待が改めて株価を押し上げる格好となりました。
アドバンテスト、エヌビディアの中国向け解禁で反発
中国が米エヌビディア製AI半導体「H200」の購入を限定的に容認する方針との報道を受け、アドバンテスト(6857)は9日に前日比7%超と急反発しました。エヌビディアに検査装置を供給する同社にとって、中国市場の再開は業績の上振れ要因として期待されています。米SOX指数の上昇や調整局面にあったAI・半導体株への買い戻しも追い風となり、日経平均との連動性が高い韓国市場の堅調さも安心感につながっています。アドバンテストは米エヌビディア製品との連動性が高いことで知られていますが、DRAMやNAND型フラッシュの投資拡大の影響も受けます。メモリの設備投資計画が拡大する中で、その追い風にも注目です。
ファーストリテイリング世界2位浮上へ
ファーストリテイリング(9983)は26年8月期の売上高見通しを3.97兆円に上方修正し、H&Mを抜き世界2位に浮上する見込みです。トレンドを追う競合とは一線を画す「ライフウェア」戦略が奏功。欧米での価格引き上げとブランド認知拡大により、営業利益率は18%まで改善しました。PERは56倍と市場の高成長期待を反映しており、時価総額28兆円はZARAを運営する首位インディテックスに肉薄しています。GUなど第2の柱の育成が課題ですが、売上高10兆円目標に向けた「日本発グローバル王者」への歩みが加速しています。同社は2026年秋冬シーズンに「全商品で平均すると4%弱」の値上げをすると説明しました。円安が進む中、利益率をしっかりと確保する方針も好感されそうです。
上記の銘柄などをサクッと動画で解説している動画を7/10(金)21:00までに
松井証券YouTubeマーケットナビで公開予定です。
下記リンクから是非ご覧ください。
来週の注目材料:為替介入警戒とウォーシュFRB議長証言、米半導体決算
為替介入警戒と日本の長期金利
ドル円相場が160円を上回る水準で推移し、市場では政府・日銀による不意打ちの円買い為替介入への警戒感が高まっています。この不透明感から海外の機関投資家による大型株への買い控えが懸念され、相場全体の重石となる可能性があります。またインフレや財政懸念を背景とした国債売りにより、10年債利回りが約30年ぶりの高水準となる2.9%に達しています。金利上昇は企業の資金調達コストを押し上げる一方、運用利回りが向上する銀行・保険株には追い風です。一方で、金利負担増が意識される不動産株や、ボラティリティの大きい新興市場銘柄の動向には注意が必要です。
ウォーシュFRB議長の議会証言
就任後初の本格的な半期議会証言が14日23時(日本時間)から行われる予定です。発言のポイントの1つは、インフレ抑制への姿勢です。2%のインフレ目標達成まで引き締め的な金利水準を維持するとの姿勢(タカ派)を強調するかどうかが注目です。もう1つは景気への見解です。直近の雇用統計で見られた労働市場の減速をソフトランディングと捉えているのか、景気後退の予兆と警戒するのか、そのトーンが注視されます。発言がタカ派的であれば金利高を嫌気されハイテク株の売り要因となり、ハト派的(景気配慮型)であれば、売られていた半導体株やグロース株に買い戻しを誘うでしょう。
米決算シーズン
26年第2四半期(Q2)の決算発表が本格化します。大手銀行が先陣を切り、ハイテク企業が続きます。特に注目は15日の米国市場スタート前に半導体製造装置大手のASMLホールディングの決算発表が予定されており、巨大IT企業によるAI投資が新規受注額につながり市場予想を上回っているかがポイントとなりそうです。翌日には半導体受託生産大手の台湾セミコンダクター(TSMC)が控えており、売上高見通し(ガイダンス)の上方修正があるか、値上げが浸透しているかが注目されます。これら半導体大手の結果はAIブームの持続性を再確認する場となり、日本株にもダイレクトに影響を与える見通しです。