市場全体の今後の動きを、信用評価損益率から読み解こう!
信用評価損益率とは、信用取引を行っている投資家が平均してどれくらい含み損益を抱えているかを表した指標です。
日経平均との間に一定の相関関係があると言われており、現在の相場が天井なのか底なのかを探るのに用いられます。
信用評価損益率と日経平均との関係についての経験則
信用取引には、買いから始める「信用買い」と、売りから始める「信用売り」の2種類がありますが、信用買いの含み損の平均値を「買い方の信用評価損益率」と呼びます。
この買い方の信用評価損益率が-20%を下回った水準が底入れの目安、反対に0%に近づくと天井圏に達したと見なされます。
どうして信用評価損益率はマイナスなことが多いの?
一般的に信用取引を行っている投資家は、含み益が出るとすぐに利益を確定します。
一方で、含み損を抱えている状態では、ポジションを手仕舞い、損失を出したくないため、決済されていない信用残高はマイナスであることが多くなります。
どうして信用評価損益率は相場と関係があるの?
信用取引を行っている投資家は、含み損が増えてくると、損切りをしようとします。
信用買いを行っている投資家が損切りをする際、株式を「売る」ことになるので、株価を押し下げる要因になります。
また、株価の下落により追証が発生しだす信用評価損益率-20%のあたりで、損切りはピークとなることが多いです。
この水準を超えると、損切りが減って株価の下落圧力が和らぎます。
一方で、信用評価損益率が0%に近づくにつれて、利益確定をする投資家が増えます。
信用買いを行っている投資家が利益を確定する際、株式を「売る」ことになるので、株価の上値が抑えられる要因となります。
実際に相関があるか推移を比べたい!
グラフは、2016年4月1日~2017年3月27日における信用評価損益率と日経平均の推移を表しています。
例えば、信用評価損益率が-19%まで低下した2016年6月下旬を見てみると、日経平均もほぼ同時期に底を打ち、その後は上昇に転じていることがわかります。
- 日経平均株価(c)日本経済新聞社
信用評価損益率は、最新の数値を入手しよう!
東証と名証を合計した信用評価損益率(二市場の信用評価損益率)は、日本経済新聞社が前週末時点のデータを毎週木曜日に発表しています。しかしながら、発表までにタイムラグがあるため、折角のデータも、鮮度を失ってしまいます。
そこで、松井証券では、会員の皆様に限定して、店内における当日分の信用評価損益率を毎営業日配信することで、お取引に役立てていただきたいと考えています。
鮮度が高いデータを毎日確認して、いち早く市場の動向をチェックしましょう。
松井証券店内の信用評価損益率は、二市場の数値とどれくらい相関しているの?
グラフは2017年1月16日~3月1日における二市場と松井証券店内の信用評価損益率を、公表日ベースで表したものです。
松井証券店内の数値が、二市場の数値に先行している傾向が見て取れます。
例えば、1月27日に公表された当日の松井証券店内の数値は、-4.5%まで改善しています。
その翌週2月2日に公表された二市場の数値も同じく改善しており、二市場の数値が松井証券の数値を追う形となっています。
その後も松井証券店内の数値が悪化(改善)すれば、二市場の数値も悪化(改善)する動きが見てとれます。