バランス型投資信託って何?
手軽に国際分散投資を行いたい方はバランス型投資信託
長い時間をかけて資産形成を行っていく基本は「国際分散投資」になります。国際分散投資では、国内や海外の株式、債券など性格の異なる資産を組み合わせる(ポートフォリオを組む)ことで、投資資産全体の価格変動のブレを小さくして複利効果を高めることができるのです。代表的なものでは、私たちの公的年金も、複利効果を得ながら国際分散投資で長期運用が行われています。国際分散投資を行うにはポ-トフォリオを組むことになります。投資経験がそれなりにある人であれば、自分自身で運用できるでしょうが、投資未経験者や投資経験が少ない人では、自分自身でさまざまな資産を組み合わせてポートフォリオを組むことはかなりハードルが高いと言えます。そのような人のために1つの投資信託で国際分散投資を行うことができる「バランス型」と呼ばれる投資信託が用意されています。たとえていえば、国内株、海外株、国内債券、海外債券などの単一資産だけで運用されるのは、レストランでの食事にたとえると「アラカルト」。バランス型はこれらの資産を組み合わせて運用することになるため「定食」または「コース料理」と考えればイメージがわきやすいかもしれません。
バランス型投資信託のタイプ
1つの投資信託で国際分散投資ができるバランス型ですが、一口にバランス型と言っても株式の組み入れ割合などでその商品性は大きく変わってきます。価格(基準価額)の変動の大きさでいえば、株式の組み入れ割合が高くなるほど、価格の変動幅は大きくなり、反対に株式の組み入れ割合が低くなると価格の変動幅は小さくなります。バランス型投資信託には、その名称の後に「25」、「50」、「75」などの数字が記載されているものもあります。この数字が株式の組み入れ割合を表しているケースが多く、数字が大きいものほど価格の変動幅は大きくなり、反対に株式の組み入れ割合が低くなると価格の変動幅は小さくなります。あるいは数字ではなく「安定型」、「安定成長型」、「成長型」と記載されているバランス型の投資信託もあります。このタイプでは、安定型が最も株式の組み入れ割合が低く=価格の変動幅は小さい、成長型が最も株式の組み入れ割合が高く=価格の変動幅は大きく、安定成長型はその中間という位置付けです。
バランス型投資信託のポイント
iDeCoで複数本のバランス型投資信託が用意されている場合もありますが、iDeCoを利用する人のリスク許容度が1人1人異なるからです。バランス型投資信託のメリットは、1つの商品で国際分散投資ができることだけではありません。資産配分割合を運用途中で基に戻すことを「リバランス」と言いますが、そのリバランスを投資信託の運用会社が自動的に行ってくれるのです。「リバランス」については松井証券のiDeCoサイトの「リバランス:配分比率を調整する」に詳しく説明されているので参照されてください。バランス型投資信託は、資産配分割合の取り決め、運用開始後の定期的なリバランスなどを運用会社に総べてお任せできる投資信託です。iDeCoで投資信託選びに迷ったら、バランス型を選ばれるとよいでしょう。また、バランス型投資信託は運用会社にお任せの商品であることから、運用管理費用(信託報酬)は相対的にやや高めに位置づけられていましたが、近年では信託報酬の低いインデックスファンドを活用したバランス型商品が増え、その投資コストはかなり低く押さえられてきました。松井証券のiDeCoで投資することができるバランス型投資信託、「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」は信託報酬が年率0.143%(税込)と、とても低い商品が用意されています。さらに、購入時手数料と信託財産留保額についてもコストはかかりません。投資コストを押さえて国際分散投資ができる、それがiDeCoのバランス型投資信託なのです。
投資信託選びのポイント
執筆者
深野 康彦(ふかの やすひこ)氏
有限会社ファイナンシャルリサーチ代表
ファイナンシャルプランナー