日経平均株価は、2017年6月2日に2015年12月以来、約1年半ぶりに2万円を回復しました。2017年3月31日からは6.7%の上昇です。しかしながら、同期間で6.7%以上上昇した銘柄は約1,300銘柄に留まり、上場銘柄全体の約32%にすぎません。出遅れている約2,700銘柄の中で、今後の上昇が期待できる銘柄を探す方策の一つとして「期間中に信用買い残高が大きく減少している銘柄を探す」という事が挙げられます。
信用買い残高が減少しているという事は、信用取引を利用している個人投資家が利食いをしている証拠です。では、その裏で誰が買っているかというと、大部分は外国人投資家などの機関投資家、と考える事ができます。
松井証券店内の信用残を見ると、2017年3月31日と6月2日の比較では、買い残高が2,418億円から2,123億円に減少する一方、売り残高は352億円から503億円に増加しています。一方、日本取引所グループが毎週発表している投資部門別売買状況では、外国人投資家は、今年の4月第1週目から5月の第4週目まで8週間連続で買い越しとなっていました。今後、信用買い残が一段と減少してくると、個人投資家の利食い売りが減少し、外国人投資家の買いが入ってきた際に株価が上昇しやすくなる可能性があります。
では、個別にみた場合に、買い残高の減少率が大きな銘柄はどのようなものか、リストアップしてみました。まず、2位にランクインした3678メディアドゥは、1月末に集英社と資本提携された事が発表され、信用買い残が急増した銘柄ですが、ここ2カ月で信用買い残の整理が進んでいる事がわかります。一方、1位となったのは9433KDDIですが、減少率は大きいものの、時価総額と比較した信用残の減少額は限定的であるため、このデータだけで判断するのは避けた方が良さそうです。
減少率が大きい順
順位 | コード | 銘柄名 | 信用買い残高 | 減少率 |
---|---|---|---|---|
1 | 9433 | KDDI | 12億円 | -58% |
2 | 3678 | メディアドゥ | 12億円 | -52% |
3 | 6641 | 日新電機 | 15億円 | -48% |
4 | 4063 | 信越化学工業 | 42億円 | -46% |
5 | 6988 | 日東電工 | 32億円 | -45% |
6 | 3663 | アートスパークホールディングス | 11億円 | -41% |
7 | 7752 | リコー | 12億円 | -41% |
8 | 9437 | NTTドコモ | 27億円 | -38% |
9 | 2160 | ジーエヌアイグループ | 47億円 | -35% |
10 | 2678 | アスクル | 21億円 | -34% |
11 | 4594 | グリーンペプタイド | 24億円 | -33% |
12 | 6531 | リファインバース | 17億円 | -33% |
13 | 2379 | ディップ | 12億円 | -33% |
14 | 6141 | DMG森精機 | 14億円 | -32% |
15 | 4667 | アイサンテクノロジー | 12億円 | -31% |
- ※ データは2017年6月2日現在
- ※2017年6月2日時点の信用買い残高が10億円以上の銘柄
- ※「(2017年6月2日終値/2017年3月31日の終値)-1」が6.7%未満の銘柄
- ※信用買い残高の減少率は、「2017年6月2日時点の信用買残(株数)×終値」と「2017年3月31日時点の信用買残(株数)×終値」を用いて算出
このように、需給を判断するうえで参考になる信用残高の推移は、松井証券の無料情報ツール『QUICK情報』から確認することが可能です。「チャート」で「週足」を選択し、「信用残」の推移を表示します。その動きを見て、買い残高が急減していたら、それは「売りモノ出尽くし」のシグナルかもしれません。今後の銘柄検索に信用残高を役立ててはいかがでしょうか。
QUICK情報の「信用残」の表示方法
QUICK情報を起動後、以下の順番で個別銘柄の信用残高を表示することができます。
松井証券シニアマーケットアナリスト 窪田朋一郎

2001年、松井証券に入社。マーケティング部を経て現職。
ネット証券草創期から株式を中心に相場をウォッチし続け、投資家動向にも詳しい。
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