【特集レポート】日本市場で原油価格に反応する銘柄は?

2018年の株式市場はこれまで堅調な値動きが続いています。背景には、世界経済が軒並み好景気となっている事が挙げられます。中国をはじめとした新興国だけではなく、日米欧などの先進各国も順調に成長を続けており、このように同時に好景気を迎えるということはまれな状況です。そのため、株式以外にも値上がりしているものがあります。代表的なものとしては原油が挙げられます。

【原油(WTI原油先物)チャート】

【原油(WTI原油先物)チャート】

原油価格は昨年の秋以降、徐々に水準を切り上げています。前述した世界的な好景気に加えて、今年から来年にかけてサウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコのIPOが実施されると見られている事も要因の一つとして挙げられます。サウジアラビアが高値での公開を目指すため、原油の供給を絞るとの観測が出ているのです。また、これまで原油価格の上値を抑えていたアメリカのシェールオイルも供給が伸びておらず、価格が上昇する一因となっているのです。

そこで今回は、原油価格との相関性が強い銘柄をランキングしてみました。
これらの銘柄はどれも、原油価格と同じ方向に値動きする傾向(正の相関)がありました。

原油価格との相関性が強い銘柄ランキング

順位 銘柄コード 銘柄名
1 5021 コスモエネルギーHD
2 1605 国際石油開発帝石
3 5019 出光興産
4 8031 三井物産
5 8001 伊藤忠商事
6 9984 ソフトバンクG
7 5020 JXTGHD
8 8002 丸紅
9 8053 住友商事
10 6361 荏原製作所
  • 過去5年間の月次の値動きについて、原油価格との間の決定係数を算出し、高い順にランキングを作成しました。
  • 決定係数は、原油価格との関連の大きさを表す指標となります。ランクインした銘柄の値動きはどれも、原油価格と正の相関となりました。
  • 株価データが5年未満のものは除く
  • 2018年1月19日時点で、時価総額3,000億円以上

ランキング上位でまず目につくのは、1位のコスモエネルギーHD、3位の出光興産、7位のJXTGHDといった石油元売り各社です。石油元売り会社は、原油やガソリンなどの在庫を多く抱えているため、原油高により高く販売できることがメリットになります。また、2位の国際石油開発帝石は、原油・ガス開発生産の国内最大手であり、原油価格の上昇の恩恵をストレートに受けるため、ランキング上位に入るのもうなずけます。

次に目立つのは、4位の三井物産、5位の伊藤忠商事、8位の丸紅、9位の住友商事といった商社株です。大手商社の多くは、資源・エネルギーの上流権益を持つため、原油をはじめとしたコモディティ価格上昇の恩恵を受けます。例えば三井物産の場合、1バレルあたりの原油価格が1ドル上昇すると、年間28億円の増益になると予想されています(QUICKリサーチネットより)。大手商社は、エネルギー以外にも金属資源の権益や、生活産業など様々なポートフォリオを抱えるため、株価はその他の事業の影響も受けますが、市場の中では原油価格の影響を受けやすい銘柄群であると言えそうです。

その他で変わったところでは、6位のソフトバンクGが目に付きます。日米で携帯通信事業を手掛けるソフトバンクGは一見原油価格との関係はなさそうですが、データ上は値動きの関係性が高いと算出されました。一般的に、原油価格が上昇する局面では、市場はリスクオンムードが高まっている事が多いため、ソフトバンク・ビジョン・ファンドなどを抱えるソフトバンクGは、そのような局面で評価されやすい傾向があるのかもしれません。

原油価格の上昇は、堅調な世界経済が背景にあるため、短期的には日経平均株価に対してもプラスだと考えられます。ただし、長期的には多くの企業にとってコスト増に繋がるほか、原油価格の高騰が続くとインフレ傾向が強まり、日米欧の金融引き締めの引き金にもなりかねます。今年の株式市場を予想するうえでは、原油価格に注目すると役に立ちそうです。

松井証券シニアマーケットアナリスト 窪田朋一郎

2001年、松井証券に入社。マーケティング部を経て現職。
ネット証券草創期から株式を中心に相場をウォッチし続け、投資家動向にも詳しい。

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