【特集レポート】株式相場は為替と米金利がポイントに!個別銘柄のドル円感応度をチェック

2月の株式市場は、月初から急落に見舞われました。前月までは、トランプ政権が成立させた米国の法人減税や好調な企業業績を背景に上昇が続き、1月23日には一時日経平均株価は24,129円の高値を付けるなど堅調に推移していました。しかしながら、財源面の裏付けがない減税策により米国の長期金利は上昇基調が続き、節目とみられた2.75%を超えたあたりから株価の重荷になり始めます。さらに2月に入ると、VIX指数をショートして利益を積み重ねる人気ファンドの償還条項に着目した投資家による、VIX指数への仕掛け的な買いが入り、VIX指数が急上昇しました。これが、「リスク・パリティ」戦略を取るファンドの株式売りを誘発し、2月6日には日経平均株価が1,000円を超える値下がりをするなど、株式市場は不安定な状況となりました。

2月の中旬以降は、こうしたVIX指数急騰を起点とした売り圧力は弱まったものの、引き続き日経平均株価は乱高下しています。その大きな要因となっているのがドル安/円高です。前述したとおり、米国の金利が上昇基調を強める一方で、日本では日銀によるイールドカーブをコントロールする政策により超低金利が続いています。一般的に、金利の高い国の通貨は他の通貨と比べて値上がりする傾向があるため、ドル高/円安になる事が多いのですが、上昇基調にあった米国金利を横目に、2月16日にはドル/円で一時105円台をつけるなど、約1年3カ月ぶりの円高水準となりました。これは、2月14日に発表された米国の1月のCPIが0.5%となるなど、インフレ懸念が高まっているほか、トランプ政権の減税および公共投資拡大による財政赤字拡大に対する懸念もあり、実質金利はむしろ米国の方が低いと考えられ、ドルが売られているものと推測されます。

このように不安定な値動きを続けているドル/円相場ですが、今回はそんなドル/円レートに対する感応度が高い銘柄をランキングしてみました。

<図①>対ドル円レート感応度が高い15銘柄

順位 コード 銘柄名 業種
1 3436 SUMCO 金属製品
2 6479 ミネベアミツミ 電気機器
3 6981 村田製作所 電気機器
4 5334 日本特殊陶業 ガラス・土石製品
5 7261 マツダ 輸送用機器
6 6770 アルプス電気 電気機器
7 6471 日本精工 機械
8 8830 住友不動産 不動産業
9 6762 TDK 電気機器
10 7013 IHI 機械
11 5411 ジェイ エフ イー ホールディングス 鉄鋼
12 9104 商船三井 海運業
13 8015 豊田通商 卸売業
14 7205 日野自動車 輸送用機器
15 8801 三井不動産 不動産業

<図②>対ドル円レート感応度が低い15銘柄

順位 コード 銘柄名 業種
1 9684 スクウェア・エニックス・ホールディングス 情報・通信業
2 9843 ニトリホールディングス 小売業
3 4578 大塚ホールディングス 医薬品
4 3391 ツルハホールディングス 小売業
5 2269 明治ホールディングス 食料品
6 2181 パーソルホールディングス サービス業
7 9142 九州旅客鉄道 陸運業
8 4751 サイバーエージェント サービス業
9 2127 日本M&Aセンター サービス業
10 2875 東洋水産 食料品
11 9048 名古屋鉄道 陸運業
12 4967 小林製薬 化学
13 9437 NTTドコモ 情報・通信業
14 2897 日清食品ホールディングス 食料品
15 7182 ゆうちょ銀行 銀行業
  • 時価総額3,000億円以上の東証1部上場銘柄(外国株式を除く)が対象。2016年6月1日~2018年2月8日の日次の値動きを基に、対象銘柄のドル/円に対する回帰係数の絶対値が大きい・小さい順にランキング。

今回ランキングは『為替感応度』なので、円安になった際に「値上がり」「値下がり」双方に反応する可能性があるのですが、上位の銘柄はすべて回帰係数が”プラス”、つまり「円安傾向になると値上がりしやすい銘柄」となりました。

ランキングを見てみると、やはり「電気機器」「機械」「輸送用機器」といった製造業が為替の影響を受けやすいことが分かります。1位はシリコンウェーハの大手メーカーであるSUMCO(3436)です。製造拠点は国内で、地域別の売り上げ構成が、アジア・北米で70%を占めていることから、納得の結果であると言えます。その他ランクインしている銘柄も、それぞれの分野で世界的なシェアを獲得し国内で多くを製造している企業が名を連ねています。そんな中、8位に住友不動産(8830)、15位には三井不動産(8801)などがランクインしており、意外に思っている方もいるかも知れません。一般的に、円安に振れる局面では、マーケットがリスクオンムードに傾いている事が多く、不動産市場の好転を期待してこのような内需が中心の企業もランクインしています。

一方のランキング下位(円相場の影響を受けにくい)には、「サービス業」や「小売業」といった内需関連株が多くなっています。1位となったスクウェア・エニックスHD(9684)は、海外比率が34%に上るものの、それ以上に新作ゲームの人気などで株価が動いていると言えます。また、2位には、為替予約を上手に活用し短期的な為替変動の影響を上手く回避しているニトリHD(9843)がランクインしています。

これを執筆している2月19日時点では、引き続き米国のインフレ懸念や財政収支の悪化から円高傾向が続いているので、このようなランキング下位の銘柄が投資候補に上がる一方、円高傾向が一服した局面では感応度が高く、正の相関が確認されたランキング上位の銘柄を手掛けるといった戦略も考えられます。投資する銘柄選びの参考にしてみて下さい。

松井証券シニアマーケットアナリスト 窪田朋一郎

2001年、松井証券に入社。マーケティング部を経て現職。
ネット証券草創期から株式を中心に相場をウォッチし続け、投資家動向にも詳しい。

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