決算発表本格化!事前&事後に確認すべき4大ポイント

決算発表本格化!事前&事後に確認すべき4大ポイント

3月末に米国のトランプ大統領が発表した鉄鋼やアルミニウムに対する関税計画に対して、中国側が対抗措置を発表したことから、米中貿易摩擦懸念が強まり株式市場は下落しました。しかしながら、トランプ大統領のこのような発表は、中国と貿易交渉を行う上での手段に過ぎないとの見方が広がり、4月の株式市場は緩やかな戻りが続く展開となっています。

東京証券取引所が発表している投資部門別売買動向を見ると、3月まで大きく売り越していた海外投資家の売りが、4月に入り緩やかな買い越しに転じている事が解ります。米国で長期金利の上昇が続いており、為替が円安に振れている事が追い風になりますが、金利上昇が行き過ぎると海外投資家の株式投資に対する姿勢が再び慎重になる可能性もあるため、注意が必要な局面といえるでしょう。

<図①>投資部門別売買動向推移(個人・海外投資家) ※図①・②・③は松井証券作成。

投資部門別売買動向

<図②>米10年国債利回り チャート

米10年債チャート

  • 市場データから松井証券作成。2018年4月23日時点。

さて、3月期決算企業の決算発表がピークを迎えています。株価の先行きを占ううえで「最も重要である」と言ってもいい決算発表ですが、株式投資をするうえで、どのような点に注目すればいいのでしょうか。

事前にチェックすべき2つのポイント

(1)決算発表の日時をチェック

最初に確認すべきポイントは、当たり前のようですが、決算発表の日時です。

決算発表前後は株価が大きく変動する事も多いため、好決算を期待した先回りの買いや、事前に利益確定売りを行う個人投資家も多くいます。また、デイトレーダーをはじめとした短期売買を好む投資家にとっても、取引時間中に決算発表が行われる銘柄をチェックしておくことは、取引時間中に大きく値動きする銘柄を発見するのに役立ちます。

(2)コンセンサスや会社予想をチェック

決算発表後の株価の動きは、単純に「好決算なら上昇する」とは限りません。証券会社のアナリストが予想している業績予想の平均(アナリストコンセンサス)や、会社が事前に発表していた会社予想との違いが、株価に大きな影響を与えることがあります。

ある企業が発表した決算の内容が非常に良好なものであったとしても、アナリストコンセンサスがそれをさらに上回るものを予想していれば、「ネガティブサプライズ」として急落することがあります。逆に赤字決算であったとしても、アナリストコンセンサスがそれをさらに下回る悲観的なものであれば、「ポジティブサプライズ」として急騰したりするケースもあるのです。

下の表は、3月期決算企業の経常利益における、会社予想とアナリストコンセンサスの上方乖離が大きな銘柄のランキング(2018年4月23日時点)です。ランキング上位の銘柄は、各社のアナリストが業績予想を強気に引き上げていった銘柄もあり、決算発表時にサプライズが出やすい可能性もあるので、注目しておくと良いでしょう。

<図③>アナリストコンセンサスの上方乖離が大きな銘柄(経常利益ベース)

銘柄 前期 会社予想 コンセンサス 差率
1 6963 ローム 35,579 48,000 58,599 22.1%
2 7269 スズキ 286,693 320,000 380,459 18.9%
3 7181 かんぽ生命 279,755 250,000 293,035 17.2%
4 6301 コマツ 166,469 237,000 275,936 16.4%
5 8316 三井住友FG 1,005,855 970,000 1,112,858 14.7%
6 4661 OLC 114,611 101,610 113,804 12.0%
7 4502 武田 143,346 193,000 215,878 11.9%
8 6273 SMC 148,237 180,000 200,257 11.3%
9 4005 住友化 166,632 215,000 238,455 10.9%
10 7974 任天堂 50,364 175,000 193,751 10.7%
  • 時価総額1兆円以上の東証1部上場銘柄(外国株式を除く)のうち、2018年3月決算銘柄が対象。今期の予想経常利益(QUICKアナリストコンセンサス)から予想経常利益(会社予想)を引いた値が大きい順にランキング(単位:百万円)

各銘柄の決算発表日やアナリストコンセンサスは、「QUICKリサーチネット」で確認できるので、事前にチェックしてみてください。

事後にチェックすべき2つのポイント

(3)今期予想や想定為替レートをチェック

株価は「6ヵ月先の業績を織り込む」と言われる通り、発表された前期の業績もさることながら、先行きの業績予想が重要です。

多くの企業では、通期決算の発表時に合わせて、今期の業績予想も発表します。会社側が先行きの業績を強気で見ているのか、それとも慎重に見ているのかの判断材料になるので、チェックすると良いでしょう。

また、為替レートが業績に影響を与える企業では、今期の想定為替レートも合わせて開示されることもあります。会社予想の前提が保守的なものか野心的なものなのかを判断する1つの材料になるので、合わせて確認すると良いでしょう。

(4)株主還元策をチェック

決算発表時には、業績の発表以外に株主還元策が発表されることもあります。

たとえば、自社の株式を株式市場から買い戻す「自社株買い」が発表されると、市場に出回る株式の数が減るため、株価にはプラスに働くことが多いです。影響の大きさを測るには、買付額が発行済み株式数の何パーセントにあたるのかをチェックすると良いでしょう。

また、決算発表に合わせて増配が発表される事もあります。配当金を重視している投資家は多いため、これも株価にとってはプラスに働くことが多いです。

その他では、新興市場に上場している銘柄の場合、東証1部などの上位市場への昇格が発表されることもあります。これも流動性の向上や、TOPIX(東証株価指数)などをベンチマークとして運用するインデックスファンドの買いが期待できるため、株価の押し上げ要因になることがあります。

足元の日経平均は割安水準

ここまでは、個別銘柄の決算で確認すべきポイントについてお話ししてきましたが、全体相場を見るうえでは「日経平均PER(株価収益率)」も注目ポイントです。

この時期は、多くの企業で決算発表が行われるため、日経平均株価が割高か割安かを判断する材料となるPERも変動することが多くあります。アベノミクス以降では、日経平均PERはおおむね13~16倍で推移していますが、4月23日時点では13.0倍まで低下してきています。

多くの企業が好業績を発表すれば、日経平均PERが一段と低下し、日本株の割安感が強まることも考えられます。数値は日本経済新聞社のWebサイトなどで確認できるので、参考にしてみてください。

松井証券シニアマーケットアナリスト 窪田朋一郎

2001年、松井証券に入社。マーケティング部を経て現職。
ネット証券草創期から株式を中心に相場をウォッチし続け、投資家動向にも詳しい。

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