メルカリ上場!マザーズ市場への影響は?

メルカリ上場!マザーズ市場への影響は?

6月の株式市場は、米朝首脳会談が行われるなど地政学リスクが低減したことや、米長期金利の上昇が一服したことから、12日に日経平均株価が一時23,000円を回復するなど株価は上昇基調を続けていました。しかしながら、トランプ大統領が中国製品500億ドル相当への関税を承認したことで、中国側が対抗措置をとり、さらに2,000億ドル規模の中国製品に追加関税を課すと警告するなど、米中貿易摩擦が激化したことから、再び大きく下落する動きとなっています。

投資部門別売買動向をチェック

東京証券取引所が発表している投資部門別売買動向をみると、月前半の上昇局面では、海外投資家が買いに動く一方、個人投資家は売り基調を続けていました。しかしながら松井証券店内の売買動向をみると、6月18日週以降は、海外投資家が売りに回っている可能性が高いといえます。前述のとおり、短期的には米中貿易摩擦が要因ですが、中期的に見てもFRBの利上げやECBの量的緩和の終了などを受け、海外投資家の買いが持続しづらい環境にあります。値下がりすると利益を得られるインバース型ETFや、信用取引の売りなどを活用し、上下どちらに振れても利益を狙える環境を整えた方が良いと言えるでしょう。

【<図①>投資部門別売買動向推移(個人・海外投資家)】

投資部門別売買動向推移(個人・海外投資家)

  • 東京証券取引所発表の投資部門別売買状況(株式)データから松井証券作成。2018年6月21日時点。

話題のIPO銘柄メルカリ

さて、フリーマーケットアプリ最大手のメルカリ <4385.T> が、6月19日(火)に東証マザーズに新規上場しました。

メルカリは、以前から日本の「ユニコーン企業」として注目を集めてきたベンチャー企業です。2017年6月期の連結業績をみると、売上高は220.7億円、経常損失は27.8億円、最終損益は42.1億円の赤字となっていますが、売上高は前期比で80%増と急速に成長しています。最終損益が赤字なので、一般的な投資指標であるPER等では株価水準を判断できません。しかし、高成長のネット企業を判断する指標として使われることがあるPSR(株価売上高倍率)でみると、18.2倍(売上高は来期予想、時価総額は6月21日の終値で算出)となり、ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイの9.8倍などと比較しても、高く評価されていることがわかります。一方で、フリマアプリ市場はその成長率の高さから、日本国内においてはYahoo!JAPANが手掛ける「ヤフオク!」や楽天の「ラクマ」などライバル企業も参入。競争環境は厳しくなってきています。また、米国への進出も進めていますが、アプリのダウンロード数に対する流通総額をみると、現時点では日本国内ほど効率的にアクティブユーザーを獲得できていません。今後は、上場で得た資金を元手に成長投資を加速して、投資家の期待を維持していく必要があるといえます。

マザーズ市場で最大の銘柄に

このように投資家の期待が高いメルカリですが、東証マザーズ市場にはどのような影響を与えるのでしょうか。まず時価総額の面ではマザーズ市場で最大の銘柄となりました。下表は、同市場での時価総額ランキングです。第2位ミクシィの2.8倍となっており、マザーズ市場の中で圧倒的な存在感となっています。

東証マザーズ市場の時価総額ランキング

No. 銘柄コード 銘柄名 時価総額
[億円]
企業情報
1 4385 メルカリ 6,509 フリマサービス「メルカリ」を運営
2 2121 ミクシィ 2,327 SNS「mixi」やスマホゲーム「モンスト」を運営
3 7779 サイバダイン 1,831 ロボットスーツを軸に事業を展開
4 7172 JIA 1,689 オペレーティング・リース事業など金融ソリューション事業を展開
5 3479 TKP 1,679 大都市圏を中心に貸会議室を管理運営
6 3993 パークシャ 1,490 アルゴリズムモジュールを販売。自社ソフトにも展開
7 4592 サンバイオ 1,434 再生細胞薬による脳の再生に創業以来一貫して取り組む
8 4565 そーせい 1,303 独自の創薬基盤技術を基にバイオ医薬品を開発
9 3994 マネフォ 1,127 家計簿アプリ「マネーフォワード」を提供
10 8922 JAM 1,030 ドン・キホーテグループ。テナント賃貸事業が主力

(注)6月21日時点。時価総額が大きい順にランキング。
(出所)QUICK

東証マザーズ指数への寄与という面ではどうでしょうか。新規上場銘柄は、上場してすぐに指数に組み入れられるわけではありません。東証マザーズ指数への組み入れは、新規上場日の翌月末となります。メルカリの場合には2018年7月末となりますが、指数に採用された後のメルカリの値動きがマザーズ指数に与える影響は大きなものになると予想されます。東証マザーズ指数は時価総額加重方式により算出され、6月21日終値で仮計算してみると8.9%となります。日経平均株価への影響度が高いことで知られるファーストリテイリングの日経平均株価構成率が約8.6%(6月21日時点)となっているので、それに匹敵する影響度になるのです。

東証マザーズ指数の想定構成比率

No. 銘柄コード 銘柄名 構成比率 企業情報
1 4385 メルカリ 8.9% フリマサービス「メルカリ」を運営
2 7779 サイバダイン 5.4% ロボットスーツを軸に事業を展開
3 2121 ミクシィ 5.3% SNS「mixi」やスマホゲーム「モンスト」を運営
4 4565 そーせい 5.1% 独自の創薬基盤技術を基にバイオ医薬品を開発
5 4592 サンバイオ 2.9% 再生細胞薬による脳の再生に創業以来一貫して取り組む
6 2160 ジーエヌアイ 2.9% 中国拠点にアジアに多い疾患の医薬品を開発・販売
7 6532 ベイカレント 2.0% 経営戦略策定やシステム構築・運用を支援
8 3994 マネフォ 1.8% 家計簿アプリ「マネーフォワード」を提供
9 7172 JIA 1.8% オペレーティング・リース事業など金融ソリューション事業を展開
10 4563 アンジェス 1.4% 遺伝子治療薬開発のバイオベンチャー

(注)6月21日時点、浮動株調整後。メルカリ(4385)は浮動株比率を0.3として算出。想定構成比率が大きい順にランキング
(出所)QUICK

このようにメルカリの値動きは、新興市場全体の動向にも大きな影響を与えると考えられます。しばらくは、メルカリの値動きに注目が集まる展開が続くのではないでしょうか。

松井証券シニアマーケットアナリスト 窪田朋一郎

2001年、松井証券に入社。マーケティング部を経て現職。
ネット証券草創期から株式を中心に相場をウォッチし続け、投資家動向にも詳しい。

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