信用残高ランキングで探す注目銘柄

信用残高ランキングで探す注目銘柄

8月の株式市場は、このところ続いていた米中貿易摩擦への懸念がいったん和らいだことで、落ち着いた値動きでスタートしました。しかしながら、8月10日に「欧州の大手銀行のトルコ向け債権に対する懸念を強めている」というECB(欧州中央銀行)関係者の発言が報じられたことや、アメリカのトランプ大統領がトルコから輸入する鉄鋼とアルミニウムにそれぞれ50%、20%の追加関税を課すと表明したことで、トルコ経済に対する懸念が強まりトルコリラが急落しました。日本の株式市場では多くの機関投資家が夏休み入りし、流動性が細っていたこともあり、日経平均株価もリスクオフの流れに押されて急落しましたが、その後は再び落ち着いた値動きとなっています。

投資部門別売買動向をチェック

東京証券取引所が発表している投資部門月売買動向をみると、8月に入り海外投資家が緩やかな売りに動く一方で、個人投資家が押し目を拾う動きとなっています。また、7月の日銀政策決定会合でETFの買い入れ方針の変更が発表されましたが、基準と考えられているTOPIX前場の値下がり幅はこれまでよりも拡大したとみられ、買い入れ金額は前月比で減少しています。

【<図①>投資部門別売買動向推移(個人・海外投資家)】

投資部門別売買動向推移(個人・海外投資家)

  • 東京証券取引所発表の投資部門別売買状況(株式)データから松井証券作成。2018年8月23日時点。

信用残高と相場のサイクル

さて、今回のランキングは「流動性から見た信用残高ランキング」です。信用残高とは、信用取引の未決済残高のことで、「信用買い残高」と「信用売り残高」の二つがあります。制度信用取引の場合、6カ月以内に反対売買により決済する必要があるため、「信用買い残高」は将来の売り要因、「信用売り残高」は将来の買い要因と見ることができるのです。ただし、「信用買い残高」が多いからといってすぐに売りが増えるわけでは無いことに注意が必要です。信用買い残高が高水準でも、更なる信用買いや現物買い需要が続けば株価は上昇するため、出来高などとあわせてチェックしたほうがいいでしょう。

流動性から見た信用残高(買い方)ランキング

No. 銘柄コード 銘柄名 (信用買い残-信用売り残)÷売買代金
1 6419 マースエンジニアリング 7.35
2 4569 キョーリン製薬ホールディングス 4.18
3 4365 松本油脂製薬 2.52
4 7177 GMOフィナンシャルホールディングス 1.59
5 6339 新東工業 1.40
6 4382 HEROZ 1.39
7 6890 フェローテックホールディングス 1.24
8 8387 四国銀行 1.14
9 8739 スパークス・グループ 1.11
10 8361 大垣共立銀行 1.11

流動性から見た信用残高(売り方)ランキング

No. 銘柄コード 銘柄名 (信用売り残-信用買い残)÷売買代金
1 2931 ユーグレナ 6.38
2 4839 WOWOW 5.07
3 1663 K&Oエナジーグループ 3.52
4 9010 富士急行 3.38
5 9663 ナガワ 3.09
6 8344 山形銀行 2.67
7 8508 Jトラスト 2.28
8 9936 王将フードサービス 2.25
9 8362 福井銀行 2.21
10 8345 岩手銀行 2.13
  • QUICKの日本証券金融データから松井証券作成。2018年8月23日時点。

では実際にランキングを見ていきましょう。上のランキングは信用買い残高と信用売り残高の差を直近の5日平均売買代金で割った数値が大きい順に並べたもので、時価総額が500億円以上の銘柄をランキングしています(ETFを除く)。買い方ランキングは買い残高の方が売り残高よりも大きな銘柄、売り方ランキングは売り残高の方が買い残高よりも大きな銘柄です。

いくつかのグループに分けられますが、1つ目は6419マースエンジニアリング、4569キョーリン製薬ホールディングス、7177GMOフィナンシャルホールディングスといった、売買代金と比較して信用買い残高が多い銘柄群です。これらは、株価が上昇基調を維持しているうちは良いものの、いったん下落基調になると戻り売りが多く出る可能性があるため、25日移動平均線などから判断して上昇トレンドを維持しているか確認しながら投資する方が望ましいでしょう。

2つ目のグループは、2931ユーグレナ、4839WOWOWといった、売買代金と比較して信用売り残高が多い銘柄群です。これらは、株価が下落した際には売り方の利益確定目的の買い戻しが期待できます。また、更に株価が上昇した際でも損失を避けるための買い戻しが期待できるため、需給的には引き締まった銘柄と考えられます。

このほか、今回のランキングにはありませんが、信用買い残高、売り残高ともに多い場合があります。これは、信用取引が多く活用されており、個人投資家の注目度が高い銘柄と言えます。売り残高と買い残高のバランス次第という面はありますが、一相場終わった後にも双方の残高が残るパターンがよく見られます。その場合、買い方が損切りしても、売り方の買い戻しが入りやすいため、緩やかな下落基調が続くことが多いと言えます。

個別銘柄の株価は、長い目で見るとファンダメンタルにより動きますが、短期的には信用取引の動向など需給要因も大きく影響します。

お知らせ

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松井証券シニアマーケットアナリスト 窪田朋一郎

2001年、松井証券に入社。マーケティング部を経て現職。
ネット証券草創期から株式を中心に相場をウォッチし続け、投資家動向にも詳しい。

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