投資信託では為替ヘッジ「あり」「なし」どっちがいい?初心者向けのポイント

2024/1/31

投資信託の銘柄を選ぶ際に、為替ヘッジ「あり」と「なし」の銘柄どちらにすれば良いのか迷った経験はないでしょうか。近年では歴史的な円安が進んでいることもあり、為替が投資信託にどう影響するのか気になっている方も多いでしょう。

本記事では、投資信託における為替ヘッジとは何か、為替ヘッジにかかる手数料などを詳しく解説します。為替ヘッジ「あり」「なし」それぞれのメリット・デメリットも紹介しますので、自分に合った銘柄を選択する際の参考にしてみてください。

投資信託における為替ヘッジとは?

為替ヘッジとは、外貨建て資産に投資するときに、為替レートの変動によるリスクを回避する方法のことを指します。外国株や外国債を投資対象資産とする投資信託では、ドルやユーロなどの外貨を通じて運用を行うのが一般的です。そのため、投資対象の価格変動がなくても、為替変動によって投資信託の価値自体が変わることもあります。

例えば、為替相場が1ドル=140円のときに、外国の株式や債券を含む投資信託を1万ドル分購入したとしましょう。1年後に運用資産の価格が変化していなかったとしても、1ドル=130円まで円高が進んでいた場合、当初140万円で購入した投資信託の基準価格は130万円に減少します。このようなリスクを避けるために行われるのが為替ヘッジです。

為替ヘッジでは将来の為替レートをあらかじめ決めておく「為替予約」という方法が用いられます。先程の例で言えば、1年後に1ドル=140円で交換する」と約束をしておくことで、1年後も投資信託の基準価格は140万円となり、為替変動による基準価格の下落を抑えることができるというイメージです。

ただし、為替ヘッジをしたからといってすべての為替リスクをゼロにできるわけではありません。為替ヘッジのタイミングや市場動向によっては、損失が生じる可能性がある点は理解しておく必要があります。

投資信託で為替ヘッジをする際の手数料

為替ヘッジを行う際には「ヘッジコスト」と呼ばれる手数料がかかることを理解しておきましょう。

ヘッジコストは、二国間の金利差によって決まります。例えば、米国など日本よりも短期金利の高い国の資産に対して為替ヘッジをする場合、日米の金利差分をヘッジコストとして支払う必要があり、反対に短期金利が日本を下回る国の資産に投資する場合は、その差分を収益(ヘッジプレミアム)として受け取ることになります。

ただし、日本円は他国の通貨よりも低金利であるケースが多いため、基本的に為替ヘッジ「あり」にした場合は、費用が発生すると考えておいたほうが良いでしょう。為替ヘッジコストは金利差によって決まるので、日本や諸外国の金利動向には注目しておきましょう。

また、ヘッジコストは信託財産(投資信託が保有している資産のこと)から差し引かれるため、ヘッジコストが高くなると基準価格にマイナスの影響を与えることも考慮しておきましょう。

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投資信託では為替ヘッジ「あり」と「なし」どっちがいい?

それぞれのメリット・デメリットなどを把握した上で、自分の投資目的やリスク許容度に合わせて為替ヘッジの有無を選びましょう。

為替ヘッジ「あり」のメリットとデメリット

メリット

為替ヘッジ「あり」のメリットは、為替変動による損失を抑えられることです。為替相場の影響を抑えられるため、主に投資資産の価格変動によって損益が決まります。結果として、安定的な運用ができ、運用の目標を達成しやすくなるでしょう。

デメリット

為替ヘッジ「あり」を選んだ場合は「ヘッジコスト」と呼ばれる手数料がかかるため、為替ヘッジ「なし」の場合と比べて運用成績が低くなる可能性があります。また、為替相場のリスクを抑えられる反面、当然のことながら為替差益は得られません。為替ヘッジ「なし」を選んだ場合と比べてみると、リターンが少なくなる可能性がある点はデメリットといえるでしょう。

為替ヘッジ「あり」の投資信託がおすすめのケース

為替ヘッジ「あり」の投資信託は、為替変動によるリスクを抑えたい方にはおすすめです。ヘッジコストを支払ってでも、運用の安定性を高めたい場合に向いているでしょう。円高による資産の目減りを抑えつつ海外資産に投資できるため、これから為替相場が円高に振れると考えている場合にも適しています。

また短期的な運用が中心であれば、為替ヘッジをしてもヘッジコストが積み上がりにくいため、為替ヘッジ「あり」を選んでも良いかもしれません。

為替ヘッジ「なし」のメリットとデメリット

メリット

ヘッジコストがかからない点が、為替ヘッジ「なし」を選ぶメリットです。為替ヘッジをしなければ、外国資産の価格変動と為替変動によるリターンの両方を受け取れる可能性があるため、為替ヘッジ「あり」と比べて大きなリターンを得られる場合もあるでしょう。

デメリット

為替ヘッジをしていない分、為替変動による損失が発生する可能性が高まる点がデメリットです。予想に反して円高が進んだ場合は、投資信託の基準価額に大きな影響が出る可能性があるでしょう。

為替ヘッジ「なし」の投資信託をおすすめのケース

為替ヘッジ「なし」の投資信託は、為替変動によるリスクを許容できる方や、これから円安になると考えている場合に向いています。為替ヘッジ「あり」と比べると為替変動によるリスクは大きくなりますが、その分大きなリターンを得られる可能性が大きくなります。

また、長期的な運用をする予定なら、為替ヘッジ「なし」を選んでも良いでしょう。投資期間が長期にわたるとヘッジコストが積み上がってしまい、運用成果が抑えられる可能性があるからです。積立投資をすることで、投資タイミングを分散して為替ヘッジ「なし」でも為替リスクを軽減すると考えることもできるでしょう。

投資信託における為替ヘッジの有無は相場の見通しや投資スタイル次第で決めよう

為替ヘッジ「あり」の投資信託を選べば、円高や円安の影響を抑えながら、海外資産を投資対象とする銘柄に投資できます。為替相場の変動に伴う価格変動が気になる場合は、為替ヘッジの活用で安心して投資できるわけです。

一方で、為替ヘッジ「あり」を選択するとヘッジコストと呼ばれる手数料がかかるため、利益に多少なりとも影響があります。相場の見通しや投資スタイル、資産運用の目標額などを考慮したうえで、為替ヘッジの有無を決めて投資しましょう。

<監修者>

木村佳子

<プロフィール>

一級FP技能士(国家資格)。NPO法人 日本FP協会上級資格CFP。IFTA国際テクニカルアナリスト連盟最上位資格MFTA®の日本で最初の女性取得者。早稲田大学大学院ファイナンス研究科専門職MBAファイナンス修士。日本ベンチャー学会。日本IR学会。生活経済学会。消費者行動学会正会員。YouTube 「木村佳子チャンネル」で資産運用情報を発信中。

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