MMFとは?MRFや一般的なファンドとの違いをわかりやすく解説

2024/1/31

投資家から集めた資金をひとまとめにして、専門家が運用をする投資信託。投資信託は運用対象や分配方法などによってさまざまな種類に分けられます。その中の一つに「MMF」という商品があることはご存知でしょうか。

本記事ではMMFの特徴や投資するメリット・デメリット、一般的な投資信託との違いなどを詳しく解説します。どの金融商品に投資すべきか迷っている方は参考にしてみてください。

MMFとは?

MMFは外国投資信託の一種で、一般的な投資信託と比べると安全性の高い商品とされています。外貨預金やMRFとの違いなども含めて、まずは特徴を把握しておきましょう。

MMFとは?

MMF(マネー・マーケット・ファンド)とは、高い格付けの短期金融商品によって運用される投資信託のことです。米ドル・ユーロ・オーストラリアドル・カナダドルなどの外貨で運用されるため「外貨建てMMF」と呼ばれることも多くなっています。日本円で運用されるMMFは「マネー・マネジメント・ファンド」と呼ばれており、投資対象は似ているものの、外貨建てMMFとは別の商品です。日銀のマイナス金利が導入され、元本割れのリスクが出てきたため、運用難に陥ったMMFの繰り上げ償還が相次いだことから、現在円建てのMMFを買付することはできません。そのため、本記事では「外貨建てMMF」について解説します。

MMFの主な投資対象は公社債やCP(コマーシャルペーパー)、CD(譲渡性預金証書)などです。なお、CPとは、企業が1年未満の短期で資金調達するための無担保の約束手形のことを指し、CDは、第三者に譲渡可能な自由金利の大口定期預金のことを指します。

MMFは基本的に株式を投資対象に含んでいない点が特徴であり、一般的な投資信託よりも安全性を重視した商品といえるでしょう。ただし、ほかの投資信託同様に、元本保証があるわけではなく運用実績によって利回りが変化する点には注意が必要です。

また、売買手数料はかからないケースが多くなっています。松井証券でもMMFは購入・解約にかかる費用は無料であり、為替手数料のみで取引可能です。

【関連ページ】米ドルMMFの手数料

MMFと外貨預金の違い

MMFと外貨預金は「外貨で投資する」という点は共通しているものの、MMFは外国投資信託の一種であるため、特徴には以下のように違いがあります。

MMF 外貨預金
利回り 運用成果によって変動する。外貨預金よりも高い傾向あり 日々変動する
元本保証の有無 元本保証なし 外貨ベースで元本保証あり
換金性 いつでも解約可能 いつでも払出し可能
倒産時の資産管理 証券会社の資産と分別管理されるため、倒産時でも資産は保護される 預金保険制度の対象外のため、資産は保護されない
為替手数料 外貨預金よりも低めに設定されていることが多い MMFよりも高めに設定されていることが多い

MMFとMRFの違い

MMFと同じような公社債投資信託として、「MRF」と呼ばれる商品があります。MRFは「マネー・リザーブ・ファンド」の頭文字を取ったものでMMFと基本的に投資対象は同じです。

しかし、MMFは証券口座を開設した後に都度購入する必要があるのに対して、MRFは証券口座への入金を済ませると自動的に運用されるといった違いがあります。また、MRFのほうがMMFより短期(残存期間の短い)かつ信用リスクを抑えた債券やCP、CDなどで運用されているといった点も違いです。

証券会社の中には、株式や投資信託などを購入するときにMRFを自動的に売却して買付代金に充当し、逆に売却したときは売却代金で自動的にMRFを購入するといった、いわば「投資資金の置き場所」として活用できるところもあります。

MMF MRF
名称 Money Market Fund Money Reserve Fund
投資先 国外 国内・国外
買い付けの有無 自己の判断による買い付け 自動で運用される
手数料の負担 あり(会社により解約手数料や為替手数料が発生) なし

MMFと一般的な投資信託との違い

MMFは流動性を確保しつつ安定した収益を追求する金融商品です。そのため、短期の国債や地方債、社債などを投資対象とし、最低1,000〜1万円程度から1円単位で購入・売却できるようになっています。ただし、外貨で運用されるため、為替の動きが損益に影響する可能性があります。

一方、一般的な投資信託は株・債券・不動産など、銘柄によって投資対象が異なるため、リスク・リターンは銘柄によって大きな違いがあります。また、最低購入額はファンドごとに基準価額は違いますが一般的に1口1万円前後からで、投資対象によって日本円で運用するものと外貨で運用するものに分かれているのも特徴です。

なお、松井証券では、MMFは1万円以上1円単位で購入可能です。

【関連ページ】松井証券の米ドルMMF

MMFのメリットとデメリット

MMFにはほかの金融商品と同様に、メリットとデメリットがあります。投資すべきか判断する際の材料にしてください。

MMFのメリット

MMFは株式と比べて価格変動のリスクが低い公社債などで運用されているため、大きなリターンを得ることは難しいものの、安定したリターンを期待できます。

また、投資信託の分配金は元本に再投資されるため、利息が利息を生み出す「複利効果」を得やすくなる点もメリットです。外貨預金は元本に対してのみ利息が発生する「単利」で運用される商品が少なくないため、外貨預金よりもMMFの方が利回りは高くなる傾向があります。

さらにMMFを円高のときに購入し、円安になってから売却すれば為替差益を狙うことも可能です。例えば1ドル=140円のときに140万円分(1万ドル分)MMFを購入したとしましょう。これを、1ドル=150円のときに売却すれば、1万ドル×150円=150万円になり、差額の10万円が利益となります。

そのほかに、いつでも解約できる点もMMFのメリットといえるでしょう。松井証券では株式を売却するときや外貨預金を解約するときのように手数料が発生しないため、資金が必要になったタイミングで手数料を気にせず解約し、お金を引き出せます。

【関連ページ】大切だけど忘れがちな存在…「複利効果」

MMFのデメリット

MMFは投資信託の一種であるため、元本が保証されている商品ではありません。例えば市場金利が上昇すると、ファンドに組み込まれている債券の価格が下落して、MMFの価格が下落する可能性があります。また、円安時にMMFを購入し、その後円高が進んでから売却した場合には、為替差損を被るリスクもあるでしょう。あるいは、ファンドに組み込まれている公社債の発行体が財政難に直面し、債務不履行に陥るリスクも考えられます。比較的リスクの低い商品とはいわれているものの、損失を出す可能性が全くないわけではありません。

MMFと外貨預金に向いている人の特徴

ここでは、MMFと外貨預金、それぞれに向いている人の特徴を紹介します。許容できるリスクや求めるリターンなどに合わせて、どちらに投資するかを決めましょう。

MMFが向いている人

MMFは元本割れのリスクこそあるものの、複利効果が得られるため、相場次第で外貨預金よりも高い利回りに期待できます。また、為替手数料も外貨預金より低く抑えられるので、運用効率の高さを重視する人に向いているでしょう。

外貨預金が向いている人

外貨預金は、外貨ベースでは元本が保証され、リスクが抑えられている点がMMFとの大きな違いです。MMFと比べれば利回りは低くなりやすい傾向がありますが、マイナス金利(2024年1月段階)の日本円で預金をするよりは多くの利益を得られる可能性があります。大きなリスクを冒したくはないものの、少しでも資産を増やしていきたいと考えている人に向いているでしょう。

MMFとは流動性や安全性が魅力の金融商品

MMFは公社債や短期金融商品に投資する、外国投資信託です。少額で始められる点、流動性の高さなどが魅力の商品といえます。金利変動リスク・信用リスク・為替リスクなど、一定のリスクは存在するため、元本は保証されていません。しかし、ある程度安定した運用が可能であるため、なるべくリスクを抑えて投資を始めたい初心者や、安定的な資産にも分散投資しておきたい人は投資対象として検討してみるとよいでしょう。

<監修者>

川口一晃

<プロフィール>

1986 年銀行系証券会社に入社。銀行系投資顧問(現・三菱UFJ国際投信)や三洋投信で11年間ファンドマネージャーを務める。2004年10月に独立してオフィスKAZ 代表取締役に就任。テレビ番組やラジオなどメディア出演は多数。現在、FMナック5「お金の世界の歩き方」でパーソナリティを務める。「SMAP×SMAP」では木村拓哉氏とも対談。著書も多数。また、テレビ朝日のドラマ「アイムホーム」をはじめ、フジテレビの月9のドラマの監修も担当。行動経済学学会会員。

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