リート(REIT)とは?種類や仕組み、選ぶときのポイント

2024/2/29

不動産投資に興味を持ち、情報収集している人であれば「リート(REIT)」という言葉を一度は聞いたことがあるかもしれません。リートは不動産投資の手段として一般的になりつつありますが、仕組みやメリットなどを知りたいと感じている人も多いのではないでしょうか。

本記事ではリート(REIT)の基本的な特徴や、銘柄の選び方などを詳しく解説します。リートに投資すべきか迷っている人は、ぜひ参考にしてください。

リート(REIT)とは?

リート(REIT)は、投資家から集めた資金で不動産への投資を行い、そこから得られた利益を投資家に還元する金融商品です。REITは「Real Estate Investment Trust」の略称で、「不動産投資信託」と呼ばれることもあります。

リートは米国で1990年代から一般的になっていった商品です。日本で売買されているリートは、米国で流通しているものと区別して「J-REIT」と呼ばれています。

リートは株式と同じように証券取引所で売買されており、証券会社を通じて取引可能です。

リート(REIT)の仕組みと種類

リートではどのように利益を得られるのか、またどのような種類のリートに投資できるのかなどを解説します。

リートの仕組み

リートでは、不動産投資法人が投資証券を発行し、それを投資家が購入します。これにより投資家から集めた資金で不動産を運用し、賃料収入や売買益を投資家に分配するのがリートの基本的な仕組みです。

不動産投資法人は、直接不動産運用業務を行うことは禁止されているため、不動産の取得・運用・売却に関しては「資産運用会社」 、顧客から預かった資産を管理するのは「資産保管会社」といったように、実際の運用については外部委託が義務付けられています。

また一般的な株式よりも、配当金や分配金を出しやすい仕組みになっているのもREITの特徴です。株式会社の場合は、企業活動を通じて得た利益から法人税を支払い、その残りを配当金や内部留保、設備投資などに振り分けます。

一方、不動産投資法人は収益の90%超を分配するといった条件を満たすことで、実質的に法人税がかからない仕組みになっています。そのため、株式と比べると安定して高い分配金を期待できるわけです。

リートの種類

リートは「単一用途特化型リート」と「複数用途型リート」の2種類に分けられます。単一用途特化型リートは「商業施設特化型」「住居特化型」のように特定の用途の不動産に投資するリートです。単一用途に限定しているため、投資した不動産の業態から受ける影響が大きく、値動きも大きくなる傾向があります。

複数用途型リートは、複数の用途の不動産に投資するリートです。「マンションとオフィスビル」「物流施設とホテル」のように複数の業態を対象にしており、分散投資できるメリットがあります。

複数用途型リートはさらに、2種類の用途を組み合わせて投資する「複合型REIT」と、3種類以上の用途を組み合わせる「総合型REIT」に分けられます。

リート(REIT)のメリットとデメリット

リートについて、一般的な不動産投資と比較した場合のメリットや、投資する上でのデメリットなどを解説します。

メリット

リートは証券取引所を通じて取引されているため、株式と同じようにリアルタイムで売買ができます。実物の不動産を持っているときと比べて、売りたいときにすぐに買い手が現れないというリスクが抑えられる点がメリットです。

一般的な不動産投資よりもハードルが低い点もメリットといえるでしょう。現物の不動産に投資する場合は、投資対象の物件探しや物件の維持・管理に多くの手間とコストがかかります。収益をうまく上げるためには専門知識が必要不可欠であるため、初心者にとってはとくに難しく感じられるでしょう。

一方、リートは投資のプロが不動産の運用や管理を行うため、知識や経験がなくても取り組むことが容易です。さらに数万円程度から始められるため、一般的に数百〜数千万円単位での初期投資が必要な不動産投資と比べて少額から手軽に始められる点も魅力といえるでしょう。

また、リート指数に連動する投資信託に投資することもできます。個々のリートへ直接投資するよりも手軽にリート市場全体に分散投資が可能で、海外リートにも投資できるため、市場規模の大きい海外不動産市場に投資ができることも魅力です。松井証券では100円から投資信託の積立投資が可能です。

デメリット

リートは、現物不動産への投資と同様に、地震や火災などの自然災害によって、不動産の価値が下がり、収益が減るリスクがあります。また、需給バランス次第で価格が日々変動し短期間で大きく価格が変動したり、元本割れしたりするリスクも少なくありません。不動産投資法人の倒産や上場廃止によって金融商品としての価値が無くなり、取引が困難になるリスクもあります。

また、日本国内のリート市場は、海外と比較すると規模が小さいため、上場しているリート銘柄だけでは投資先が限られる点もデメリットといえるでしょう。

さらにリートの分配金は「配当控除」が受けられない点にも注意が必要です。通常、国内株式の配当は、企業が法人税を支払ったあとの利益を株主に分配します。この際にさらに株主に所得税がかかると、利益が二重に課税されてしまう問題を解決するために生まれたのが「配当控除」です。

国内株式の場合、総合課税で確定申告する際に、受け取った配当の一定割合に相当する額を税額から差し引くことができます。例えば、50万円の配当を受け取り、控除率が10%の場合、5万円を所得税から差し引くことが可能です。しかし、リートの分配金にはこの配当控除が適用されないため、その点に留意する必要があります。

リートを選ぶときのポイント

リートの投資対象を選ぶときは収益性や安定性などを考慮して選びましょう。

利回りの高さ

リートにおける「利回り」とは、投資家が1年間に受け取る分配金額を投資額で割ったもので、投資に対するリターンの大きさを示す重要な指標です。

一般的にリートは株式よりも利回りが高くなる傾向がありますが、銘柄によって大きな差があるため、より多くの収益を得たい場合には利回りの高い銘柄を選ぶようにしましょう。

ただし、利回りが高いことは、同時にリスクも高い可能性があります。過去の分配金の推移や格付けなども確認した上で投資するか判断しましょう。

格付けの良さ

格付けとは、格付け機関が第三者の目線で投資法人の財務状況や運用状況を評価したものです。通常、AAA(信用力が高い)からD(デフォルトが疑われる)などのアルファベットで表され、格付けが高いほど債務不履行になるリスクが低いとされています。リートを選ぶ際は、格付けを参考にしながら、各銘柄のリスクや信用力を見極めることが大切です。なお、基本的にAA格以上の銘柄は、日銀の買い入れ対象となっているため、価格が安定するという見方をすることも可能です。

NAV倍率の低さ

リートを選ぶ際はNAV(Net Asset Value)倍率も確認しましょう。NAV倍率とは、リートの1口当たりの価格が1口当たりの純資産額の何倍かを示す指標で、リートの価格が割安か割高かを判断するための重要な指標です。

NAV倍率が低いほど、価格が割安な銘柄とされ、値上がりによる利益を得やすくなります。一般的に、NAV倍率が1倍以上の場合、割高と見られます。

時価総額の大きさ

リートにおける時価総額とは、特定の不動産投資法人が発行しているすべての投資口(投資家が投資法人に出資する単位)を合計したものです。時価総額が大きい銘柄は、投資している人が多いため流動性が高く、安定した値動きがあるうえ、倒産や上場廃止のリスクも低いと考えられます。
時価総額が高いからといって必ずしも安全に運用できるとは限りませんが、銘柄を選ぶ際の一つの目安として活用できるでしょう。

リートとは初心者でも取り組みやすい不動産投資の一つ

リートは、証券会社を通じて株式と同じように取引できる金融商品です。現物不動産投資に比べて少額かつ手軽に取り組めるため、専門知識のない初心者でも始めやすいでしょう。

ただし、価格変動や上場廃止などのリスクが存在するため、銘柄は慎重に選びましょう。利回りだけでなく、格付けや時価総額、NAV倍率などの各種指標を参考にしながら、総合的な視点で銘柄を選ぶことが大切です。

リスクを抑えてリートに投資したい場合には、様々な用途の不動産に投資する総合型リートや複数の銘柄に分散投資できるREIT投資信託に投資してみるのも良いでしょう。

【関連リンク】はじめてのREIT(不動産投資信託)入門

<監修者>

川口一晃

<プロフィール>

1986年銀行系証券会社に入社。銀行系投資顧問(現・三菱UFJ国際投信)や三洋投信で11年間ファンドマネージャーを務める。2004年10月に独立してオフィスKAZ 代表取締役に就任。テレビ番組やラジオなどメディア出演は多数。現在、FMナック5「お金の世界の歩き方」でパーソナリティを務める。「SMAP×SMAP」では木村拓哉氏とも対談。著書も多数。また、テレビ朝日のドラマ「アイムホーム」をはじめ、フジテレビの月9のドラマの監修も担当。行動経済学学会会員。

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