ユーロ/スイスフラン
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通貨ペアの特徴
ユーロ/スイスは、EUの通貨である「ユーロ」とスイスの通貨である「スイスフラン」の組み合わせです。スイスは欧州中央に位置しており、EUには所属していないものの対EU貿易は輸出入ともに大きな割合を占めています。また金融立国を目指すスイスは欧州域内への投資活動を活発に行うなど、EUとの経済的な結びつきは非常に強いといえます。そのためユーロとスイスフランの連動性が高く、レンジ相場になりやすいという特徴があります。
2015年にかけて、スイスの中央銀行はスイスフラン高を防ぐために為替介入によりユーロの買い支えをしていました。2015年1月にユーロ買いの停止を宣言したためユーロ/スイスが急落するスイスショックが発生しましたが、以降は明示的な為替介入は行われておらず、レンジ推移が続いています。
魅力
ユーロ/スイスの魅力はレンジ相場なりやすい傾向があることから、事前に設定したレンジ内で新規注文と決済注文を繰り返す自動売買に向いているという点に加えて、両通貨の政策金利差から得られるスワップポイントでも利益を出すことが期待できるという点があります。2024年10月時点でEUの政策金利が3.4%、スイスの政策金利が1.0%と金利差が2.4%になっており、同じくレンジ相場になりやすい豪ドル/NZドル(金利差0.4%)や米ドル/カナダドル(金利差1.25%)にくらべて高水準のスワップポイントを享受できるといえます。
リスク・取引のポイント
スイスショック以降、ユーロ/スイスは0.93スイスフラン~1.20スイスフランで推移をしていますが、取引におけるリスクはレンジ相場を上下のどちらかに抜ける可能性があることです。特に英国のEU離脱やロシアによるウクライナ侵攻など欧州地域周辺での地政学的動きによって情勢が不安定になるとユーロが下落するとともに、永世中立国であるスイスへの信用から「有事のスイス買い」と呼ばれる現象が顕著になりユーロ/スイスのレンジが下に抜ける可能性には注意が必要です。
注目指標・イベント
実質GDP
国内で一定期間内に生産されたモノやサービスの付加価値の合計額です。
ユーロ圏のほか、ドイツやフランスのGDPも注目されています。スイスでは、特に輸出依存度が高いという特徴があります。
ECB政策金利
ユーロ圏の金融政策を決定する会合です。約6週間に1回のペースで開催されています。
SNB政策金利
スイス国立銀行の金利政策。SNBは、年4回の政策会合(3月、6月、9月、12月)で金利を決定し、主に欧州中央銀行(ECB)や世界的な経済動向に影響されます。
HICP(消費者物価指数)
ユーロ圏(EUR)は内需と輸出のバランス型経済で、個人消費と製造業の輸出が経済成長を支えます。インフレ指標であるHICPがECBの金融政策に影響を与え、物価安定と景気調整が行われます。
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直近の値動き
2022年以降ロシアによるウクライナ侵攻で欧州地域を中心に情勢不安が広がったため「ユーロ安・スイス高」が顕著にみられました。この動きは2022年9月ごろまで続きましたが以降0.93スイスフラン~1.00スイスフランをコアレンジとしながら下降トレンドと上昇トレンドを繰り返しています。