上昇が続く豪ドル/NZドル 今後の見通しと対策は? 

※記事掲載日:2025年12月17日

2025年7月から、FX自動売買で人気の通貨ペアである「豪ドル/NZドル」のレートが上昇し、当社で紹介している自動売買設定の上限レンジを超過する勢いで推移しています。
そこで、本記事では松井証券マーケットアナリストの鈴木翔と、自動売買のインフルエンサーとして当社で紹介している為替研究所さん、サトウカズオさんに豪ドル/NZドルの今後の見通しと対策をお聞きしました。
どうしたらいいか分からないという方は、ぜひ参考にしてみてください。

豪ドル/NZドルの今後の見通し

ニュージーランド経済の不安定さが残り、今後も緩やかな上昇基調を維持すると予想

オーストラリアでは、インフレ上振れ懸念が強まり、来年5月以降の利上げ再開が徐々に意識され始めています。こうした動きは豪ドルの支えとなるでしょう。ニュージーランドも、追加利下げの可能性を残しつつも、金融緩和サイクル終了が近いとの見方が優勢となっており、NZドルの支えとなっています。
2025年4月以降、ニュージーランド経済の低迷が深刻化していることを背景に豪ドル高・NZドル安が進行し、2014年から続いたレンジを上抜けましたが、足元はニュージーランド経済が回復傾向にあることから、一方向の豪ドル高が続く展開には一旦歯止めがかかる見込みです。ただし、オーストラリアと比べるとニュージーランドの経済は不安定さが残るとみられ、NZドルが豪ドルに対して弱含みやすい状況は変わらず、豪ドル/NZドルは今後も緩やかな上昇基調を維持する可能性が高いとみています。

鈴木翔ならどう対処する?

今後も緩やかな上昇が続くという見通しの下、1.10~1.19のレンジで買いの設定をします。
レンジ上限の根拠は、2011年3月高値(1.3793)と2020年3月安値(0.9993)の半値戻しの水準が1.1893となり、上値のメドとして意識されやすい点にあります。
レンジ下限の根拠は、2025年11月高値(1.1636)に今年2月~4月の下落率(▲4.68%)を当てはめると、1.1089となるためです。
米株式市場の調整などでリスクオフとなった場合、豪ドル/NZドルは下落することが想定されます。今後も今年2~4月と同程度の下落は十分考えられるため、1.10をレンジの下限としました。

記事を見ている方はどうしたらよさそうか?

2014年からのレンジを上抜けたことを受け、今後新たなレンジが形成されるという見通しの下、1.10~1.19のレンジでの設定を提案しました。しかし、現時点で明確なレンジ上抜けには至っていません。
今後のオーストラリア・ニュージーランド経済の動向次第では、今回のレンジ上抜けが「ダマシ」となり、再び2014年以降のレンジに戻る可能性も考えられます。そのため、過去のレンジ内で自動売買の設定をしており、資金に余裕のある方は、未決済ポジションを保持したまま、しばらく様子を見るのも一つの選択肢だと考えます。
ただし、今後再び明確に1.15を上回ってきた場合は、ポジションを決済したうえで、新たなレンジに合わせた設定を検討されるのがよいかと思います。

  • 記事執筆日:2025年12月2日

鈴木翔

松井証券 マーケットアナリスト
ディーラー経験ならではの先見性と客観性で、あらゆるマーケット参加者の心理から相場動向を分析

略歴
地方銀行、ネット銀行の運用部門で国内外の債券や株式などのディーラーを経験。松井証券に入社後はディーラーの経験を活かし、マーケットアナリストとして金利動向を踏まえた市場分析や、機関投資家・個人投資家などの投資家動向を組み合わせたマーケット情報などを提供している。

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