RCIとは?仕組みや特徴、計算方法やトレード手法と注意点
2024/8/9
FX取引を始めたばかりの方は、どのテクニカル指標を使うべきか悩んでしまうことも多いでしょう。RCIはFXでよく用いられるテクニカル指標の一つで、相場のトレンドを視覚的に捉えやすくするための指標です。
この記事では、RCIの基本的な仕組みや特徴、計算方法、そして実際のトレードに役立つ手法について詳しく解説します。初心者が注意すべきポイントも紹介しますので、トレードのスキルアップを目指す方やこれからFXを始める方は参考にしてください。
RCIとは?
RCIは「Rank Correlation Index」の略で、順位相関係数のことです。主に相場の過熱感を測る指標の一つで、一定期間内の日付と価格をそれぞれ順位づけし、その相関関係を数値化して表示します。
RCIは「-100%」から「+100%」の範囲でラインを表示するのが特徴です。価格が上昇を続ければ+100%に近づき、下落を続ければ-100%に近づいていきます。+80%以上が「買われすぎ」、-80%以下が「売られすぎ」の目安です。
なお、RCIとよく似た指標に「RSI(相対力指数)」があります。RSIもRCIと同様に相場の過熱感を測る「オシレーター系指標」の一つですが、RSIは一定期間内の価格の変動幅を基に計算するので、価格に合わせて細かく変動する傾向があります。
一方、RCIは価格の変動幅ではなく、日付と価格の順位を基に計算するため、緩やかな動きをみせることが多く、値幅が小さい時でも買いと売りのどちらが優勢なのか判断しやすいのが特徴です。
RCIの計算方法
ここでは、RCIの計算方法を理解した上で、相場分析に活かす方法を考えてみましょう。
RCIの計算式
RCIは日付の順位と、価格の順位の相関関係を下記の計算式で指数化したものです。
RCI=(1-(6×d)÷(nの3乗-n))×100
d:日付の順位と価格の順位の差を2乗して合計した数値
n:期間
例えば、任意の9日間を対象としてRCIを計算する場合、1日目〜9日目の価格に対して高い順に1位〜9位までの順位を付け、日付に対しても直近の日付から順に1位〜9位までの順位を付け、これらをもとに指数化します。
ここで、相場が上昇し続けた場合は、日付の順位と価格の順位は完全な相関関係にあるため、RCIは「+100%」です。
RCIの計算で判断できること
RCIを計算し相関関係を見ることで、相場の過熱感を判断できます。例えば、+100%に近づいていくほど買いが優勢、-100%に近づくと売りが優勢になっていると考えられるでしょう。
また、RCIからはトレンドを判断も可能です。RCIが中央の0~+100%に位置していれば上昇トレンド、0~-100%に位置していれば下降トレンドであると考えられます。
- 相場が過熱しているか、上昇トレンドへ加熱しているか、下落トレンドへ加熱しているかが判断できる
RCIのパラメーター設定値は?
パラメーター設定値とは、テクニカル指標の算定基準として使用する数値のことです。特別な決まりはありませんが、RCIでは、短期の分析なら9(日間)、中期は26(日間)、長期は52(日間)がよく利用されています。
RCIを使ったトレード手法
RCIは実際の相場でどのように活用できるのか、具体的なトレードでの使い方を2つ紹介します。
RCIの動きを見て判断する手法
一般的によく用いられるのは、RCIが±80%のラインを超え、再び逆方向に動き始めたタイミングでエントリーする方法です。+80%を超えている場合は「買われすぎ」と判断し、売りでエントリーします。反対に、-80%を超えている場合は「売られすぎ」と判断し、買いでエントリーすると利益を狙える可能性があるでしょう。
長期のRCIと重ねて使う手法
RCIは単体で使うこともできますが、期間の異なるRCIと重ねて使うこともできます。例えば、短期のRCIが長期のRCIに対して下から上に突き抜けた場合(ゴールデンクロス)に「買い」でエントリーする、反対に短期のRCIが長期のRCIに対して上から下に突き抜けた場合(デットクロス)に「売り」でエントリーするといった使い方が代表的です。
ただし、ゴールデンクロスやデットクロスは頻繁に発生することもあるため、-100%~-50%でゴールデンクロスが発生した場合や、+50%~+100%でデットクロスが発生した場合に、エントリーすると利益を狙える確率が高くなるかもしれません。
RCIと相性の良いテクニカル指標
移動平均線はRCIと相性の良いテクニカル指標の一つです。移動平均線とは、一定期間の価格の平均値を結んだ線のことで、上向きの場合は上昇トレンド、下向きの場合は下降トレンドと判断できます。このときローソク足(一定期間の始値・終値・高値・安値を1本のローソクの形で表したもの)が移動平均線より上にあれば強い上昇トレンド、下にあれば下降トレンドが強いと判断が可能です。
移動平均線とRCIの両方で上昇トレンド発生のサインが出ている場合は、買いでエントリーすると利益を狙える可能性があります。例えば、長期の移動平均線が上向きかつローソク足よりも下にあり、RCIも0~-100%の範囲にあるような状況があてはまります。この方法は数日から週間を目安にして売買をする「スイングトレード」で効果を発揮しやすい方法です。
また、ボリンジャーバンドとRCIを併用する方法もあります。ボリンジャーバンドとは、移動平均線とその上下に標準偏差から算出した線を組み合わせたテクニカル指標です。標準偏差の線は±3σの6本の線があり、ローソク足が±2σに沿うように推移するケースを「バンドウォーク」と呼びます。バンドウォークは強いトレンドが発生していることを示唆します。
バンドウォークの発生後、RCIが買われすぎ・売られすぎのサインを示したときは、エントリーに適したタイミングです。例えば、バンドウォークによって下降トレンドが発生していることを確認した後、RCIが+80%以上になった場合は、一時的に買いが優勢になっていると考えられるため、売りでエントリーする(戻り売り)チャンスです。
RCIを使うときの注意点
RCIは決して万能なテクニカル指標ではなく、相場によって向き・不向きがあります。売買サイン通りに取引しても利益を得られないことも少なくないため、注意が必要です。
強いトレンドが発生すると売買サインが機能しにくくなる
RCIには、強いトレンドが発生すると売買サインが機能しにくくなる側面があります。というのも、価格が上昇や下落を続けた場合、RCIは+100%または-100%に近い位置で横ばいになるからです。
言い換えれば、RCIが天井や底に張り付いている場合は、強いトレンドが発生していると読み取ることができます。これを利用して、順張りでエントリーするのも一つの手です。順張りとは、相場の流れに沿ってエントリーする方法のことで、上昇トレンドの場合は「買い」、下降トレンドの場合は「売り」でエントリーします。
ダマシが発生するおそれがある
RCIに限った話ではありませんが、テクニカル分析には「ダマシ」がつきものです。ダマシとは、テクニカル分析で導いた結果と逆の方向に価格が動くことを指します。FXではさまざまな要因で価格が変動するため、テクニカル分析で読み取れるサインが正しいとは限りません。
例えばRCIが+80%を超えたからといってすぐに売りでエントリーをすると、価格が上昇し続け損失を出してしまうこともあります。また、RCIは価格の変動幅を考慮しないテクニカル指標なので、急騰や急落が発生すると、反応が遅くなったりだましが発生しやすくなったりします。
ダマシを完全に防ぐ方法はありませんが、1つのテクニカル指標だけに頼らず、ほかのテクニカル指標なども参考にしてより多くの根拠を確認してからエントリーが大切です。
「RCIの仕組みを理解して賢くトレードしよう」
RCI(Rank Correlation Index)は、一定期間内の日付と価格を順位づけし、その相関関係を数値化して表示する指標です。一般的なオシレーター指標と同様に、相場の過熱感を測るだけではなく、トレンドを知ることもできます。
RCIが±80%以上になったときやゴールデンクロス・デットクロスが発生したときが、売買のサインです。ただし、ダマシが発生する可能性は十分あるので、ほかのテクニカル指標も活用すれば精度の高い分析ができる可能性があります。