FXのテクニカル分析とは?代表的な6つの分析指標と注意点

2022/4/22

FXで利益をあげるためには、相場分析が欠かせません。しかしFXで取引の経験がない場合、何をどのように分析すればよいのか見当もつかないという方は多いのではないでしょうか。

相場状況を読むうえで、テクニカル分析は有効な手法です。聞き慣れない言葉も多いかもしれませんが、マスターすれば実績に基づいた再現性の高いトレードが可能になります。本記事ではテクニカル分析がどのような手法なのか、主要な指標や注意点を含めて説明していきます。

そもそもFXとは?という方はこちらをご覧ください

FXのテクニカル分析とは

テクニカル分析を使うと、勘や運に頼らず相場を客観的に分析ができます。FXのテクニカル分析の特徴や、ほかの分析手法との違いについて説明します。

FXのテクニカル分析は過去の価格推移から将来の値動きを予測する方法

為替相場は過去と将来の値動きが完全に合致することはありません。しかし、似たような値動きを示すことはあります。たとえば過去に反発した価格帯で再度反発したり、大きく下げた後に元の価格まで徐々に戻ったりする場合があります。

テクニカル分析は為替の値動きをグラフ化した「チャート」をもとに、値動きの傾向やパターンを把握して、将来の価格を予想していく方法です。

価格には金融政策の方向性や政治的なイベント、需給関係、心理的な要素など、あらゆるものが影響します。テクニカル分析ではこうした様々な情報を含めた分析が可能です。

世界のFXチャートの動き

テクニカル分析とファンダメンタルズ分析の違い

ファンダメンタルズ分析は、経済状況や金融政策、政治などを分析して相場を予測する方法です。具体的にはGDPや雇用統計のような経済指標や、金融政策、要人発言などを手がかりに分析を行います。長期的な相場を予想するのに有効ですが、どの経済指標がどれだけの影響を与えるのか判断が難しく、どの水準で売買すればよいのか、売買タイミングを具体的に計るものとしては難しいです。

完璧な予測ができる分析手法はないため、テクニカル分析とファンダメンタルズ分析の両方を活用するのが理想的ではあります。しかし、初心者にはテクニカル分析のほうがおすすめです。チャートについてはプロの投資家だけではなく誰もが最新の情報を入手できるため、対等に近い条件で分析が可能なためです。

また、テクニカル分析では短期的な値動きの傾向が掴めるため、1pips単位の細かな値動きを分析することも可能です。チャートだけに集中して分析できるのも初心者にとってはメリットといえるでしょう。

スマホからFXチャートが浮かび上がる図

FXにおける代表的なテクニカル分析例

テクニカル分析で用いられる「テクニカル指標」には、相場の流れや方向性がわかる「トレンド系」と買われすぎ・売られすぎがわかる「オシレーター系」の2種類があります。

トレンド系

・移動平均線

過去の一定期間の終値を平均した数値をつなぎ合わせたグラフです。相場の大まかな流れを掴むことができ、右肩上がりになっていれば「上昇トレンド」、右肩下がりの場合は「下降トレンド」と判断されます。

平均値を計算する際の日数に応じて短期移動線・中期移動線・長期移動線の3種類があり、25日・75日・100日といった単位で区切るケースが一般的です。短期の平均線がより長期の平均線を下から上に越えると買いのサイン(ゴールデンクロス)、上から下に割り込むと売りのサイン(デッドクロス)とみなされます。

・一目均衡表(いちもくきんこうひょう)

基準線、転換線、遅行線、雲の四つの要素から構成される表です。ローソク足を含めたそれぞれの位置関係によって、買いと売りのどちらが優勢なのかを測ることができます。

一般的に雲が厚いほど相場が一定方向に傾いていることを表しており、薄くなると転換のタイミングといわれています。特に、雲のねじれの位置は相場の流れが変わることが多く、『変化日』になるとも言われています。また転換線が基準線を上抜ける、ローソク足が雲を上抜ける、遅行線がローソク足を上抜けるという三つの条件が揃ったケースは「三役好転」といわれ、最も買いに適したポイントです。反対方向に三つの条件が揃うと「三役逆転」となり、売りに適したタイミングとされています。

・ボリンジャーバンド

データが平均値の周辺でどの程度ばらついているかを表す指標を、標準偏差といいます。ボリンジャーバンドは、移動平均線の上下に標準偏差に基づいた線を引き、価格の大半がこの上下の線で挟まれた範囲内に収まるという統計学的な理論に基づいて分析を行うテクニカル指標です。下限に触れるほど価格が下がると上昇に転じる傾向が強く買いのサイン、上限に触れるほど価格が上昇すれば下落に転じやすく売りのサインとされています。

オシレーター系

・RSI(アールエスアイ)

RSIは日本語で「相対力指数」とよばれます。直近の一定期間における為替の上昇幅と下落幅の累計を合算し、上昇幅の累計が値動き全体の何パーセントを示しているかを指数化したものです。つまり、RSIの数値が高いほど、上昇傾向が強いと判断できます。一般的に70%を超えると買われすぎのため売り注文を、逆に30%以下の場合は売られすぎのため買い注文を入れる、といった使い方をします。

・MACD(マックディー)

MACDは移動平均を発展させたテクニカル指標です。そこで使われる移動平均は直近のデータに比重をかけた移動平均で『指数平滑移動平均』と呼ばれています。一般的に、12日間の指数平滑移動平均と26日間の指数平滑移動平均の差を表す「MACDライン」と、MACDライン自体の9日間の移動平均線で表される「シグナル線」を使って分析を行います。 MACDラインがシグナル線を下から上に抜けた場合は買いのタイミング(ゴールデンクロス)、上から下に抜けた場合は売りのタイミング(デッドクロス)とみなされます。

・ストキャスティクス

一定期間における最高値と最安値の幅の中で、直近の終値が相対的にどの位置にあるのかを表すテクニカル指標です。買われすぎ・売られすぎを判断できる点で、RSIと似ています。80%以上は買われすぎのため売りのサイン、20%以下だと売られすぎのため買いのサインとされています。

松井証券では、今回紹介したテクニカル指標を利用できる、最新の高機能チャートを備えたトレーディングツールを用意しています。

FXにおけるテクニカル分析の注意点

テクニカル分析は相場を理解するうえで有効な手法ですが、100%正確な予測ができるものではありません。使いこなすために押さえておくべき注意点について説明します。

テクニカル分析で読み取れるシグナルは絶対的に正しいわけではない

テクニカル分析に基づいた取引には再現性がありますが、推測通りに価格が推移するとは限りません。たとえば上昇するポイントにきたと考えて買うと予想に反して下落したり、流れが変わって価格上昇に転じると思いきや一定の価格帯を上下し続けたりするケースがあります。このようにテクニカル指標が売買サインを示した後に思惑と異なる方向に価格が推移する現象は「だまし」とよばれます。

「だまし」対策としては複数のテクニカル指標を組み合わせて判断することが有効です。
指標分析には予測精度の高くなる相場と精度が低くなりやすい相場があるため、複数を組み合わせることで精度の高い予測ができるようになります。

FXチャートを複数のグラフを用いて分析している図

テクニカル分析は突発的な事象に対応できない

為替市場では、突発的なニュース、事前予想と大きく乖離した経済指標の結果、有事などにより急激に相場が変動することがあります。テクニカル分析は、過去の値動きをもとに将来の価格を占う分析手法のため、突発的な事象が起きると対応できないケースがあります。

売買のタイミングを決める際には、経済や政治に関するニュースを確認することが大切です。もし分析通りに値動きせずに損失が出てしまった場合には、素早く損切りをする判断も必要となるでしょう。

FX初心者はテクニカル分析を身につけておくと有利

徐々に伸びている棒グラフを示した図

本記事ではテクニカル分析の概要や、代表的な手法、分析するうえでの注意点について説明しました。

初心者の場合、やみくもに売買をして損失を出してしまうことがあります。経験がなく、何を基準にトレードを行えばいいのかわからない人ほど、テクニカル分析はおすすめです。テクニカル分析は過去の値動きから将来の傾向を予測するため、根拠を持った取引ができるようになります。

テクニカル指標はまずは代表的なものに絞って学習するとよいでしょう。一見難しく感じられるかもしれませんが、基本的な仕組みを理解すれば今日の取引からすぐに利用することができます。

ただし、テクニカル分析も万能ではないため注意が必要です。「だまし」や突発的な事象が発生し、理論通りに相場が動かないこともあります。複数のテクニカル指標の併用や、素早く損切りするなど柔軟に対処していきましょう。

<監修者>

川口一晃

<プロフィール>

1986年銀行系証券会社に入社。銀行系投資顧問(現・三菱UFJ国際投信)や三洋投信で11年間ファンドマネージャーを務める。2004年10月に独立してオフィスKAZ代表取締役に就任。テレビ番組やラジオなどメディア出演は多数。現在、FMナック5「お金の世界の歩き方」でパーソナリティを務める。「SMAP×SMAP」では木村拓哉氏とも対談。著書も多数。また、テレビ朝日のドラマ「アイムホーム」をはじめ、フジテレビの月9のドラマの監修も担当。行動経済学学会会員。

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