NISAは複数の口座を開設できる?口座を新しく作るときの注意点
2023/9/28
2024/2/29(更新)
NISAには成長投資枠とつみたて投資枠がありますが、複数の口座を保有できるのかややわかりづらいと感じている人もいるのではないでしょうか。
また、投資で得た売却益や分配益が非課税、というNISA制度のメリットを活かすために、複数の金融機関でNISA口座を申し込みたいと考えている人もいるかもしれません。そこで本記事では、NISA口座は複数開設できるのかを詳しく解説します。
NISA口座を複数開設することはできる?
NISA口座は複数開設できるのか、実際に複数口座を申し込むとどうなるのかを解説します。
NISAは1人1口座しか開設できない
NISA口座は1人1口座までと決められているため、複数口座の開設はできません。
NISA口座の開設時は金融機関だけではなく、最終的に税務署のチェックを受けることになっています。別々の金融機関でそれぞれNISA口座の開設を申し込んだ場合でも、税務署から非課税口座として認められるのは1つの口座のみです。NISA口座として認められなかった場合は「非課税適用確認書の交付を行わない旨の通知書」が送られてきます。
新NISAでは成長投資枠とつみたて投資枠の併用が可能ですが、NISA口座を2つの金融機関で開設し、成長投資枠をA証券で、つみたて投資枠をB証券で利用する、といった使い分けはできません。
NISA口座を開設する金融機関は、1年に1回変更が可能です。しかしその年にNISA口座で買付けをしていた場合、当年中は変更できないという制約があるほか、手続きに時間がかかる可能性もあるので、口座開設時にどの証券会社にするか慎重に検討することが望ましいでしょう。
なお、NISA口座ではない、一般口座や特定口座のような課税口座は複数保有できますので、用途に応じて使い分けるのも1つの方法です。
複数の金融機関でNISA口座開設の申し込みをするとどうなる?
複数の金融機関でNISA口座の開設を申し込むこと自体は可能です。複数の金融機関で申し込んだからといってペナルティがあるわけではありませんが、最終的にNISA口座として認められるのは1つの口座のみです。
手続きの期間が重複した場合、NISA口座を開設する金融機関を自由に選べるわけではないので注意しましょう。基本的には、最初に税務署での審査・手続きが完了した金融機関のNISA口座が開設されることになります。申し込んだ順番で手続きが処理されるとは限らないので、後から申し込んだ証券会社で口座が開かれる可能性もゼロではありませんが、利用希望度の低い金融機関でNISA口座が開設されてしまうこともありえます。
間違えて複数のNISA口座を申し込んでしまった場合は、口座開設を希望しない金融機関に対して早急に取り消しを申し出ると良いでしょう。
NISA口座の金融機関を変更する際の注意点
NISA口座の金融機関を変更する際は、手続きのタイミングに注意しましょう。ここでは具体的な変更手順についても解説します。
NISA口座は、1年に1回、金融機関の変更が可能です。その場合、変更したい年の前年の10月1日から変更したい年の9月30日までの期間に手続きを行う必要があります。口座を変更したい年に金融商品の買い付けを行っている場合、その年の金融機関の変更はできません。
変更手続きをする際は、まずNISA口座を開設している金融機関にNISA口座変更の希望を伝えます。その後、金融機関から送られてくる「金融商品取引業者等変更届出書」に必要事項を記載して返送しましょう。
NISA口座を開設している金融機関から「勘定廃止通知書」、または「非課税口座廃止通知書」が送られてきたら、新しくNISA口座を開設したい金融機関へ申し込み手続きをしましょう。申込書類や本人確認書類と合わせて、「勘定廃止通知書」、または「非課税口座廃止通知書」を提出します。金融機関での書類チェックや審査が完了し、税務署からの承認が下りれば変更手続きは完了です。
NISA口座の変更が完了しても、NISA口座ですでに購入した商品を別の金融機関のNISA口座に移動することはできませんが、元々NISA口座を開いていた金融機関で運用を続けることは可能です。
なお、変更前の金融機関のNISA口座で保有する金融商品の運用を続けることにした場合は、変更前の金融機関ではNISA口座での商品の新規購入はできなくなるので注意してください。変更前・変更後どちらのNISA口座でも売却益や配当金に課税されることはありませんが、買付できる口座は変更後のもののみです。
NISA口座を複数持つことはできない。口座選びは慎重に
NISA口座の複数開設は認められていません。つみたて投資枠と成長投資枠で金融機関を使い分けることもできないので注意しましょう。
NISA口座は1人1口座と決まっていますが、夫婦や家族でNISA口座を利用することで、ライフイベントや老後の生活など、将来必要となる資金の準備をより効率的に行うことができます。
これを機に、ご家族と資産運用についてお話してみるのも良いのではないでしょうか。
金融機関を変更したい場合は1年に1回変更できます。しかし手続きには時間と手間がかかるので、NISA口座を開設する段階で取扱商品や手数料など、自分に合った証券会社を選んでおくことをおすすめします。
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<監修者>
木村佳子
<プロフィール>
一級FP技能士(国家資格)。NPO法人 日本FP協会上級資格CFP。IFTA国際テクニカルアナリスト連盟最上位資格MFTA®の日本で最初の女性取得者。早稲田大学大学院ファイナンス研究科専門職MBAファイナンス修士。日本ベンチャー学会。日本IR学会。生活経済学会。消費者行動学会正会員。YouTube「木村佳子チャンネル」で資産運用情報を発信中。