現行NISAから新NISAへの切り替え方法は?手順や切り替え時の注意点
現行のNISA制度は2023年いっぱいで終了し、2024年からは新NISA制度がスタートします。すでにNISA口座を保有している場合、新NISAへどうやって切り替えるのか気になるところではないでしょうか。
本記事ではNISAから新NISAへの切り替え方法や切り替え時の注意点などを詳しく解説します。
- 新NISAの基本情報、よくあるご質問についてはこちらをご覧ください。
現行NISAから新NISAへの切り替え方法
現行のNISA制度を利用している人は、新NISAに移行する際に切り替え手続きをする必要はありません。現行NISAの口座を開設している金融機関に新NISAの口座が自動で開設されるためです。例えば現行NISA口座を松井証券で保有している場合、2024年1月になると松井証券で新NISA口座が自動開設されます。
ただし、現行NISAと別の金融機関で取引をしたい場合は、金融機関変更手続きが必要です。その場合、現在NISA口座を保有している金融機関に変更を申し込み、「勘定廃止通知書」または「非課税口座廃止通知書」を受け取ります。変更前の金融機関から受け取った書類や本人確認書類・マイナンバー確認書類などの必要書類をそろえて、新しい金融機関でNISA口座の申し込みを行いましょう。
- 10月以降に申し込んだ場合、新NISA口座は翌年に開設されます。
なお、NISA口座の開設には、金融機関だけではなく税務署での確認も必要なため、手続き完了までに数週間かかる可能性があります。2024年の新NISAスタートに合わせて新しい金融機関での取引を始めたい場合は、余裕を持って手続きを進めた方が安心です。
NISAから新NISAへの切り替え時の注意点
NISAと新NISAは同じ非課税制度ですが、異なる点が多々ありますので、注意が必要です。
2024年以降はロールオーバーができなくなる
ロールオーバーとは、5年間の非課税期間が満了したあと、NISA口座で保有している金融商品を翌年の非課税投資枠へ移すことで、再び5年間非課税で運用できる仕組みを指します。実質的に非課税期間を延長する制度、ともいえるでしょう。
現行NISAではロールオーバーが認められているため、例えば2018年にNISAで購入した商品を2022年末にロールオーバーして、2023年から2027年まで非課税で運用を続けることもできました。
しかし、2024年からスタートする新NISAでは、非課税で運用できる期間が無期限となるため、そもそもロールオーバーをする必要がなくなります。
また、現行NISAから新NISAへのロールオーバーは認められていないため、現行NISAで運用している商品を新NISAに移管して運用を続けることもできません。同じ銘柄の運用を続けたい場合は、再度新NISAの口座で商品を購入する必要がありますので注意してください。
現行NISA口座で新たに買付することはできない
2024年の新NISAの開始と同時に、現行NISAは終了します。2024年以降は現行NISAでの新規購入はできません。
ただし2023年中に現行NISAで購入済みの金融商品は、非課税期間が終了するまで運用を続けることができます。例えば2023年につみたてNISAで40万円分の商品を購入した場合、そこから得た利益に対しては2042年まで非課税です。
新NISAを活用するためのポイント
新NISA制度は現行制度と比べて、投資戦略の幅が広がる点が魅力です。新NISA制度における非課税枠や投資対象について理解を深めておきましょう。
新NISAの対象となる商品
新NISAのつみたて投資枠で購入できる商品は、基本的に現行の商品と同様(長期の積立分散投資に適した一定の投資信託)です。
成長投資枠では上場株式や投資信託等が対象商品となっており、投資信託は信託期間が20年未満、高レバレッジ型・毎月分配型商品は除外されています。
新制度のスタートに向けて情報を随時チェックし、ご自身の資産運用に適した商品を購入できる金融機関を利用しましょう。
取引コストが気になる人は、手数料が比較的安い傾向にあるネット証券がおすすめです。松井証券では、NISA口座での株式取引手数料は全て無料、新NISAでは日本株、米国株、投資信託の売買手数料が無料になります。
つみたて投資枠と成長投資枠により運用の柔軟性が高まる
現行NISAでは一般NISAとつみたてNISAなど数種類に分かれており、一般NISAでは国内外の株式や投資信託、ETF、REITなど幅広い商品が投資対象となっているのに対して、つみたてNISAでは金融庁が選定した特定の投資信託・ETFが投資対象となっています。
新NISAでは成長投資枠とつみたて投資枠を併用できるため、より柔軟に、より多くの資金を非課税で運用できるようになったと言えます。例えば、つみたて投資枠でインデックスファンドに投資し安定的なリターンを得つつ、成長投資枠で株式の個別銘柄に投資し、プラスアルファのリターンを狙う、といった戦略を立てることもできます。
現行NISAから新NISAへの切り替えに特別な手続きは不要
新NISAではつみたて投資枠と成長投資枠の併用も可能となり、運用の柔軟性が高まることが期待されています。取扱商品数の多い金融機関を利用すれば、さらに効率よく資産を増やせるかもしれません。
2024年になると、現在NISA口座を保有している金融機関で自動的に新NISAの口座が開設されます。そのため、すでにNISA口座を保有している人は、新NISAへの移行にあたって特別な手続きは不要です。まだNISA口座を保有していない人も、2023年中に口座開設が完了すればスムーズに新NISAを始められますし、現行NISAの非課税枠も活用できます。この機会に口座開設を検討してみてはいかがでしょうか。
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<監修者>
木村佳子
<プロフィール>
一級FP技能士(国家資格)。NPO法人 日本FP協会上級資格CFP。IFTA国際テクニカルアナリスト連盟最上位資格MFTA®の日本で最初の女性取得者。早稲田大学大学院ファイナンス研究科専門職MBAファイナンス修士。日本ベンチャー学会。日本IR学会。生活経済学会。消費者行動学会正会員。YouTube「木村佳子チャンネル」で資産運用情報を発信中。