NISA制度が恒久化?旧NISAからの変更点と活用ポイント

2023/6/6
2024/1/29(更新)

2024年からはNISA制度が恒久化し、いつでも始められて長期間にわたって非課税で投資できるようになったことをご存知でしょうか。

本記事では新しく始まったNISA制度の変更点を、旧制度と比較しながら詳しく解説します。まだNISAを始めていない人もすでに口座開設している人も、新NISA制度の活用方法を考えてみましょう。

NISAの恒久化の概要

NISAの恒久化の概要

旧NISAから新NISAに切り替わったタイミングや、NISA制度が改正された背景などを解説します。

制度改正の背景

新しいNISA制度は2024年1月から適用され、制度が恒久化しました。

今回のNISA制度改正には「貯蓄から投資へ」の流れを加速させて、すべての年代の投資を後押しする背景があり、2022年12月16日に与党が公表した「令和5年度税制改正大綱」の中で、資産所得倍増につなげるためのアクションとしてNISAの抜本的拡充・恒久化について言及されました。

旧NISA制度は利用期間に制限があり、投資可能期間の観点から世代による不平等が問題視されていましたが、制度改正によっていつでも口座開設ができ、すべての年代が長期・積立・分散投資による継続的な資産形成を行うことができるようになりました。

制度の恒久化

旧NISA制度では、一般NISAは2023年まで、つみたてNISAは2042年までと期限が定められていました。
しかし、新NISA制度では期限が撤廃され、18歳以上の人であれば、恒久的に口座開設や投資が可能となったのです。

恒久化で何が変わった?新NISAと旧NISAの比較

恒久化で何が変わった?新NISAと旧NISAの比較

新NISAは制度の恒久化だけではなく、年間投資枠の拡大や生涯非課税限度額の新設など、さまざまな変更がありました。

つみたて投資枠と成長投資枠

新NISAでは、旧制度のつみたてNISAに相当する「つみたて投資枠」と、旧制度の一般NISAに相当する「成長投資枠」を併用できます。

旧NISA制度における年間非課税投資枠は、つみたてNISAが40万円、一般NISAが120万円と定められていましたが、制度改正後は、つみたて投資枠は120万円(以前の3倍)、成長投資枠は240万円(以前の2倍)と、合計360万円まで拡大されます。旧制度で非課税投資枠の少なさに不満を感じていた人にとっては、大きなメリットでしょう。

ただし、旧NISAから新NISAへのロールオーバーはできないため、注意しましょう。ロールオーバーとは非課税期間が満了するときに、保有している金融商品を翌年の非課税枠に移して、再度非課税で運用し続けることです。

【関連リンク】NISAのつみたて投資枠とは?成長投資枠との違いや対象商品、活用ポイント

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非課税期間の無期限化

旧NISA制度では、非課税期間が一般NISAは5年間、つみたてNISAは20年間と定められていました。

そのため非課税期間終了後に商品が値下がりしていた場合、余分に税金がかかってしまう可能性があることがデメリットでした。例えば100万円で購入した商品が50万円に値下がりしたタイミングで課税口座に移管した場合、50万円で商品を購入したものとして扱われます。その後80万円まで値上がりした場合、実質的に利益は出ていないにもかかわらず、値上がりした30万円分が利益としてみなされ、課税されてしまうのです。

しかし、新NISA制度では、成長投資枠(一般NISAと同様の制度)・つみたて投資枠(つみたてNISAと同様の制度)ともに非課税期間は無期限となります。

これまで一般NISAでは5年という期間でロールオーバーすべきか売却すべきかといった投資判断が求められましたが、今後はその期限が無くなるため、より長期的な目線での資産運用が可能になります。

生涯非課税保有限度額の新設

制度改正に伴い、1,800万円の「生涯非課税限度額」が設けられました。

従来の制度ではこのような概念は存在しておらず、一般NISAは120万円×5年=600万円、つみたてNISAは40万円×20年=800万が非課税投資枠を利用して商品を購入できる金額の上限でした。

新NISAでは、つみたて投資枠の120万円と成長投資枠の240万円を合わせて年間の非課税投資枠が360万円に拡大しました。毎年投資枠を使い切ると生涯非課税限度額は5年で埋まる計算になりますが、新NISAでは保有する金融商品を売却すると、売却した分の生涯非課税保有限度額を翌年に再利用することができます。つまり自身の資産状況や市場のトレンドにあわせて、資産を入れ替えながら柔軟に運用することが可能になりました。

  新NISA 旧NISA
つみたて投資枠 成長投資枠 つみたてNISA 一般NISA
年間投資枠 120万円 240万円 40万円 120万円
非課税保有期間 無期限 20年 5年
非課税保有限度額
→売却により再利用可能!
1,800万円 800万円 600万円
うち1,200万円まで
口座開設期間 無期限 2023年中まで
対象年齢 18歳以上
投資対象商品 一定条件を満たした投資信託 上場株式・投資信託など 一定条件を満たした投資信託 上場株式・投資信託など

新NISAを活用するポイント

新NISAを活用するためには、長期保有や少額投資など、なるべくリスクを抑えた運用を意識することが大切です。

長期保有することを前提に投資する

恒久化のメリットを活用するためには、長期保有を意識した投資をすることが大切です。基本的に期待収益率のある運用商品に対する投資においては運用期間が長期になるほどリターンを期待できるとともにリスクを軽減できると期待されるため、安定した資産形成につながります。

つみたて投資枠と成長投資枠を併用する

新NISAを活用する際は、つみたて投資枠と成長投資枠を併用するのがおすすめです。

つみたて投資枠と成長投資枠ではそれぞれ購入できる商品が異なります。つみたて投資枠を優先的に活用してインデックスファンド のような運用コストが低くリターンが安定している資産を購入し、それでも資金に余裕があれば成長投資枠で株式の個別銘柄を購入して積極的なリターンを狙う、などの戦略を取ることも可能です。

口座開設する金融機関は慎重に選ぶ

旧NISAと同様に、口座開設できるのは一人一口座までです。金融機関の変更はできますが、取り扱う商品や手数料などには違いがあるため、口座開設先は慎重に選びましょう。
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【関連リンク】松井証券のNISA手数料

投資初心者は少額から運用を始める

新NISA制度は非課税で投資できる枠の大きさが魅力ではありますが、元本が保証されているわけではありません。投資する商品や運用方法によっては損失を被る可能性もあるため、投資に慣れていないうちはまず少額から運用を始めるのがおすすめです。損失を出しても生活に影響が出ない、余裕資金の範囲内でスタートしましょう。

NISAは恒久化によってより使いやすい制度に

NISAは2024年から制度自体が恒久化したほか、非課税期間の無期限化や年間投資枠の拡大など内容が大きく拡充されました。つみたて投資枠と成長投資枠の併用も可能になったため、制度の活用の幅も広がったと言えるでしょう。より運用しやすくなった新NSIA制度をぜひ活用してください。

<監修者>

川口一晃

<プロフィール>

1986年銀行系証券会社に入社。銀行系投資顧問(現・三菱UFJ国際投信)や三洋投信で11年間ファンドマネージャーを務める。2004年10月に独立してオフィスKAZ代表取締役に就任。テレビ番組やラジオなどメディア出演は多数。現在、FMナック5「お金の世界の歩き方」でパーソナリティを務める。「SMAP×SMAP」では木村拓哉氏とも対談。著書も多数。また、テレビ朝日のドラマ「アイムホーム」をはじめ、フジテレビの月9のドラマの監修も担当。行動経済学学会会員。

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