読売333とは?メリット・デメリットや選定基準、構成銘柄、投資する際のポイントを解説
読売333とは、2024年3月に新たに公表された日本の株価指数です。株式投資の指標といえば日経平均株価やTOPIXが広く知られていますが、読売333はそれらとは異なる特徴を持っています。
「新しい指数といわれても、何が違うのかわからない」「投資対象としてどうなの?」と感じる方もいるかもしれません。
そこで、本記事では、株式投資初心者に向けて、読売333の基本的な特徴や、ベンチマークとして投資する際のメリットとデメリットをわかりやすく解説します。
読売333とは?
読売333とは、読売新聞グループ本社が2025年3月24日から算出・公表を開始した、日本の株式市場の動向を示す新しい株価指数です。選定された333社の銘柄が、すべて同じ比率(等ウェート)で構成されている点が大きな特徴です。
国内株式市場に上場する全銘柄の中から、直近60日平均日次売買代金の上位500社を抽出(取引が活発な銘柄を抽出)し、その中から、直近20営業日平均浮動株調整時価総額の上位銘柄から選定(企業規模の大きい銘柄を抽出)した333社で構成されます。
銘柄入れ替えは年1回、構成比率は年4回の見直しが実施されます。指数の公表は、取引時間中ではなく、平日の17時ごろに1日1回だけ算出される点も、ほかの主要な株価指数と異なる点です。
TOPIXや日経225との違い
読売333とほかの指数の主な違い
読売333 | TOPIX | 日経225 | |
---|---|---|---|
算出方法 | 等ウェート型 | 時価総額加重型 | 株価平均型 |
影響を受けやすい要素 | 大型株の影響を受けにくい | 時価総額の大きい銘柄に左右される | 値がさ株に左右されやすい |
算出タイミング | 1日1回 | リアルタイム | リアルタイム |
読売333と、日本の代表的な株価指数であるTOPIX(東証株価指数)や日経平均株価(日経225)との違いは、主に構成銘柄の比重の掛け方にあります。
読売333は「等ウェート型」のため、構成する333銘柄すべてを均等な比率で組み入れて算出します。そのため、特定の巨大企業や株価の高い銘柄の動きに指数全体が左右されず、全体感が見えやすいのが特徴です。
一方、TOPIXは「時価総額加重型」で、企業の規模(時価総額)が大きな銘柄の影響が強くなる仕組みになっており、日経平均株価は「株価平均型」であるため、株価の高い銘柄(値がさ株)の値動きに影響を受けやすいという特徴があります。
算出頻度にも違いがあり、日経平均株価やTOPIXが取引時間中にリアルタイムで変動するのに対し、読売333の数値は1日に1回のみの更新です。
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読売333の構成銘柄
読売333の構成銘柄には、日本の株式市場を代表するさまざまな業種の企業が含まれています。代表的な銘柄は以下の通りです。
銘柄名(銘柄コード) | 業種 | TOPIX | 日経225 |
---|---|---|---|
日立製作所(6501) | 電気機器 |
○ |
○ |
ソニーグループ(6758) | 電気機器 |
○ |
○ |
キーエンス(6861) | 電気機器 |
○ |
○ |
トヨタ自動車(7203) | 輸送用機器 |
○ |
○ |
任天堂(7974) | その他製品 |
○ |
○ |
東京エレクトロン(8035) | 電気機器 |
○ |
○ |
三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306) | 銀行業 |
○ |
○ |
NTT(9432) | 情報・通信業 |
○ |
○ |
ソフトバンクグループ(9434) | 情報・通信業 |
○ |
○ |
ファーストリテイリング(9983) | 小売業 |
○ |
○ |
- 構成銘柄は、読売新聞社の公式サイト「読売新聞オンライン「読売333」構成銘柄」から確認できます。
日経平均株価構成銘柄と同様の銘柄も多く含まれていますが、日経平均株価と違い銘柄毎の影響度が等しいため、指数の動きは異なるものになります。
読売333に連動する成果を目指す投資信託(インデックスファンド)を購入すれば、これらの銘柄にまとめて投資するのと同じような効果が期待できます。松井証券では「eMAXIS Slim国内株式(読売333)」で読売333を取り扱っており、手軽に分散投資を始めることが可能です。
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日経平均株価構成銘柄と同様の銘柄も多く含まれていますが、日経平均株価と違い銘柄毎の影響度が等しいため、指数の動きは異なるものになります。
読売333のメリットとデメリット
読売333には、従来の指数とは異なるメリットや注意点が存在します。同指数をベンチマークとして投資をする際は、両方の側面を理解しておきましょう。
メリット
- 分散性が高く中型株の成長も期待できる
- 株価急落時の下落が緩やかになりやすい
- ほかの指数と組み合わせやすい
分散性が高く中型株の成長も期待できる
等ウェート方式では、大企業も中堅企業も同じ比率で組み入れられます。そのため、TOPIXのように時価総額の大きな銘柄に投資が偏らず、高い分散投資の効果が期待でき、将来性のある中型株の成長リターンを取り込みやすいといえます。
株価急落時の下落が緩やかになりやすい
特定の銘柄の影響を受けにくいため、一部の大型株が急落したとしても基準価額の下落は比較的緩やかになる可能性があります。値動きの谷が浅くなるという特徴は、安定した運用を目指す投資家にとって魅力となるでしょう。
ほかの指数と組み合わせやすい
日経平均株価やTOPIXとは異なる値動きをする傾向があるため、これらの指数に連動する投資信託と組み合わせることで、ポートフォリオ全体のリスクを分散させる効果が期待できます。
読売333のメリットを活かした投資を始めるなら、松井証券で取り扱っている投資信託「eMAXIS Slim国内株式(読売333)」の購入を検討してみましょう。
デメリット
- 指数の歴史が浅く過去の実績が乏しい
- 信託報酬以外のコストが増える可能性がある
- リアルタイムでの取引には向かない
- 日経225採用銘柄との重複が多い
指数の歴史が浅く過去の実績が乏しい
2025年3月から公表が始まった新しい指数であるため、過去1年の年率リターンといったデータはあっても、10年単位の長期的な実績データは存在しません。過去の実績が将来の運用成果を保証するわけではありませんが、リーマンショックのような大きな市場変動のときにどのような値動きをしたか、という実績を確認できない点は念頭におく必要があります。
信託報酬以外のコストが増える可能性がある
等ウェートを維持するために、年に4回構成比率の調整(リバランス)が行われます。リバランスに伴う株式売買手数料などは、信託報酬には含まれず、信託財産から支払われるため、長期的なリターンに影響をあたえる可能性があります。
リアルタイムでの取引には向かない
指数の更新が1日1回のため、取引時間中の市場の動きに合わせた機動的な売買には不向きです。リアルタイム性を求める場合は、日経平均株価やTOPIXに連動するETF(上場投資信託)などの購入を検討したほうが良いでしょう。
日経225採用銘柄との重複が多い
日経平均株価を構成する225銘柄の約9割が読売333にも含まれています。そのため、日経平均採用銘柄以外へ分散投資をしたいと考えている場合は、構成銘柄をよく確認する必要があります。
読売333に投資するときのポイント
読売333をベンチマークとする投資信託などを購入する際には、いくつかのポイントをおさえておくと、より効果的な資産運用につながります。
- 分散性の高さを活かして長期保有を意識する
- NISAやiDeCoを活用する
- 指数の歴史が浅いことを理解する
分散性の高さを活かして長期保有を意識する
読売333に投資する際は、分散性の高さを活かして長期で資産を育てる視点をもつことが重要です。等ウェート方式の場合、特定の銘柄やセクターへの過度な集中を避け、個別銘柄がもつ価格変動リスクを抑える効果が期待できます。
短期的な売買を繰り返すのではなく、中長期的な視点でコツコツと積立投資を続けることで、日本経済全体の成長の恩恵を受けやすくなるでしょう。
NISAやiDeCoを活用する
NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)といった税制優遇制度を活用して読売333への連動を目指す投資信託を購入するのも、投資効率を高めるうえでは有効です。
通常、投資で得た利益には約20%の税金がかかります。しかし、NISAやiDeCoを活用した取引であればこの利益が非課税になるため、税金がかからない分、手元に残るリターンが大きくなります。結果として、信託報酬といった運用コストを差し引いた後でも、課税される口座に比べてより多くのリターンを期待できるのです。
指数の歴史が浅いことを理解する
読売333は2025年3月に公表が開始された株価指数であるため、過去10年間のパフォーマンスといった長期的な実績データは存在しません。
過去の実績は将来の成果を保証するものではありませんが、投資判断をおこなううえで参考になることも事実です。この指数には長期的な実績がない点を理解したうえで、実際に投信を選ぶ際には、交付目論見書で純資産総額の推移や分配金の方針なども確認し、ご自身の投資方針に合っているかを見直していく姿勢が求められます。
読売333の特徴を理解して投資の選択肢を広げよう
読売333は、国内株式の333銘柄に均等に投資する「等ウェート方式」を採用した、これまでにない特徴をもつ指数です。同じ数をベンチマークとして投資する場合は、特定の大型株の影響を受けにくく、高い分散効果が期待できるメリットがあります。一方で、2025年に公表を開始したばかりの指数であるため、過去のデータに基づいた長期的な評価ができない点はデメリットです。
東証のTOPIXや米国のS&P500など、さまざまな株価指数に連動するインデックスファンドがある中で、読売333は投資初心者の方が日本の株式市場全体に分散投資を始めるうえで、新しい選択肢の一つになるでしょう。
読売333はメリット・デメリットや投資する際のポイントをふまえ、ご自身の投資スタイルに合うかどうかを検討してみてください。