米ドル/円
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通貨ペアの特徴
米ドル/円は、アメリカの通貨である「米ドル」と日本の通貨である「日本円」の組み合わせです。世界の経済大国同士の通貨ペアということもあり、世界で2番目に取引されています。(出典:国際決済銀行)
米ドル/円には動きやすい時間帯があり、1)仲値の時間に当たる9時55分前後は値動き活発になる傾向があります。特にゴトウ日といわれる5と10がつく日は、輸出企業などが取引先への支払いのために大量のドル買い需要が発生することから円安ドル高基調になる傾向があるといわれています。また、2)東京時間の仲値に相当するロンドンフィキシング前後の時間(夏時間:日本時間24時、冬時間:日本時間25時)も値動きが活発になるといわれています。
通貨間の金利差から生じるスワップポイントについては、日米間の金利差が拡大しているため、高水準となっています。これを受け、スワップポイントに着目した円キャリートレード(円売り・米ドル買い)も活発化しています。(2024年3月時点)
魅力
一般的に取引量が多い(流動性が高い)通貨ペアは、取引量が低い(流動性が低い)通貨ペアに比べて買い手と売り手が多いことから、1)スプレッドが狭い、2)価格変動の振れ幅が小さい、といわれています。世界で最も取引量の多い米ドルは初心者の方にとっては取り組みやすい通貨といえます。
リスク・取引のポイント
日本は世界最大の対外純資産国であることなどから円は安全資産と呼ばれ、かつては災害や戦争が発生した際、リスクオフになった際にリスク回避で円が買われる「有事の円買い」と呼ばれる現象が見られていました。しかし、ウクライナ戦争開戦やFRBが利上げを開始した2022年3月以降、急速に円安ドル高が進んでいます。これは、1)ウクライナ戦争勃発によって原油価格が上昇し、エネルギーを輸入している日本の貿易赤字が拡大したことで円売り需要が増加、2)FRBが急激な物価上昇を抑え込むために1回あたり0.75%の大幅利上げを実施するなど、政策金利を5.25-5.50%まで引き上げたことで日本との金利差が2007年以来の水準にまで拡大し、ドル買い需要が増加したことが背景にあります。この構図は当面続くとみられ、円安基調が継続する可能性が高いと考えます。
注目指標・イベント
雇用統計
FRBが金融政策を運営するうえで最も注目する指標の一つです。なかでも、非農業部門雇用者数、失業率、平均時給が注目されています。
PCEコアデフレーター
FRBが金融政策を運営するうえで最も注目する指標の一つで、価格変動の激しいエネルギーや食品を除いたものです。CPIよりもPCEデフレーターの方が調査対象は広いため、実際の物価動向を反映しているとされています。
消費者物価指数(CPI)
PCEデフレーターと並んで注目されているインフレ指標の一つです。なかでも、価格変動の激しいエネルギーや食品を除いたコアCPIが注目されています。PCEは個人が実際に使った金額をもとにインフレを算出しているのに対し、CPIは約200項目の価格の変化からインフレを算出しています。
ISM製造業/非製造業景況指数
全米供給管理協会(ISM)が発表する米国景況感を示す指標です。50を上回ると景気拡大、50を下回ると景気後退を示します。
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直近の値動き
米ドル/円は、2022年以降円安ドル高が加速し、2022年10月に151.95円、2023年11月に151.91円と1990年8月以来の151円台を付けました。急速に円安ドル高が進んだ最大の要因は日米金利差の拡大です。2024年に入り、FRBは段階的な利下げ、日銀はマイナス金利解除が見込まれています。しかし、いずれも緩やかな金融政策の変更になるとみられており、日米金利差が大幅に縮小する可能性は低く、円安ドル高基調が続くとみられています。