グランビルの法則とは?8つの売買サインや活用する際の注意点

2024/5/31

FXにおける相場分析の手法について情報収集している人の中には「グランビルの法則」とはどのような理論なのか、気になっている人もいるかもしれません。どのような場面で活用できるのか詳しく知りたい人もいるでしょう。

そこで今回は、グランビルの法則が示す8つの売買サインと、それを活用する際の注意点を詳しく解説します。相場の流れを読む力が向上し、適切な売買のタイミングをつかみやすくなるでしょう。

そもそもFXとは?という方はこちらをご覧ください。

グランビルの法則の基礎知識

ここでは、グランビルの法則とはどのような分析手法なのか、概要やメリットを解説します。

グランビルの法則とは

グランビルの法則は、価格と移動平均線(一定期間の終値を結んだ線)の位置を基に売買タイミングを判断する理論です。この理論は、移動平均線を考案したアメリカのチャート分析家ジョセフ・E・グランビル氏によって提唱されました。元々は株式市場で用いられてきたものの、FX取引にも応用可能です。

グランビルの法則には、「移動平均線から離れた価格は、やがて移動平均線に近づく」「移動平均線に沿って動いた価格は、いずれ移動平均線から乖離していく」という考え方などを基にした、買いシグナルと売りシグナルをそれぞれ4つずつ、合計8つの売買タイミングに関する法則があります。

グランビルの法則のメリットは?

グランビルの法則を活用する大きなメリットは、そのシンプルな投資手法にあります。例えば、移動平均線が横ばいまたは上向きの状況で、ローソク足が下から上へ抜けたときに買いエントリーをする、という法則になります。この場合、エントリーするタイミングはそれほど複雑ではないため、初心者でも直感的に理解しやすいでしょう。また、シンプルな理論であるため、相場や通貨ペアを問わずに活用できるという側面もあります。

短期取引から長期取引まで、多くのトレーダーに使われている「200日移動平均線」と、イレギュラーな値動きが少ない「日足」を組み合わせることで、グランビルの法則をあてはめやすくなるでしょう。

グランビルの法則の8つの売買サイン

グランビルの法則における売買シグナルは、以下8つのパターンに分類できます。なお、これらのパターンは必ずしも順番通り現れるわけではない点には注意が必要です。

グランビルの法則の8つの売買サイン
  • 買いサイン①
    移動平均線が下落している状態から、上向きに変わりつつある状態で、価格が移動平均線の下から上に突き抜けた場合、「買い」のタイミングと判断します。
  • 買いサイン②
    移動平均線の上昇中に、価格が一度移動平均線を下抜けした後、再度移動平均線上抜けしてきたときに「買い」を入れることで利益を狙える可能性があります。
  • 買いサイン③
    移動平均線が上向きの状態である時に、移動平均線の近くまで価格が下落してきたものの、移動平均線を下抜けすることなく、再度上昇し始めた場合は「買い」のタイミングと判断します。
  • 買いサイン④
    移動平均線が下向きの状態で、価格が移動平均線から大きく下に乖離した場合、反発して価格が移動平均線に近づく可能性が高くなるため「買い」のタイミングと判断します。
  • 売りサイン⑤
    上向きの移動平均線から価格が大きく上に乖離した場合、反発して価格が移動平均線の近くに戻ってくる傾向があるため「売り」でエントリーすることで利益を狙える可能性があります。
  • 売りサイン⑥
    横ばいまたは下向けに転じた移動平均線を、価格が上から下に突き抜けた場合、「売り」のタイミングと判断します。
  • 売りサイン⑦
    横ばいまたは下向きの移動平均線を価格が一時的に上抜けた場合、再び価格が下落する可能性が高まるため、「売り」でエントリーすることで利益を狙える可能性があります。
  • 売りサイン⑧
    下向きの移動平均線の近くまで価格が上昇してきたものの、移動平均線を上抜けすることなく、再度価格が下落し始めた場合は「売り」のタイミングと判断します。

グランビルの法則は難しい?

グランビルの法則には、実際のトレードでの活用が難しいとの意見もあります。それは、売買のタイミングを正確に判断するのが難しい場面があるからです。

例えば、先に挙げた買いサイン④や売りサイン⑤では、移動平均線から価格がどのくらい離れた時にエントリーすべきか具体的な指標が示されていません。このため、エントリーの判断がトレーダーの経験に依存します。さらに、エントリーした場合、トレンドに逆らう形で売りや買いを行うことになります。この逆張りの結果、もし価格が想定と反対に動けば、持続的な価格の上昇(下落)によって大きな損失が発生するリスクもあるでしょう。

ただし「理論通りに価格が動かない」というのは、グランビルの法則に限った話ではありません。予測の精度を上げるためには、複数のテクニカル指標を組み合わせて活用することが重要になります。

ほかのテクニカル指標と組み合わせる

グランビルの法則は、RSI、MACD、ボリンジャーバンドなど、ほかのテクニカル指標と合わせて総合的にエントリータイミングを判断するとより効果的です。例えば、RSIは相場の過熱感を測るための指標ですが、グランビルの法則を活用して逆張りをする場面では、RSIが「買われ過ぎ」や「売られ過ぎ」を意味する30%以下もしくは70%以上の場合にエントリーすると、利益を狙いやすくなるかもしれません。

グランビルの法則に限った話ではありませんが、FXの世界ではチャート分析通りに価格が動かない「ダマシ」が起こることも少なくありません。複数の根拠に基づいてエントリーすることで、予測の精度を高められる可能性があります。
以下のページも参考にしてみてください。

リスク管理を行う

予測通りに価格が推移しなかった場合に備えて、損切りのラインを決めておくことも大切です。損切りとは、損失が必要以上に拡大しないよう、損失が一定に達した時点でポジションを手放すことを指します。

とくに逆張りをする場合は損失額が大きくなりやすい傾向にあるため、とくに初心者は損切りラインの設定は必須です。注文と同時に、価格が不利な方向に動いたタイミングで決済をする「逆指値注文」を出しておくと良いでしょう。

FXにおける損切りとは?目安やルール、損失を抑えるためのポイント

「グランビルの法則は売買のタイミングを判断する一つの指標」

グランビルの法則は、FXで用いられる分析手法で、移動平均線と価格の関係性を基に売買タイミングを判断します。シンプルな手法であるため、初心者でも理解しやすい反面、実際のトレードで活用するには、工夫や相場勘が求められることも少なくありません。

トレードで活用したい場合は、ほかのテクニカル指標を活用して、分析の精度を高めることや、損切りラインを設定しておくことが大切です。

初心者の方は、使いやすそうな売買サインを覚えて、実際のトレードに取り入れてみましょう。

<監修者>

木村佳子

<プロフィール>

一級FP技能士(国家資格)。NPO法人 日本FP協会上級資格CFP。IFTA国際テクニカルアナリスト連盟最上位資格MFTA®の日本で最初の女性取得者。早稲田大学大学院ファイナンス研究科専門職MBAファイナンス修士。日本ベンチャー学会。日本IR学会。生活経済学会。消費者行動学会正会員。YouTube 「木村佳子チャンネル」で資産運用情報を発信中。

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