FXにおけるMACD(マックディー)とは?使い方や活用時の注意点

2023/1/17

FXには「移動平均線」や「ボリンジャーバンド」など、トレードに活用できるさまざまな分析があります。「MACD」もそのうちの一つです。しかし、FXの取引において、具体的にどのような形で役立つ指標なのか、よく理解できていないという方は多いでしょう。特に初心者の方にとっては難しく感じられるかもしれません。

この記事では、MACDの基本的な仕組みや活用方法、注意点などを詳しく解説します。

そもそもFXとは?という方はこちらをご覧ください。

MACD(マックディー)の概要

MACD(マックディー)の概要

代表的なテクニカル指標の一つであるMACDとはどのようなものなのか、基本的な特徴や仕組みについて説明します。

MACDの意味と特徴

MACD(マックディー)は、「Moving Average Convergence Divergence(移動平均線収束拡散)」の略称であり、FXで用いられるテクニカル指標の一つです。テクニカル指標とは、為替の値動きをグラフ化した「チャート」を分析し、将来の価格を予測する「テクニカル分析」で用いられる指標のことです。

MACDは、FXトレーダーの間でメジャーなテクニカル指標の一つである「移動平均線」をベースとして、1980年代にジェラルド・アペル氏によって考案されました。移動平均線とは、一定期間の相場における終値の平均値の変化を表したものです。MACDは、2つの移動平均線を使用して買いや売りのタイミングを判断する指標であり、移動平均線を応用したテクニカル指標といわれています。

また、MACDでは、一般的に用いられるSMA(単純移動平均線)ではなく、直近の価格の比重を高めて算出したEMA (指数平滑移動平均線)を使用しています。SMAよりもEMAのほうが価格の動きに素早く反応するため、売買のタイミングを早く予測できるのがMACDの特徴の一つです。

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MACDの構成

MACDは「MACD線」と「シグナル線」の2つのラインで構成されており、この2本の線の推移でトレンドや売買タイミングを判断できるようになっています。MACD線は、短期EMA-長期EMAで表すことができ、シグナル線は、MACD線自体のSMAです。

MACDを算出する際に使用するEMAの期間は、短期EMAの場合は12日、長期EMAの場合は26日を用いることが多くなっています。シグナル線については9日とするのが一般的です。スキャルピングのような数秒から数分単位で行う超短期取引では、短期EMAを6日、長期EMAを19日とする場合が多くなっています。また、ポジショントレードのような1週間から1年をかけて行う長期取引をする場合には、短期EMAを19日、長期EMAを39日とすることもあります。

MACDの活用方法

MACDを活用することによって、トレンドや売買のタイミングを把握しやすくなります。実際のFX相場での活用方法を確認してみましょう。

MACDの活用方法

ゴールデンクロスとデッドクロスで取引タイミングを判断する

MACD線がシグナル線を下から上に抜けるように交差するケースは「ゴールデンクロス」と呼ばれ、買いのサインとされています。反対に、上から下に抜けるように交差するケースは「デッドクロス」と呼ばれ、売りのサインです。

MACDが表示されるチャートの中央に引かれる水平線は「ゼロライン」と呼ばれます。ゴールデンクロスやデッドクロスは、ゼロラインから離れたところで発生するほど売買サインとしての信頼度が高いといわれています。また、ゴールデンクロス発生後にMACD線がゼロラインを上回った場合は買いサイン、デッドクロス発生後にMACD線がゼロラインを下回った場合には売りサイン、と判断する方法もあります。

ダイバージェンスの発生からトレンドを予測する

ダイバージェンスとは、価格の動きとテクニカル指標の動きが逆行している状態のことです。ダイバージェンスの発生は、トレンド転換のサインとなります。たとえば上昇トレンドの最中で、価格が上昇しているにもかかわらず、MACD線が下降している場合は、下降トレンドに転換する可能性があると判断します。ダイバージェンスを発見したときは、トレンド転換の可能性を視野に入れ、エントリーポイントを探るようにしましょう。

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ヒストグラムで売買サインをチェックする

ヒストグラムとは、MACD線とシグナル線の差分を表した棒グラフのことです。ゴールデンクロスやデッドクロスが発生するタイミングでは、MACD線とシグナル線が重なるため、ヒストグラムはゼロになります。これを踏まえると、ヒストグラムがゼロラインの下から上に転換するポイントは、ゴールデンクロスが生じているタイミングと言い換えることができ、買いのサインといえます。反対にヒストグラムがゼロラインの上から下に転換するポイントはデッドクロスが生じているため、売りのサインといえます。

MACDとシグナル線からトレンド傾向を把握する

MACD線とシグナル線の位置や傾きを活用して、トレンドを把握する方法もあります。MACD線とシグナル線の位置がゼロラインよりも上のプラス領域にあり、上向きに傾いている場合は上昇トレンド、反対に2つの線がゼロラインよりも下のマイナス領域にあり、下向きになっている場合は下降トレンドと判断することが可能です。さらに、2つの線の傾きの角度が急であるほど強力なトレンドが発生しており、緩やかになるほどトレンドが弱まっていると判断できます。

MACDを活用する際の注意点

MACDは相場のさまざまな局面で役立つ指標です。より効果的に活用するためにはどのような点に気をつけるべきなのでしょうか。

MACDを活用する際の注意点

ダマシが発生する可能性がある

MACDには、通常の移動平均線による分析と比べて、トレンドの転換点を発見しやすいというメリットがあります。一方で、反応が早い分ダマシが発生しやすくなる点には注意が必要です。ダマシとは、相場分析によって予測した結果と逆方向に価格が動いてしまうことを指します。

特に、相場の方向性が定まらない「レンジ相場」では、ダマシが発生しやすくなる傾向があります。一般的に、MACDはトレンド相場においては売買サインとして機能しやすいといわれています。一方、レンジ相場では、価格が一定幅で上昇と下降を繰り返しているため、MACD線の角度は緩やかになり、売買サインとして機能しにくくなることもあります。短期間にゴールデンクロスやデッドクロスが何度も出現することもあり、信頼度の高い売買サインを見極めることが難しくなります。

MACDを活用するときは、現在の相場がトレンド相場なのか、レンジ相場なのか、相場環境を把握しておきましょう。

トレンド終盤はトレンドレスになりやすい

一つのトレンドが終盤を迎え、次のトレンドが発生するまでのタイミングでは、トレンドレス、すなわちレンジ相場になる傾向があります。MACDはあくまでトレンド相場で有効に機能する指標です。ダイバージェンスのようなトレンド転換のシグナルを発見した際には、MACD以外の分析手法を組み合わせて利用することも必要でしょう。

MACDだけではなくほかのテクニカル指標を組み合わせて分析する

より精度の高い相場分析をするためには、MACD以外のテクニカル指標と組み合わせるとよいでしょう。一般的に多く用いられるのは「RSI」や「移動平均線」などです。RSIは買われすぎ・売られすぎといった相場の過熱感を表すことに長けた指標なので、売買サインの見極めに役立ちます。

そのほかにも、相場の強弱を分析する「ボリンジャーバンド」もMACDとの組み合わせで有効です。ボリンジャーバンドでは、値動きの幅を示す線によって作られたバンドをもとに相場を予測します。バンドの幅が狭くなっているときはレンジ相場、広くなっているときはトレンド相場と判断します。ボリンジャーバンドを活用し、トレンド相場と判断したうえでMACDを活用すれば、より信頼度の高い売買サインを見つけることもできるでしょう。

MACDとは相場のトレンドや売買タイミングを知るのに役立つツール

MACDはFX初心者から上級者まで、幅広く用いられているテクニカル指標で、さまざまな使い方ができます。売買サインだけではなくトレンドの予測にも役立つため、使い慣れることによってトレードの精度をさらに高められるようになるでしょう。

<監修者>

木村佳子

<プロフィール>

一級FP技能士(国家資格)。NPO法人 日本FP協会上級資格CFP。IFTA国際テクニカルアナリスト連盟最上位資格MFTA®の日本で最初の女性取得者。早稲田大学大学院ファイナンス研究科専門職MBAファイナンス修士。日本ベンチャー学会。日本IR学会。生活経済学会。消費者行動学会正会員。YouTube 「木村佳子チャンネル」で資産運用情報を発信中。

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